2009年11月18日

澤田四段戦

先手番で久しぶりに石田流へ。
お互いに美濃囲いに囲い、飛角交換の華々しい展開に進みます。

少し良さそうな感じもあったのですが、こちらにミスがあって迎えた第1図


21.11.17澤田戦@.gif


△4八歩と叩いてきた局面。これが鋭手でしびれました。取ると逃げ道が狭くなり△2七香の打ちこみが厳しいですし、金を逃げるのでは囲いの弱体化が激しく戦いきれません。
よほど▲4四歩と馬を取りたいところでしたが、△4九歩成を許しては勝てません。

思わず残り1時間11分から50分を使う大長考に。ここで腰を落として考え、現状を冷静に眺めて気持ちが落ち着いたのが隠れた勝因でした。

▲同金寄と取り、△4五銀に▲3九玉が粘り腰発揮の手順。


21.11.17澤田戦A.gif


これで玉頭攻めを緩和し、相手の攻めを和らげる事に成功しました。△5六銀▲同歩△2三香に▲2八歩と受け、簡易穴熊(?)を作る事に。形勢は少し悪そうですがこの簡易穴熊が想像以上に堅く、気がつけば逆転。以下は時間に追われながらも制勝しました。


第1図で気持ちを切らさずに正解を求めた姿勢が勝因でした。順位戦前半では出来ていなかった指し方で、そういう点では収穫の多い一戦でした。
ただ少し良い局面で正確な読みを欠く場面もあり、そこは大いに反省点です。


これで順位戦は3勝3敗の五分に。来期につなげられるよう一戦一戦を大切に頑張っていきます。


それではまた
posted by 遠山雄亮 at 22:17| Comment(3) | TrackBack(1) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月21日

大石四段戦

後手でゴキゲン中飛車へ。
大石四段の作戦は大流行の5筋位取らせ居飛車穴熊。
この形は前回の及川戦と同じ格好。ただし手番が違うので、今回はこちらもすんなりと穴熊に組みに行きました。
これは後手ならではの指し方で、この辺りの詳しい事は来月発売の新刊で紹介しているので、そちらを是非!


さて将棋はというと、序盤の軽率な手で苦戦に陥りました。しかし相手に攻め急ぎもあって難解で迎えた第1図。次の手が結果的に勝因となりました。私が後手△です。


21.10.20大石戦@.gif


今▲7三銀と打ちこんできたところ。平凡に指すなら△3八飛成ですが、そこで▲3九歩が手筋の一手。


21.10.20大石戦A.gif


△2九竜は▲3三角成ですし、△同竜では急所の二段目から竜筋がそれて冴えません。
そこで第1図で△9五歩▲同歩を利かして△3八飛成としました。今度▲3九歩には△9六香があります。


21.10.20大石戦B.gif


▲同銀には△7八竜。▲9七桂くらいですが、△同香成▲同銀△3九竜となれば今度は一段目も急所の筋となります。よって▲3九歩は利か無さそうです。
ただし一歩渡すのも大きそうなので判断に迷いました。

しかし


21.10.20大石戦C.gif


今攻めに転じて△3九竜と入ったところ。先手は一歩でもあれば▲5九歩や▲7九歩で竜筋を遮断出来ますが、あいにく歩切れ。つまり△9五歩がマイナスにならなかったわけです。

実戦は▲7三桂成と必至をかけてきましたが、△8九角から長手数の詰みに討ち取って制勝しました。


△9五歩は勝負を分けるような大事な手で、そういう些細な事で勝負は決まってきます。良い方に働いた事を考えると流れも良くなっていると言えるのでしょう。
順位戦はこれで連勝。一つでも多く白星を積み重ねられるよう、今後も頑張ります。


それではまた
posted by 遠山雄亮 at 21:02| Comment(2) | TrackBack(2) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月30日

及川四段戦

先手で中飛車に振り、及川四段は居飛車穴熊へ。
最近大流行の形で、最先端の将棋といえます。昨日のC級2組でも同じような将棋が多く指されていました。

新構想を出し、迎えた第1図。夕食休憩の局面。


及川戦 21.9.29@.gif


▲4一金が異彩を放っていますが、必ず銀と交換出来るので遊んではいません。
先手の懸念は6九金。これを穴熊にくっつけてしまえば大駒と左桂の働きが良いので形勢が良くなりそうです。
しかし今▲5八金と指すと△2四角で困ります。

そこで実戦は▲6六歩。これはもし△9四歩のような手なら▲5八金とし、△2四角には▲6五歩と攻め合おうというもの。
しかし当然先に△2四角とされ、▲5八金を牽制してきます。こういう地味なやり取りが多いのが順位戦ならではです。


進んで第2図


及川戦 21.9.29A.gif


今▲4八金左と逃げて、懸念の金が穴熊にくっつき手応えを感じました。序盤からずっとこの金を穴熊にくっつける事を第一に考えていたので、その目標が達成出来たからです。
どうやらこの辺りで優位を掴み、以下は後手の強攻に乗じて反撃を決めて制勝しました。


順位戦はこれでやっと初日。一つでも多く白星を積み上げられるよう、頑張ります。


王位戦は2日目に。横歩取りから激しい将棋になっています。昼食休憩の局面は先手の深浦王位が少し指せそうに見えますが、果たして。
中継は北海道新聞:王位戦ページ

今日はこれから月例報告会へ行ってきます。


それではまた
posted by 遠山雄亮 at 12:12| Comment(3) | TrackBack(2) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月10日

中尾五段戦

先手となり、相振り飛車に進みました。
序盤はまずまずも、良くしきれず逆に少し苦しい展開に。
微妙に形勢は揺れ動くも、野球でいえば1点差以内のシーソーゲームが続き、迎えた第1図。私が先手▲です。


