2009年01月24日

藤倉四段戦

遅ればせながら水曜の対局を。

振り駒で後手となり、振り飛車党同士らしく相振り飛車へ。

こういう将棋は解説が難しく、取り上げる局面に悩みます。
駆け引きもあり、渋い手順もありで迎えた第1図。後手△が私です。


藤倉戦 21.1.21@.gif


今▲96歩と端を打診されたところ。
後手の私の方は攻撃力に乏しい格好で、やや作戦負け気配。
そこでこの▲96歩。
受ければ攻めてきそうだし、受けないと端を詰められてじりじり作戦負けが悪化しそう。

この辺が前例と関係の無い相振り飛車の難しいところです。

本譜は結局△94歩を選択。以下▲95歩から攻めてきて、それをひたすら受ける展開に。どちらが良かったかは良くわかりませんでした。

その後形勢が微妙に揺れ、熱戦に。
明暗を分けたのは第2図の次の一手。


藤倉戦 21.1.21A.gif


端は破られるも、こちらも急所にと金を作って難解な終盤戦。
ここで△57と、と攻めるか△64玉と上部脱出を狙って受けを重視するか、という2択。
実戦は△64玉と上部脱出を狙ったのが敗着に。
△57と、と攻めれば難解ながら勝ちの局面だったようです。

もちろん攻めたかったのですが、数手後に平凡ながらちょっと盲点に入った手があり、それが読み切れなかったのは実力不足でした。

こういう肝心な所で手が悪い方に行くのが最近の傾向でいけません。
そういう事が減るよう、もっと実力を付けていくしかありませんね。

連敗で苦しいところですが、また前向きに頑張っていきます。


それではまた
posted by 遠山雄亮 at 20:50| Comment(2) | TrackBack(1) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月14日

室岡七段戦

後手で久し振りにゴキゲン中飛車を採用。
すると室岡七段が▲58金右と上がってきました。
そういえばちょうど去年の今頃、順位戦で同じ戦形で勝った事があり、それを思い出して超急戦に飛び込みました。
もちろんやってみたい手がありました。


室岡戦 21.1.13@


今▲11竜と香を取ってきたところ。
私が△です。お間違いなく。
ここで△99馬と取る手がほとんど。△54歩と打つのは去年の糸谷戦で指した手。以下▲63桂成△同玉に▲96角が驚異の羽生新手で、先手がよく勝っている形になります。

ここで△72玉が指してみたかった手。公式戦では過去に3局しかありません。
そこで▲75角と打つのが好手で先手が指せるとされていたのですが、△51飛と受けてどうか、というのが温めていた一手。温めていたといっても結構最近思いついたのですが、とはいえここ最近はこればかり研究していたので、そこそこ自信もありました。

以下はあまりにも急所中の急所の変化なので、詳しくは書きません(笑)
一ついえるのは


室岡戦 21.1.13A


この▲22歩成を喫したのが全てでした。
これを△同飛と取ると、▲同竜△同銀▲63桂成と攻め立てられてあっという間に寄せられてしまいます。
ここで夕休でしたが、辛い時間でした。あまりにもダメなので投了しようかとも思ったのですが、いかんせん33手目では、との思いからもう少し指し継ぐも、届きませんでした。

この戦形の怖さを存分に知る結果となり残念です。こういう将棋だとなんだか違うゲームを戦っている感覚に襲われます。

我慢の時期と自分に言い聞かせ、また頑張っていきます。

終了後は検討に来ていた同年代の棋士と軽く飲んで夕飯を食べ、遅い時間に帰宅。
今日は存分にゆっくりして、体を休める日にします。


それではまた
posted by 遠山雄亮 at 17:51| Comment(5) | TrackBack(1) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月20日

及川四段戦

昨日はサーバーがダウンしていたようで、更新は勿論の事、ブログも表示されない時間が大半でした。せっかく観に来ていただいた方、すいません。

さて水曜日の対局を簡単に振り返ります。
私が先手で石田流に組み、持久戦模様に。
作戦に失敗し左銀が取り残されたまま戦いに入りましたが、相手にも一失あり、難解な中盤戦で夕食休憩に入りました。