中尾戦 21.9.9C.gif


今▲5四歩の王手に△5二玉と逃げた場面。
こちらの玉は△1三金の詰めろで、▲1三香と受けても△3四歩の王手が好手で詰みとなり、受けはきかない格好。
王手をかけてこちらの詰めろをほどくしかないという場面です。

ここで▲5三香と王手したのが悪手。△4三玉と逃げられて勝ちが無くなってしまいました。以下は押し切られて負け。

正解は▲6三銀。
この王手の対応が非常に難しく、信じられないほど際どい終盤戦になります。

例えば△4一玉と逃げ、▲4三香△3二玉▲4二金△同角▲同香成△同玉だと▲5三歩成とし


中尾戦 21.9.9A.gif


△同玉には▲3一角〜▲2二角成。この時馬が1三に利いているので詰めろが消え、これは勝ち。
よって△3一玉が最善。そこで▲4二角△3二玉▲3三角成△同桂▲5六馬とし


中尾戦 21.9.9B.gif


これが詰めろ逃れの詰めろ。長く難しいので雰囲気だけ味わってください。
ここで△2一玉と詰めろを受けてどうか。こんな煮詰まった局面ですが感想戦でも結論が出ませんでした。

△4一玉で△同金や△6一玉や△4三玉も超難解。感想戦は3時間に及びましたが、結論が出ませんでした。変化によっては9八まで逃げて詰ます変化もあったり、こちらの玉が1一まで逃げて詰んだり、とにかく信じられないほど、作ったように均衡のとれた局面だったようです。

せっかく面白い終盤になりそうだったのに、その前で間違えてしまっては元も子もありません。
この場面で残り4分だったのは一つの要因ですが、それにしても感性が悪すぎました。


時間も勝負のうちなので、結果論を言えばせめてあと10分は残しておくべきの局面でした。ただ正解を指せなかったのも実力。最近はそうして実力不足を感じる場面が多いです。一気に負けて対局も減る事が予想されるので、その時間を活かして少しでも強くなれるようまた精進していきます。


王位戦は深浦王位が勝って3勝3敗のタイに。最終局は盛り上がりを見せることでしょう。29・30日に行われます。


それではまた
posted by 遠山雄亮 at 13:30| Comment(2) | TrackBack(1) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月05日

飯島六段戦

後手になり、まず初手に驚き。飯島六段が▲7六歩と角道を開けてきたからです。
飯島六段といえば引き角流ですが、手の内を知ってる相手という事、また直前の対局で引き角模様で失敗した事で気分転換にやってきたようです。
研究会でお世話になっているので、新刊のリンクも貼っておきます。
マイコミ将棋BOOKS 新・飯島流引き角戦法

飯島六段とは新しい将棋が指したい気持ちもあり、こちらも久し振りに2手目△3二飛戦法を採用。結果的には相穴熊に。

そして迎えた第1図。後手△が私です。


飯島戦 21.9.4@.gif


今▲8八銀としたところ。△4二飛と飛先交換を目指したところだけにこの手抜きは驚きました。
当然こちらは△4六歩と行きます。
以下▲同歩△同飛▲2四歩△同歩▲2二歩と進み第2図。


飯島戦 21.9.4A.gif


これが先手の狙い筋です。△同角には▲2四飛と捌こうというもの。
なかなか有力だったようです。こちらの陣形がバラバラなのが辛いところでした。
形勢は難解でしたが、ここでペースを握られ、以下は押し切られてしまいました。


結果もですが、自分に課していた課題がクリア出来なかった点に非常に不満が残ります。特効薬は無いでしょうが、少しずつでも解決出来るよう、色々な観点から見直していかないといけないようです。

ちなみに図面ですが、改良を試みたものの、元々の文字の大きさが変えられないのでこれ以上大きく出来ないようです。ご了承ください。


今日はこれから出掛けてきます。北海道ではのんびりした日々でしたが、今後は慌ただしい日々となりそうです。


それではまた
posted by 遠山雄亮 at 16:48| Comment(3) | TrackBack(0) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月26日

小林(宏)六段戦

結果から書くと、負けでした。

序盤で駆け引きあり、珍しく後手で居飛車を採用。新構想を出すもあまり効果が上がらず、その後も良く出来そうな局面を良く出来ず。
終盤は粘りあると考えて選んだ手が最悪で、小林六段の鋭い踏み込みに飛ばされました。

朝に例の誤報で目を覚まされたところから始まり、最低な一日でした。

どうにも順位戦で良い将棋が指せず悩んでいます。
よく考えると今年に入って勝った将棋は短時間の将棋が多く、長時間の将棋に課題があるようです。
前にも書いたように(指している時に)悩み過ぎてしまうのが最近の良くないところなのですが、それが長い持ち時間の将棋だと顕著に表れてしまうのかもしれません。

次の対局も持ち時間の長い将棋なので、その辺に気を付けながら修正していこうと考えています。


今日は休みらしく、髪を切りに行ったり歯医者に行ったり図書館に行ったり。
あまり将棋の事を考えず、リフレッシュの1日です。



それではまた
posted by 遠山雄亮 at 21:04| Comment(1) | TrackBack(1) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月15日

真田七段戦・村山五段戦

結果から書くと連勝でした。
簡単に振り返ります。

真田七段戦は振り駒で先手に。
相手の位取りに対して穴熊に囲い、激しい戦いに進みます。
ずっと難解な戦いが続き迎えた第1図


真田戦 21.8.14B.gif


今△4六馬の竜取りに6八に隠居していた角を飛び出し▲8六角と切り返したところ。狙いの勝負手でした。
△5四竜では▲3一竜△同玉▲4一歩成で一気に寄り形になります。