及川戦 20.12.17@.gif


今△2三銀打としたところ。既に数回▲3五X△2三X打▲3四X△同X▲3五Xを繰り返していて、こちらが望めば千日手になりそう。
ただ消費時間にだいぶ差がついており、そこをどう見るか。
夕休中悩んでいましたが、ここは打開しに。
しかしそれがバッドチョイスでした。

進んで第2図


及川戦 20.12.17A.gif


こういう叩きあいになれば穴熊に分があると思っていましたが、後手からの△2八金▲同金△2四桂が絶妙の手順。

そこで▲3四飛と突進したいのですが、△同銀▲同金と進み


及川戦 20.12.17B.gif


この手自体は、▲3三銀成△同桂▲同金△同金▲3四桂△2三玉▲3三角成以下の詰めろなのですが、それを防ぎつつ詰めろをかける手があります。すなわち第3図で△3六桂が詰めろ逃れの詰めろになります。

この△3六桂がドンピシャでそこまで進むと際どくもハッキリ負け。
という事で▲3四飛とは出来なかったものの、良い逃げ場所も無く、そもそもここで逃げているようでは勝ちは出ず、押し切られてしまいました。

結局第1図は千日手にするしかなかったようで、その判断ミスが全てでした。それもこれも左銀が泣いているから。後手の飛も眠っているので見合いとも言えるのですが、後手の飛は必ず1手で戦線に復帰出来るのに対し、こちらの銀は手数がかかるのが難点です。

序盤の構想ミス、千日手にするかどうかの判断ミス、この2つで転落してしまった1局でした。
今年はこういう噛み合わない将棋が多く、不完全燃焼のまま終わる事が多い一年でした。
自分自身では何を直すべきかはなんとなく感じとっているので、その辺りを課題として、また来年以降頑張っていきます。


それではまた
posted by 遠山雄亮 at 11:20| Comment(2) | TrackBack(2) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月03日

大平五段戦

昨日はちょっとしたハプニングで帰宅が遅くなり、その後寝付けず寝むれずで全く頭が働かないので、最初と最後の場面だけ紹介します。

後手番で久しぶりに2手目△32飛を採用。前期の順位戦の最終局以来です。
対する大平五段は3手目に▲96歩と突いてきました。


大平戦 20.12.2@.gif


これは今期王位戦の▲深浦王位ー△羽生挑戦者戦で現れた手で、△の羽生名人は△94歩と受け、それを見た深浦王位が猛攻を仕掛けるという流れの将棋でした。

しかし本局では△62玉▲95歩と端を詰めさせる指し方を採用。研究会で指した事があり、有力と感じていました。

結局序盤紆余曲折あり、先手の6筋位取りvs後手の三間飛車穴熊という、一昔前のような格好に。超最新形の出だしからでも昔の形に戻るというのは将棋の面白いところです。

棋譜中継をご覧になっていた方に解説すると、後手が角をクルクル回転させ、△22角と飛取りにしたところでは上手く捌いて優位を掴みました。
ただ終盤こちらに緩手もあり、だいぶ追い上げられたようです。

しかし最後に狙っていた一撃で勝ちきりました。解説の都合上、先後を逆にしてあります。私が▲です。


大平戦 20.12.2A.gif


こちらの穴熊は変な格好になっていますが、底歩が堅く相当詰まない形。となればここは一気に襲い掛かる一手。
そこで▲52銀が決め手。△同玉は▲61角ですし、△同金には▲21角△32香▲41竜△54玉▲56金


大平戦 20.12.2B.gif


長い手順ですが、▲21角と▲56金が急所。上下から迫れば後手玉は自然と受け無しになります。


この▲52銀で振り切り、実戦は△同金▲21角で投了となりました。


気合いの入る一番で、良い内容の将棋が指せたと思います。
これで順位戦は勝ち星が先行。このまま勝ち越し目指して頑張ります。

終局後、私のコートが隣の対局の真後ろの押入れに入れっ放しで取れなくなってしまいました。さすがに大熱戦の真後ろでは取りに行きにくく、終局を待っていたらばその将棋がもつれにもつれ、結局終電を逃すはめに。

しかしそのおかげで、幾つもの大熱戦の検討に参加出来たのは幸運でした。1時を過ぎても続く対局が多く、まさに順位戦という戦いを何局も観戦出来ました。

今年も残りはあと1局。良い形で締めくくれるよう、気を緩めずにいきたいと思います。


それではまた
posted by 遠山雄亮 at 12:18| Comment(5) | TrackBack(3) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月22日

橋本七段戦

振り駒で後手となり、最近流行の4手目△33角戦法を採用しました。公式戦では2回目です。

途中先日のNHK杯で橋本七段が指していたのと「ほぼ同じ」局面に。
しかしそこで僅かな違いを活かす手を指され、その狙いと動きについていけず作戦負けを喫しました。
結果的にはそのリードを挽回出来ず残念な敗戦でした。

詳しくは日経新聞に野月七段の観戦記が出ますので、そちらをご参照ください。日程はまた分かり次第告知する予定です。

それにしてもこの厳しさは最近の将棋の進歩を表すものでしょう。特に後手番は先手に比べてこういう事があるのでもっと警戒が必要でした。
チャンスが1度も無いまま負かされたのは久しぶりのような気がします。

明日は中継やイベントがあるので、紹介します。

注目されている倉敷藤花戦の第2局が行われます。
第16期 大山名人杯 倉敷藤花戦中継サイト
里見先勝で迎えた第2局。清水勝ちなら翌24日に第3局が行われます。倉敷での清水女流二冠の強さは目を瞠るものがありますが、里見女流二段はその牙城を崩す事が出来るでしょうか。

またお台場では棋士の脳に関する研究の成果発表があります。
以下は瀬川四段のブログからそのまま拝借させていただきます。

●富士通・理化学研究所・日本将棋連盟による将棋棋士の直感思考に関する研究、成果報告会。

11月23日(日) 13:00-15:30 お台場の日本科学未来館7階みらいCANホールで
将棋棋士の『直観思考』を科学する!と題したシンポジウムを行います。

お時間ございましたらぜひお台場の日本科学未来館にお越し下さい!

私もこの発表には注目しています。


それではまた
posted by 遠山雄亮 at 18:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月05日

藤原六段戦

私が先手で中飛車に構え、藤原六段が早めに動く展開に。
二転三転、いやもっとかもしれない大激戦になりましたが、今回は非常に面白く、かつすごい場面があったのでそこを重点的に紹介します。

第1図はまさに最終盤。今私が▲24歩と取り込んだところ。


藤原戦 20.11.4@.gif


双方の玉が非常に危険な状態にさらされていて手番は後手。双方残り6分。もはや詰まされたらばしょうがないと開き直りました。
さてでは先手玉は詰むのか詰まないのか。感想戦でかなり検討しました。すると驚きの変化の数々が。なんと打ち歩詰めに逆王手と、詰め将棋のような手順が幾つも出てきました。あまりにも面白いので紹介します。

まず考えられるのは、▲24歩と歩を取ってくれたので△26歩と叩く手。これを私も実戦では読んでいました。手順が非常に長いので、面倒な方は第2図をご覧ください。

@△26歩▲同玉△14桂▲35玉△34銀▲同銀△同金▲同玉△43銀▲同玉△41香▲34玉△43金▲35玉(第2図)


藤原戦 20.11.4A.gif


△26歩〜△14桂の筋で入ると、ここまでは必然に近い応酬。△41香に▲42歩は△54銀がピッタリになります。
実戦ではこの第2図まで考えていて、打ち歩詰めだ、と思っていました。ところがなんと56に角が!感想戦で指摘された時はひっくり返りました。そうかぁ詰みか、と思ったものの少し進めていくと。

△34歩▲同角△同金▲同玉(第3図)


藤原戦 20.11.4B.gif


これでどこから角を打っても▲35玉で打ち歩詰め。どうにも詰まないようです。第3図が詰まないとは驚きです。

感想戦では記録の子も一緒に考えていて、彼が指摘した順がこちら。長いので面倒臭い方は第4図に飛んでください。さすがは有段者、一瞬詰んだと思える順でしたが…

A(第1図より)△35桂▲26玉△25歩▲同桂△27金▲35玉△34銀▲同銀△同金▲同玉△45銀▲43玉△41香(第4図)


藤原戦 20.11.4C.gif


これで▲42合に△54銀上▲44玉△43銀でピッタリ、というもの。既に感想戦も2時をまわっており、その中でこの手順はすごいな、と感心していたらば藤原六段より▲42飛で詰まないのでは、という指摘が。実際盤で並べてみると