実戦は△6四歩と受けてきましたが、これでこちらの竜取りも解消されたので▲4七香が強烈となり


真田戦 21.8.14C.gif


以下は押し切る事が出来ました。△6四歩ではなく△7五銀が勝負手で、それならば際どい戦いが続いていたようでしたが、▲8六角が意表を突いたようで勝因となりました。



2局目は村山五段戦。振り駒で後手に。解説もそのまま私が△でいきます。
ゴキゲンに構えると▲5八金右の超急戦へ。
最近は中飛車側が有利と言われていて公式戦でも採用が減っていますが、研究家の村山五段の事、何か用意しているのだろうと思ったらば、案の定思わぬ所で新手を出されて驚きました。

上手く対応する事が出来て有利になるも決め手を逃し混戦に。互いにチャンスがあったようですが、思い切った踏み込みが勝因になりました。


村山戦 21.8.14@.gif


今▲6四香と只で捨ててきたところ。読みに無い手を指され秒読みの中で対処が難しかったですが、取ると面倒と見て△2九歩成と踏み込んだのが好判断でした。

平凡な▲6一香成は△3六馬として、先手玉は△3七銀以下の詰めろ、後手玉は際どく詰みません。
そこで▲6三銀から猛攻してきました。対局中は生きた心地がしませんでしたが、


村山戦 21.8.14A.gif


▲6三角の王手に、1分将棋の中58秒まで迷って△7一玉と逃げたのが好手でどうやら勝ちになりました。
先手玉も詰まないのですが、駒を渡せない事、また△3九銀〜△2八銀不成〜△2三飛のような感じで攻め駒を抜く筋がある事、そういう事情があり後手が勝ちのようです。

ちなみに△8二玉だと▲8一金△9二玉▲5二角成以下大混戦となるところで、ここは指運が幸いしました。

2局とも終盤の競り合いで勝てたのは少し自信になりました。
それでも良い局面で正解を指せていないのは反省点。時間の無い中では判断が難しい場面でしたが、そういう所できちっと正解手を指せる実力を付けていきたいものです。

今日は図面を違うツールで作ってみました。
サイズがイマイチかもしれませんが、試行錯誤しながらこのツールを試してみようと思います。


それではまた
posted by 遠山雄亮 at 15:48| Comment(7) | TrackBack(1) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月06日

村中四段戦

振り駒で後手になり、ゴキゲン中飛車へ。
先手は2枚銀での急戦に。今月の将棋世界に三浦八段の講座が出ている形ですね。

村中四段とは歳はこちらが1つ先輩、奨励会入会はあちらが1つ先輩、という間柄で、三段リーグも10期位かぶっていました。
ですので奨励会時代の対戦数多く、練習将棋も多く指していて、人生でベスト5に入るくらい将棋を指している関係です。

全然違う棋風ですが、対局すると歯車が噛み合い、指してくる手、考えている手、これが手にとるように分かります。

本局で勝敗を分けたのは、唯一全く考えていなかった手でした。
後手△が私です。


村中戦 21.8.5@.gif


夕食休憩明け直後の局面。今飛を一つ浮いたところ。先に攻め込まれていますが、玉形の差が大きく難解と思っていました。
しかしここで▲5五銀が強手でいっぺんに形勢が傾きました。
他に有力手も多く、またここまで押えこみを狙っていた方針と違う手なので全く考えていませんでした。
しかしこれが好手。

以下△同銀▲6五金△5一飛▲5五角と進み


村中戦 21.8.5A.gif


先手の凝り形が解消されました。後手も懸念の飛が捌けるのですが、以下△6四銀▲5一竜△同角▲6四金△同歩▲4一飛と進み


村中戦 21.8.5B.gif


これだけいっぺんに好所に飛と角を配置されてはきつい形勢です。

この後も▲5五銀ショックで勝負手を逃して負けました。

将棋は難しいです。相当前にこの▲5五銀を読んで他の変化に進まなければいけなかったのですから。
それも実力と言ってしまえばそれまでですが。

竜王戦は残念でしたが、また来期、一から頑張ります。


今日はこれからブログ研です。


それではまた
posted by 遠山雄亮 at 11:18| Comment(5) | TrackBack(0) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月17日

土佐七段戦

振り駒で後手となりゴキゲン中飛車へ。
持ち時間25分切れたら30秒という銀河戦予選は、当然ながら序盤はハイスピードで進みます。

その進行が隣で同じく銀河戦予選を指している広瀬五段が、先日順位戦で千葉五段戦で指していたのとそっくりの展開。
あまり人真似は好きではないのですが、持ち時間の短い将棋という事もあり、また勝った広瀬五段側を持っていた事もあって構想を拝借する事に。

土佐七段に工夫があり、途中からは前例を離れ決戦へ。
その辺りでこちらにミスがあって苦しい展開でしたが、あちらの自重もあって持ち直したのが第1図。後手△が私です。


土佐戦 21.7.16.gif


相手の手番で持ち駒豊富。不利を自認していました。
ここで筋とばかりに▲8五歩△同歩▲8四歩△同銀と攻めてきたのが疑問。こちらの陣形は乱されましたが、△86歩という反撃が△6九角成と絡めて厳しく、逆用できそうです。
土佐七段は更に攻め込んできましたが、反動を利用して反撃に移り、最後は嫌気がさしたのか早い投了となりました。

土佐七段は筋の良い将棋なだけに、助けられた一局でした。
確かに秒読みの中では一見して筋の▲8五歩に手が行きがちですが、第1図では露骨に▲6五角△5四歩▲8三角成と攻め込む方が良かったようす。

救われた内容で、本戦ではもう少し良い内容の将棋が指せるようにしたいと思います。


さて今日は棋聖戦最終局。
羽生棋聖が防衛を果たすか木村八段が初載冠となるか、注目です。
二度寝してしまい告知が遅くなりました。
中継は棋聖戦中継サイト

第1局に続いて梅田望夫さんによるウェブ観戦記も掲載されています。
今回はコンピューター将棋と絡めた内容で、今までにない趣向で大変興味深いものになっています。
こちらは棋聖戦中継PlusMSN産経ニュース:将棋

今日は是非棋聖戦にご注目を!