藤原戦 20.11.4D.gif


詰め将棋のような合駒に驚きを通り越して感動しました。以下△同香▲同玉△32飛▲51玉でなんと不詰め。

結局感想戦では@もAも詰まず、詰まなかったのか、という結論に。

感想戦終了後、どうしても気になった私は禁断の(?)手に出ました。それは持将棋指し直し局を中継していたスタッフの方のパソコンを借りるというもの。するとなんと第3の手が。

B(第1図より)△35桂▲26玉△28竜(第6図)以下変化多岐にわたるも詰み。


藤原戦 20.11.4E.gif


これをなんと数秒で(涙)。これだけ角と桂が入り乱れている上に玉同士が近い形を一瞬で判断するとはコンピューターならでは、と言い訳しておきます。
しかしBも難解で、△28竜に▲35玉と逃げても複雑ですし、▲27飛(!)という中合いもあるのですが、そこで単に取るのではなく、△25金と打たないとなかなか詰まない(一応△同竜も長手数で詰む)です。

それにしても一つの局面から、打ち歩詰め、逆王手、中合いと、まるで詰め将棋のよう。いや、なかなか作っても作れない局面でしょう。これが現実は小説より奇なり、という事でしょうか。

実戦は△26歩からきたので、こちらが詰まず勝ちました。
人間同士なので、「▲24歩」と歩を取ってきたのに△26歩とせず△35桂、しかも4筋に置いておきたい竜を回るのは心理的にやりにくいでしょう。勝ち運があったとしか言いようがありません。

ちなみに蛇足ながら第1図で▲24歩としたのも負ければ敗着で、▲44銀とするべきでした。△34銀が気になったのですが、そこで▲33銀成から難解ながら詰んでいます。自陣の詰めろも消えており、これは勝ちだったようです。
ただこれはあくまで終了後の研究による机上の空論、結果論でしかありません。実戦的にはすっと▲24歩と指して下駄を預けたのは勝因だったでしょう。

終盤は非常に面白いものでしたが、反省点も多い内容でした。
順位戦はこれで五分に戻す事が出来ましたので、勝ち越し目指して一局一局頑張っていきます。


それではまた
posted by 遠山雄亮 at 21:42| Comment(5) | TrackBack(0) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月08日

川上六段戦

私が先手で振り飛車を見せると川上六段が糸谷流に構え、結局私の中飛車に後手の右玉というちょっと変わった戦形に。
公式戦では初めてでしたが、三段時代に本家糸谷三段(当時)と指した事があります。ちなみにその将棋は午前中の対局だったのですが、午後の対局も稲葉三段(当時)が右玉を採用してきて驚いた記憶があります。きっと関西の若手の間で大ブームだったのでしょう。

この戦形らしく長い駒組みを経て決戦に。後手は厚みで、先手は端からの突破で勝負をかけた第1図。


川上戦 20.10.7D.gif


端を▲96歩〜▲95歩と逆襲しているので勢い▲94歩と行きたいところですが、その前に▲74歩を利かすのが筋というもの。厚みが増しますが、それより金をそっぽに行かすのが大きいと見ました。
桂頭の金、そして隣の銀、とやはりかなりの悪形だったようで、この後その隙をついていきます。


川上戦 20.10.7E.gif


数手進んで第2図。▲83銀と打ったところ。まさにその悪形をついていきました。この金取りが受け辛いのです。この▲83銀は次に▲82と〜▲91香成という自然な攻めもみており、ここで少し良さを感じました。

ちなみにさきほど▲74歩を怠り今打ったとすると取ってもらえないでしょう。この辺が手筋の難しさですが、その分効果も大きいのです。

以下も攻め立てて迎えた第3図。ここで指した▲34銀が決め手に。


川上戦 20.10.7F.gif


左右の銀で後手玉を挟撃体勢に追い込みました。とはいえここで△49飛成が成立すると厄介ですが、そこで▲77角があります。


川上戦 20.10.7C.gif


△69竜と飛を取れば▲43金以下簡単な詰み。△77同歩成なら▲49飛で後手玉はほぼ必至となります。
とはいえ他に手は無くこうなれば勝ち。

というわけで第3図から△46飛と辛抱してきましたが、▲84と、とぼろっと金を取って勝勢に。以下は押し切る事が出来ました。

一局を通じて大きなミスも無く、まずまず上手く指せたと思います。次につながる勝利に、としたいものです。

順位戦ウィーク。今日はA級の郷田ー鈴木戦と、延期になったC2の佐藤(紳)ー矢倉戦が行われています。
中継は名人戦棋譜速報


それではまた
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2008年08月20日

中村(太)四段戦

昨日は後手番で、最近流行の角道オープン型四間飛車を採用しました。


中村(太)戦 20.8.19@.gif


これが戦法の骨子。角道を止めずに四間飛車にし、一気に玉を囲いにいきます。
この後角交換になり、向かい飛車に振りなおす展開に。
この日の順位戦では、東京で6局も角交換型の将棋があったとの事。最近の流行ぶりがうかがえます。

序盤で普通に組んだつもりが作戦負けに。この辺が新しい戦法の怖さで、研究会等では随分指していてもやはり感覚が掴めていないところがあり、それがモロに出てしまいました。

その後中盤で、指しにくいながらも選ばざるを得なかった手を逃して大差に。完全に切れ筋で途中は投了しようかとも思ったのですが、自陣は堅陣なのでもう少し指す事に。

本当に一手で投了の場面もあったのですが、相手がそれを逃し、一瞬だけチャンスがありました。


中村(太)戦 20.8.19A.gif


解説の都合上先後逆となっています。私が▲。
今▲55歩に△44金と逃げたところ。ここで好手がありました。それを感想戦で指摘されてびっくりしました。

それは▲96角という手。取れる銀に向かって両取りをかけるのは気がつきにくい手ですが、これが好手。
変化は多く、相手は秒読みだったので、指せばどう転んでいたか分かりませんでした。
実際は△47歩成▲52角成(▲69角は△48とで、▲同金は△41歩でまずい)△48と▲41馬と詰めろをかけた時に△33飛(!)が好手で


中村(太)戦 20.8.19C.gif


これで詰めろが続かず際どく負けのようですが、非常に複雑な順で感想戦で色々つついてやっと出した結論。実戦的には分からず、ここは悔やまれます。

とはいえ、本当に悔やまれるのは中盤での粘りの無さです。その辺が最近星が延びない原因で、今の課題です。
しばらく対局が無いので、その辺りを克服出来るようしっかり勉強し、再び対局が多くなる年末以降の対局に向けて鍛えていきます。

昨日はベテランの先生が強かった一日で、東京で最後まで対局され勝たれた大内九段、ノっている若手を長手数で降した有吉九段、全勝を守った淡路九段など、さすがとしか言いようがありません。皆さん鍛えが入っていますね。少しでもその境地に近づきたいものです。

また昨日行われていた竜王戦は羽生四冠が勝って挑戦者決定戦へ。王座戦同様、木村八段との三番勝負となります。
終盤はハッキリ負けの局面もあったようですが、深浦戦に続いての逆転勝ちとなりました。

昨日は感想戦が終了したのが2時前くらい。それから隣で対局をしていた棋士と観戦に来ていた棋士を交えて軽く夕飯がてら飲みに。帰宅したのは4時30分くらいで、寝る頃には夏の空は白くなってきていました。
結果は残念ですが、見えてきた事も色々あるので、また一から頑張ろうとその空を見ながら思いました。


それではまた
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2008年08月13日

宮田(利)七段戦

昨日は後手で、相振り飛車と予想外の戦形。

こちらは穴熊で、あちらは変形金無双。攻める権利も一方的に手中にし、さあ後は攻めるだけ、という形に。
いわゆる「堅い、攻めてる」なので、後は攻めが切れなければ勝ち。

しかし攻め始めてから、宮田七段の上手のような指しまわしに、剣がギリギリで届かず、結局攻めが切れ、入玉されて負かされました。

攻め方がまずかったのか、作戦がそんなに上手くいってなかったのか、考えても結論がよく分かりません。
勝てて無い時はこういう時にギリギリで負けるものだという事を痛感しました。
また来週に順位戦も迫っているので、気持ちを切り替えてまた今日から頑張ります。ちょうど午前中から研究会なので、昨日の借りを返せるべく、指しこようと思います。