それではまた
posted by 遠山雄亮 at 12:58| Comment(1) | TrackBack(3) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月12日

里見倉敷藤花戦

棋譜と詳しい解説は中継サイトに出ているのでそちらもご参照ください。
王座戦中継サイト

戦形はこちらの先手で相振り飛車に。
序盤はペースを握るも、考え過ぎて踏み込みが甘くなってしまいました。
その後は少し苦しめの流れ。それでも差を広げられないように指していたのですが、あちらもじっくりと指してきて、少しずつ悪い流れが続きます。

終盤もギリギリでしたが、最後は作ったようにこちらが詰まず勝ちました。最後の最後であちらにミスがあったようですが、対局中はお互いその事に気づいておらず、それが幸いしました。

里見倉敷藤花はまだ17歳ですが、今後順調に実力を延ばしていくとどこまで行けるのか、非常に楽しみです。その才能は羨ましくも思いますが、それを活かしきれるかどうかは本人次第なので、今後も将棋に対する真っ直ぐな気持ちを忘れずに頑張って欲しいです。

最近は自分よりだいぶ若い人との対戦が多いですが、いつも楽しいです。勿論上の先生に教わる楽しさもありますが、それとはまた違った感覚を味わえる楽しさもあります。

途中佐々木五段のコメントが非常に面白く、私も先ほど観て吹き出しました。彼とは奨励会同期、そして同学年で、昔から軽口を叩き合う仲間。そういう関係性を無視して観るとえっというコメントにも見えますが、そういう背景があります。
さすがにまだ来てませんよ。私も里見倉敷藤花に負けないくらい今後も努力していく気持ちを持っていますからね。

この対局はしばらく後になりますが、日経新聞に観戦記が掲載されます。また掲載時にはお知らせします。
その他もう少し書きたい話があるのですが長くなってしまったので、また明日続きを書きます。

終了後は打ち上げ→二次会へ。打ち上げでは同じく対局だった関西の男女若手達と、二次会では仕事で来ていた先輩方と、色々話をして明け方に帰宅。
今日は疲労困憊で、一日家で雑用をこなす一日となりそうです。今週を終わると少しゆっくり出来そうです。


それではまた
posted by 遠山雄亮 at 14:21| Comment(6) | TrackBack(1) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月08日

稲葉四段戦

後手でゴキゲン中飛車を採用。
稲葉四段はNHK杯の山崎七段同様、▲3七銀〜▲4六銀と繰り出す急戦で対抗してきました。

すぐに前例の無い戦いとなり、神経を使う序盤戦に。
その中でこちらの構想があまり良くなかったようで、戦いが始まってからは少しずつ自信の無い形勢。
今日は特に盤面の反転無く、後手△が私です。


稲葉戦 21.7.7@.gif


夕食休憩明けすぐの局面。戦いが始まったところ。
ここで△3五歩が狙いの一手。駒に勢いをつけました。
細かい事を書くとキリがないのですが、先手としても取り辛く、以下▲7七歩△3六歩と一直線の攻め合いへ。
こうなった時に5二の金が浮いている事、また▲6一銀の傷があるのが痛いところ。
どうやら駒組みに、全体の構想に問題があったようです。

以下しばらく進み、その欠点がモロに出てしまいました。


稲葉戦 21.7.7A.gif


この飛打ちが強烈でした。角金'と金’と、これだけ当たりになるのは珍しい事。
こちらもここで△2八飛と対抗するも、▲3七飛成と一番安い駒を取ったのが冷静な一着でした。

この後苦戦のこちらに悪手が出て大差に。その後あちらに一手パスのような手が出て一瞬おやっという場面もありましたが、差が大き過ぎず逆転には至りませんでした。

これで残念な連敗スタート。前回書いたようにスタートがいつも悪いのですが、2回戦でいうとこれで4連敗。2連敗スタートも4期中3度目。
学習能力が無いですね。呆れます。そういえば三段リーグもいつもそうで、その頃から変われていませんね。
とはいえ長丁場。この事は来期の課題として、今期は今期、目の前の一局一局を頑張ります。


それではまた
posted by 遠山雄亮 at 22:05| Comment(4) | TrackBack(0) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月26日

神崎七段戦

夕方帰宅しました。
振り返ります。

振り駒で後手番となり、角交換型の振り飛車を採用。
序盤から見た事も無い戦いになり、一手一手気を使う展開に。

こちらが先に失敗し苦しくなるも、なんやかんやと粘っているうちに大変な形勢に。
終盤は双方持ち時間も無くなり、二転三転していたようです。

最後は双方1分将棋の中、詰ましてみろと開き直りました。
それが功を奏したか、ギリギリ詰みを逃れて勝つ結果に。
最後の場面を解説します。解説の都合上、先手▲が私です。


神崎戦 21.6.25@.gif


△2九竜と王手してきたところ。いくらでも王手がかかる格好で、この辺り生きた心地がしませんでした。
さてどう逃げるかの問題。▲2八歩という平凡な合い駒は△3八竜で簡単。▲37玉も△2五桂が好手で、▲4八玉に△1八竜と飛を取られて詰み。
そこで△3八竜を防いで▲2八金がこの一手の合い駒。これに対し△1八竜には▲同玉で△2六桂▲2七玉の形が詰みません。

本譜は△3八銀▲3七玉△2五桂▲4八玉△5六桂▲5七玉△5九竜と進み第2図


神崎戦 21.6.25A.gif


途中△5六桂をうっかりしていて、詰まされたかと真っ青に。久し振りに背中を汗が流れる感覚を味わいました。▲5七玉と逃げたその1分間は30秒位呆然としていました。
しかしこの場面で唯一無二の合い駒が残っている事に残りの29秒で気が付き、一気に地獄から天国へ。是非考えてみてください。


平凡な▲5八歩は△6八竜▲5六玉△6六竜でどんぴしゃ。
▲5八金合は△同竜▲同玉△6九銀で簡単。



そこで


神崎戦 21.6.25B.gif


△6六竜を消して▲5八桂がこれぞ唯一の合い駒。
これでギリギリ凌ぎました。△6六銀▲5六玉△5八竜は、▲6五玉で4六の金が利いていてきわどく詰みません。

実戦は第3図で投了となりました。
実戦では珍しい2連続の限定合い駒。
1分将棋でしかも変化は膨大。読み切って指していたわけではなく、最後は指運が良いとしか言いようがありません。

感想戦は終盤を中心に2時間程度。第1図〜第3図だけでも手が膨大で、それだけでも時間がかかりました。結局詰まない逃げ方は色々あったようですが、あちらの玉の詰めろも薄いので、その兼ね合いで非常に難解なのです。結果的には本譜が正解だったかもしれません。

そこを調べすぎて、実際は詰みがあった直前の所に気が付かないまま感想戦が終了。自宅に帰って調べてみて、あまりにあっさりした詰みがあって苦笑しました。

とはいえ1分将棋の中で競り勝てたのは収穫でした。他にも難解な箇所が多くあり、感想戦も2時間では足りないくらい。
悪いと思っていた局面がそうでもなかったり、とっさの判断が正しかったり誤っていたり、とにかく将棋の難しさを痛感しました。
本当に将棋は奥が深く、難しい。でもだから面白い、そう感じて嬉しくなるくらいでした。

感想戦終了後、対戦相手の神崎七段に誘っていただいて軽く飲みに。
神崎七段は将棋ネット界では第一人者で、こうしてブログが一般的になる前からずっと日記を書かれ、そしてHP上で色々な情報を発信し、観戦記情報も掲載しています。
神崎七段のHP
そういう事もあってこの対戦は楽しみにしていたのですが、今回さらにこうして色々お話が出来たのは素晴らしい時間でした。

様々な話をしていたらばあっという間に時間は過ぎ、閉店の時間で追い出され、朝方ホテルに戻ってバタンキューでした。

これで裏街道で3連勝。しかし昇級までは更にあと3勝が必要となります。上はまだまだ遠いですし、1局1局を大切に頑張ります。

名人戦の事などはまた明日の記事で。


それではまた
posted by 遠山雄亮 at 22:30| Comment(5) | TrackBack(0) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月17日

金井四段戦

私の先手で石田流に。何気に今期勝ち星を2つ挙げている戦法で、ささやかにゲンを担いでみました。

この将棋は不思議な展開を送ります。力戦模様の将棋ながら、なんと先月行われた▲久保棋王ー△佐藤(康)九段戦と52手目までずっと一緒の進行になりました。


金井戦 21.6.16.gif


ここまで実戦例通り。私はここで手を変えて▲9一飛と勝負手を放ちました。その実戦例は▲93桂成でしたが、少し苦しそうに感じたので手を変えたわけです。
しかしこの勝負手が不発に終わり、結果的にこの飛が残って負けるという残念な展開。
「悪い時に悪手を指す」という典型的パターンの将棋にしてしまいました。

この「実戦例通り」というのは気持ちの悪いもの。当然相手も知っているわけで、途中で更なる好手があるのか、それとも分かれが我に利ありと思っているのか分かりませんから。
本局の場合、私の方が途中で変化する有力な手を(事前に)考えていて、それが幾つかあったのですが、いざ実戦で真剣に考えると、やはり久保棋王が見送っただけあってあまり上手くいかなそうな変化ばかり。
そんなこんなでやむを得ず第1図まで進めたのですが、これもイマイチでした。

自分なりの結論としては、久保棋王が見送った中に唯一有力な手があって、それを指すしかなかったという事。
研究だとどうしても公式戦の真剣味が薄れてしまい読みが甘くなりがち。でもそういう普段の姿勢の至らなさを痛感させられる一局でした。

長いリーグなので一つの負けにくよくよせずまた出直しという気持ちですが、とはいえ順位戦に参加して4期目で初戦が×○××。勝った一局もグダグダの内容で、いつも出足がよくありません。
そういう意味でも本局にはかなりの意気込みで臨んでいたのですが、この結果・内容で非常に残念です。

また勉強して出直します。
順位戦は次も稲葉四段と強敵。三段リーグで対戦して以来で、あちらは棋聖戦で大活躍するなど注目の若手なので、そういう意味では気合いが入ります。
また気持ち切り換えて頑張ります。


それではまた
posted by 遠山雄亮 at 14:28| Comment(3) | TrackBack(2) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月14日

山崎七段戦(NHK杯)

今日放送でした。昨日の記事にもコメントいただき、ありがとうございます。沢山の方に観ていただけたかと喜んでいます。

さて肝心の内容は、山崎七段の上手い構想の前に不利になり、途中追い込むも勝負手(△85銀と出る手)を逃し、最後は少し足らずという格好でした。詳しくは将棋講座8月号に観戦記が掲載されるので、是非そちらをご覧ください。

さて感想戦の最後に、ややかっこ悪い(?)シーンがあったので、その辺を中心に解説します。


山崎戦 21.5.25@.gif


解説の都合上、先後逆にしています。私が▲先手です。
実戦はここで▲5八玉と逃げたため、△6九銀から寄せ切られました。
もし▲7八玉と逃げて△4七竜とされた時、山崎玉が詰むかどうか、というのが放送の最後に検討されました。

以下長いですが、▲1二歩△同玉▲1三角成△同玉(△同桂は放送にあるように詰み)▲1四香△同玉▲2五銀△1三玉


山崎戦 21.5.25A.gif


これで詰まないというのが対局者、解説者、全員一致した結論で番組が終了しました。
ところが収録が終わって再び感想戦をし始めると、記録の荒木三段に「詰みではないですか」と言われ一同仰天。

第2図から▲1四銀打△2二玉(△1二玉は▲2四桂以下詰み)▲3四桂△同金▲2三銀成△同玉▲3四銀△同玉▲3一飛成で


山崎戦 21.5.25B.gif


以下はわりと容易な詰みとなります。なんちゅう感想戦を放送されるのだ、と全員頭を抱えました(苦笑)

実際は途中の▲1四香に△2二玉とされて詰まないので負けですが、なにしろ全員一致した読み筋が実はトン死筋だったわけで、実戦としてはこの方がアヤがありました。
というより一応皆プロなので、詰んでる場面で「一枚足りないですね」とか話した事を恥ずかしく感じました。

とまあこの辺りは観戦記には載らないであろう場面なので書いてみました。
結果は残念ですが、それなりに力を出し切れた将棋でした。詳しくは将棋講座8月号の観戦記をご覧いただければと思います。
次は3度目の正直。まず1回戦突破を目指します。

今日の大和証券杯は非常に面白いカード。
渡辺竜王ー木村八段戦。そして解説は加藤九段。これは見逃せません。特にライブで観る事でより一層楽しめると思います。
中継は大和証券杯ネット将棋公式HP
中継の観戦には登録が必要ですが、簡単なうえ無料ですから、是非この機会にご登録のうえ、ご観戦ください。


それではまた
posted by 遠山雄亮 at 18:03| Comment(7) | TrackBack(3) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月22日

安西六段戦・岡崎六段戦

今日は昼から仕事があり更新が遅くなりました。
昨日は結果から書くと連勝でした。簡単に2局を振り返ります。

安西六段戦は先手となり、石田流模様に。相振り飛車に進むと思っていたので少し意表の戦形でした。
後手が銀冠に組みかえる瞬間に仕掛け、難解な戦いに突入。
迎えた第1図


安西戦 21.5.21@.gif


角を働かせたいところ。そこで▲7二歩が好手。▲7一歩成は許せないので△同飛の一手ですが、これで角が自由になりました。
△同飛に▲6三歩成と味付けして△同金に▲8五角と出て一瞬決まったかと思いましたが、そこで△5二角が頑強な一手。なかなか切り崩せません。

実戦はのちにいったん緩めて89の桂を使う展開にもっていったのが良かったようで優勢に。
迎えた終盤戦。


安西戦21.5.21A.gif


ここで▲6三歩成が後手の連携を崩す軽手。△同金左なら▲42銀で受けが難しくなります。
実戦は△同金右でしたが、▲4一角が強烈。好位置に先手で打てた事で寄せが見えてきました。
以下は押し切って快勝。

14時からは岡崎六段戦。振り駒で後手に。そういえば今期初の後手番です。
解説の都合上、私を▲先手としますのでご注意ください。

珍しくノーマル三間(角道を止めた)に振り、居飛車穴熊に対抗する格好に。途中はやれそうな感じもしたのですが、第3図での岡崎六段の強襲に飛びあがりました。


岡崎戦 21.5.21@.gif


ここで△2六桂(!)▲同歩△2七香(!)と畳みかけられて▲同玉には△3五桂で寄り形。やむを得ず▲3九玉と逃げましたが△6六馬の筋もありますし、なにしろ相手玉は詰めろがかからない固い王様です。苦しい形勢です。

しかしそこは持ち時間の短い将棋。相手が秒読みになった事も影響して緩手が出て、混戦になりました。
そしてこちらにも好手が出ました。


岡崎戦 21.5.21A.gif


攻め合っても1手勝てなさそう。そこで▲3六香と打ったのが良い手だったようです。次に▲3五香と取る手が逃げ道を作りつつ金取りでたまらない味となります。
ここで逆転したようです。実戦は▲3五香によって空いた逃げ道を遁走し、


岡崎戦 21.5.21B.gif


△3三香に金を見捨てて▲4五玉と逃げたのが決め手となりました。もう一手▲5四玉としてしまえばほぼ捕まらない形となります。


2連勝という結果は素直に嬉しいですが、特に2局目は調べれば調べるほど悪手が出てきて嫌になりました。こちらの悪手に付き合ってもらって勝った感じのようで、喜び過ぎてはいけないようです。

今期は前期の分まで頑張らないと、という想いもあるので、気持ち緩めず頑張ります。


それではまた

posted by 遠山雄亮 at 21:34| Comment(4) | TrackBack(0) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月14日

堀口(弘)七段戦

振り駒で先手となり、石田流へ。
早い段階で戦いとなりましたが、手数の短さと反比例し、時間はかなり使って第1図は夕食休憩の局面。


堀口(弘)戦21.5.13@.gif


今△8七歩に▲9八飛と打ったところ。筋の悪い手ですが、私らしいといえるかもしれません。
この後も△5五歩▲7九金△8八歩成▲同金△4九飛成▲同銀△5六歩と進み、


堀口(弘)戦21.5.13A.gif


相手の筋の良い指しまわしと比べてこちらの陣形は…
しかしここで▲3九角と打ってみると、後手も駒が前に出てきていなので攻めをつなげるのが大変だったようです。

この後後手の攻めに乗じて左辺の駒は全て捌ける結果に。
形勢はずっと難解でしたが、一瞬の勝機を捕まえる事が出来ました。


堀口(弘)戦21.5.13B.gif


先手陣は現状ほぼ詰まない形なので、ここで一気に決めたいところ。
そこで▲1三金と打ったのが会心の一手。
これでどうやっても後手玉は寄っています。
△同香には▲1二銀△2四玉▲3六桂△3五玉▲2二竜で必至。
そこで実戦は△同玉でしたが、▲2五桂△2三玉▲3三桂成△同金右に▲2四銀が決め手。


堀口(弘)戦21.5.13C.gif


△同玉には▲2二竜なので△同金ときましたが、▲4一角△3三玉▲2五桂がピッタリの寄せ。△同金には▲2二竜で



堀口(弘)戦21.5.13D.gif



ドンピシャです。△4三玉なら詰みはありませんが、▲2二竜で必至となります。
実戦は▲4一角で投了となりました。


自分らしく粘り強く指し、最後は綺麗に寄せる事が出来、まずまずの一局でした。

時間も目一杯使い、感想戦が終わったのが23時少し前。これでも早い方ですが、これから始まる順位戦の感覚を思い出し、終わった直後に再び気が引き締まりました。

竜王戦は先は長いですが、一局一局大切に、昇級目指して頑張ります。


それではまた
posted by 遠山雄亮 at 08:19| Comment(4) | TrackBack(0) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月22日

有吉九段戦

振り駒で先手となり、中飛車を採用。
この日はお互いに好戦的だったのか、呼吸が合い、いきなり大決戦となりました。


有吉戦 21.4.21@.gif


△4五角と両取りに打たれた局面。一見はまったようですが、実はこれあまり知られていませんが、隠れた定跡の一部です。
以下▲5五飛△2七角成▲2五飛△5四馬▲2四歩と進みます。


有吉戦 21.4.21A.gif


これが先手の狙い筋。もし△同歩▲同飛と進むと


有吉戦 21.4.21B.gif


これで▲3四飛(王手馬取り)と▲2三角が同時には受かりません。
△4四馬▲2三角△4二玉▲4一角成△同玉▲2一飛成…と進みそこで△2二馬として…とまだまだ先は長くハッキリ先手が良いとは言えませんが、攻めが続きそうです。

第2図再掲

有吉戦 21.4.21A.gif


そこで▲2四歩には△2二銀と受けてこられ以下、▲2三歩成△同銀▲2四歩△1四銀▲2三角△4二玉▲1四角成△同歩▲2三歩成と猛襲。


有吉戦 21.4.21C.gif


怒涛の手順で、開始1時間もたたずにこの局面になりました。
ゴングが鳴る前の場外乱闘といったところでしょう。
初めてご覧になった方は驚かれるでしょうが、実はここまでは定跡形。後手を持って加藤九段が指された事もある形です。

昔からある形だけに有吉九段の方が認識が上かとドキドキしていましたが、あちらもこちらと同様、よし行ってみよう、という心境だったようです。
それにしても、まさかこの局面を公式戦で指すとは思いませんでした。研究会用の手順かと思い研究していた局面だったのですが、実際研究会ですら出た事がありません。それを棋界の大先輩と指すなんて実戦とは不思議なものです。

実戦はこの後、後手の攻めを凌ぎ、と金を間に合わせて快勝でした。
ただ第4図の結論はなんともいえないところ。今後の研究課題といえそうです。

夕食休憩前という持ち時間5時間の対局にしては早い終局だったため、その日のうちに新幹線で帰宅しました。
今期初戦をまずは良い形で飾れて嬉しいです。一局一局を大切に、今後も頑張ります。

昨日から名人戦が始まっています。
第1局に続いての相矢倉戦です。
今後のBS中継は
16時〜18時
※ダイジェスト 23日 午前0時40分〜0時55分(4月22日深夜)

各地大盤解説会は下記の通り。
【現地・大盤解説会】
崇城大学市民ホール(熊本市民会館)大会議室
【東京・将棋会館】
18時から2階研修室。
入場料は一般2000円(各種割引あり)。
解説は藤井猛九段。聞き手は井道千尋女流初段。
【関西将棋会館】
18時〜終局まで
入場料は一般1200円(各種割引あり)
福崎文吾九段による解説。
【毎日ホール】
18時〜終局。
入場料はなし。
解説者は戸辺誠五段。聞き手は山田久美女流三段
【朝日新聞社読者ホール】
18時〜終局。
入場料はなし。
解説者は飯島栄治六段。聞き手は鈴木環那女流初段。
【新橋西口SL広場】
18時30分〜終局
解説者は大内延介九段。聞き手は藤森奈津子女流三段。
(一部名人戦棋譜速報応援掲示板より転載)

ネット中継は名人戦棋譜速報


それではまた
posted by 遠山雄亮 at 11:40| Comment(6) | TrackBack(2) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年03月11日

中村(亮)五段戦

後手番で相振り飛車の将棋に。相手の攻めが予想以上にうるさく、ほどけないまま押し切られました。
ネット中継をご覧の方はご存じでしょうが、開始前にトラブルがあり、ふわついた気持ちのまま入ってしまい、今期でもワーストの将棋になってしまい非常に残念です。
勝負に甘いですね。その一言です。

順位戦では参加した3期全て急所で負けており、弱さに呆れます。
でも嘆いていても始まりません。三段時代からそうでしたし、これからも長い棋士人生ですから、自分は自分地道に頑張るのみです。

C2は大平五段・田村六段・戸辺四段が昇級という結果に。
全体的に早指しの3人ですね。
同門からの昇級という事で、師匠の教室のお客さん方は喜んでいられる事でしょう。私自身も刺激になる良い結果です。
また注目の有吉九段は残留を決めました。その有吉九段とは今月対局の予定があり、教わるのが楽しみです。

今日は色々あって更新が遅くなりました。午後には確定申告を済ませてホッと一息。これが終わらないと1年が終わった感じがしませんからね。

今日から王将戦第6局が始まっています。深浦王位3勝羽生王将2勝で迎えて、本局も深浦王位が振り飛車を採用。早くものっぴきならない戦いになっています。
中継は毎日jp:将棋

この中継ページに行くとトップにニュースがありますが、中原十六世名人が引退を表明されました。個人的には公式戦で1度も教わるチャンスが無く残念です。お体を考えてとの事なのでしょう。しっかり治し、また将棋界の顔として出てきていただきたい、いや出ていただかなくては困る、そういう存在の先生だと思っています。
それにしても一度も教われなかったのには本当に残念です。

追記:正式発表を受けて将棋連盟のHPにもお知らせが出ています。
中原誠十六世名人が引退へ

明日はこの王将戦を勉強しに行く予定でいます。


それではまた
posted by 遠山雄亮 at 17:25| Comment(6) | TrackBack(2) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年03月07日

NHK杯戦予選(2月26日対局分)

駆け足で3局まとめて紹介します。解説の都合上全て私が先手▲になっています。

1局目は松本六段戦。後手番。
2手目△32飛戦法から作戦勝ちになるも、決め手を逃して混戦に。
一気に決めに来られて際どそうながら30秒将棋ではきつそうだ、と泣きたかったのが第1図


2.26松本戦.jpg


△29金と桂を取ってきた場面。踏み込みの良い指しまわしに正直敗戦を覚悟しました。
本譜は開き直って▲36歩と桂を取って下駄を預けました。
これに対し、△25桂打▲26玉△37銀は▲35玉で打ち歩詰め。
△37銀は▲68飛を受けてどうか。

色々ありますが、幸運な事に意外と寄せづらかったようです。
実戦は△25桂打▲26玉に△36歩と来ましたがこれが詰めろになっていないので、▲42角と反撃して勝ち筋に。

一度は敗戦を覚悟した本局に勝てたのは大きかった。

2局目は土佐七段戦。先手番。早指し得意の先生で難敵と覚悟していました。
先手中飛車に。


2.26土佐戦.jpg


後手が△86同飛と走ってきた局面。
ここで▲87歩はつまらない手で、△82飛と逃げられてイマイチ。
▲85飛のぶつけは有力ですが、△同飛▲同桂△89飛の攻め合いで分かりません。

そこで▲85角が工夫した手。△74歩では▲87歩で飛を捕獲出来ます。
本譜は△54銀と逃げて▲87歩と打ち、以下は大振り替わり。△55銀▲86歩△66銀▲同歩と一気に飛と銀が交換になりました。

手順自体は得策か微妙でしたが、この勢いが相手のミスを誘い、以下あっという間に大差となり、持ち時間20分を余して勝ちきるという望外の完勝。時間の短い将棋らしい大味な展開でした。

3局目予選決勝は中村(亮)五段戦。後手番。
相振り飛車に進み、こちらは穴熊に。時間の短い将棋なので有効とみました。後は食い付けるかの勝負。
上手く攻めていたのですがミスを出し形勢悪化。
ところが相手に上手そうな悪手があり、強烈な一手で一気に土俵の外に押し出す形になりました。
冒頭にも書きましたが、全て私が先手▲なのでご注意を。


2.26中村(亮)戦A.jpg


今後手が△65銀打と手厚く指してきた場面。▲86飛のような手では△57角成と殺到されていけません。
しかし不利な情勢での秒読みの中、この展開だけは狙っている手がありました。

それは第3図で▲56銀という手。まさに穴熊らしい暴力的な一着。
△同飛には▲同飛△同銀と銀損しても▲22飛がそれを補って余りある強烈な一撃になります。

実戦は△同銀ときましたが、▲64飛△63歩▲34飛と大きく捌いてあっという間の大優勢。
以下も上手く指せて勝ちきりました。

1局目に際どい将棋を制した事が大きく、その後は指し手の善悪はともかく勢いのある将棋を指す事が出来、それが良かったようです。最近欠けていた部分なのかもしれませんね。成績不振が続いていただけに正直かなり嬉しい結果でした。

前回出場時は逆転負けで悔しい1回戦敗退。本戦は強豪揃いですが、今回は1つでも多く勝てるよう頑張ります。


それではまた
posted by 遠山雄亮 at 19:41| Comment(7) | TrackBack(1) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月04日

豊島四段戦

大阪より帰京しました。
今回は久し振りに飛行機で往復したのですが、新幹線とどちらが良いかは難しいところですね。

さて将棋は相振り飛車に。
豊島四段は居飛車党なので少し意外な気もしましたが、こちらの初手が▲56歩だったのに反応してきたようです。

で肝心の内容ですが、序盤も序盤で豊島四段にちょっとした工夫の手が出て、それが素晴らしい構想で苦戦に。
作戦負けからじりじりとリードを広げられ、最後はきっちり1手余されるという展開。
見所の無い将棋なので図面はありません。終盤の競り合いにならず残念ですが、序盤の構想が悪すぎました。

終局も順位戦にしては早い時間で、気合いも空回りといった感じ。
最近序盤で悪くなりすぎです…

気が付けばワーストタイの5連敗。ごちゃごちゃ考えすぎなのか、自分でもよく分からなくなってきました。
でもこういう時こそじっと辛抱して努力を積み重ねる事が大切。それはまるで勝てなかった三段時代に学んだ事。将来の見えなかったあの時に比べれば、今は辛抱のし甲斐があるというものです。

とりあえずしばらく忙しいので、無我夢中で走っていくのみです。

今日は帰宅後ネットでA級を観戦。現地の熱気に入れないのは非常に残念ですが、観に行くとその熱気で体調を崩しそうなくらい疲れが溜まっているので、今日は冷静にします。
大混戦のA級はどうなるのか、目が離せません。


それではまた
posted by 遠山雄亮 at 21:03| Comment(3) | TrackBack(1) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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