慌しいのと自分でも消化が出来てないので、図面は無しです。

今日は竜王戦決勝トーナメント、羽生ー深浦戦の中継があります。
中継は竜王戦中継公式サイト
王位戦でも対決する両者ですが、この竜王戦でも今期1組で当たっており、その時は深浦王位が勝利しました。果たしてここはどうなるでしょう。注目の一番です。


それではまた
posted by 遠山雄亮 at 08:42| Comment(1) | TrackBack(1) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月24日

松本六段戦

先日の順位戦について少しだけ。

先手の私が中飛車に振り、松本六段が急戦調に仕掛けて来られる展開に。
途中は僅かに良さを感じていたのですが、小さなミスを出して難解な局面になり、更にミスを重ねて終盤は完全に一手負けの形勢でした。

ところが松本六段が綺麗な詰めろ逃れの詰めろを逃して、そこからは未曾有の混戦に。私の玉が3四に、松本六段の玉が2二にいるという妙な形から、最後はトン死に近い形で詰ましました。

最終盤、詰将棋のような「竜追い」の変化が相手にあったのですが、それが奇跡的に詰みを逃れていて、幸運でした。
実戦でこういう手筋が現れる事があるのでしょうか。不思議な気持ちでした。

内容は褒められたものではありませんが、何はともあれ順位戦今期初勝利。ここから巻き返していきたいものです。

今日は時間が無いので図面は無しで。すいません。
posted by 遠山雄亮 at 23:09| Comment(1) | TrackBack(0) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月08日

屋敷九段戦

振り駒で先手となり中飛車へ。
屋敷九段は穏やかに居飛車で追随し、類型の多い将棋に。

しかしそこから個性的な手を指され、あまり見た事の無い戦いになりました。

手数は長くないものの熱戦でした。今日は次の一手形式で一局の流れを見ていただきます。

まずは第1図。中盤戦たけなわです。後手が△85桂と捌いてきたところ。この動きを逆用する手順がありました。


屋敷戦 20.7.7@.gif


そんなに難しくないです。持ち駒を上手く使います。



まずは▲83歩が好手。△同飛ですが、そこで▲74銀と両取りに打つのが上手い手です。
△77桂成の決戦は少し先手に分がありそうとのことで△81飛と逃げましたが、▲85銀と桂を取り


屋敷戦 20.7.7A.gif


駒得に成功。歩切れなので形勢は難しいものの、少し良さそうな感じです。

しかしこの後こちらに致命的なミスがあり、一気に悪くなります。
そして第3図。ここは後手の手番。覚えておきたい手筋があり、それでしびれました。


屋敷戦 20.7.7G.gif


△87歩成と来れば、そこで▲33角成から殺到して、これは先手玉に脅威が無いので後手はまずいです。
そこで大決戦の前に味付けをするのが良い手です。



それが△17歩。▲同香なら△16歩〜△24桂ですし、放っておいても△16桂が厳しい。8・9筋の絡みで駒が大きく交換になりそうなので、この時限爆弾には参りました。
△87歩成といかなければ先手の飛が1筋に通ってないのもポイントです。

しかしそこからこちらも頑張ります。
後手が待望の一着を放った第4図。ここで負けじと勝負手を放ちました。


屋敷戦 20.7.7C.gif


△89飛には厳しい狙いがあります。普通なら▲77角左と逃げますがそれだと△59銀が恐ろしい一着。


屋敷戦 20.7.7H.gif


これで先手玉には上手い受けがありません。後手玉は▲33角成から突進しても詰まないので負け。

というわけで第4図ではこちらが負けそうですが、唯一受けがありました。


それが▲56飛


屋敷戦 20.7.7E.gif


これが狙い澄ました勝負手。△59銀を消し、△86飛成には▲33角成からの素抜きを見せて、間接的に防いでいます。そして密かに△16の桂の取りにもなっています。

しかしこの後、秒読みの中で攻防の判断を誤り、敗勢に転落してしまいました。
正真正銘の決め手は第7図


屋敷戦 20.7.7F.gif


後手としては3筋方面は塞いでいるので、7筋辺りに手を作るのが理想です。


そこで△86角が好手。これで参りました。▲58飛と受けるくらいですが、そこで△54歩が冷静な一着。やむを得ない▲46角(▲88角には△87歩がある)に△77歩成とと金を作られて、先手玉は粘りのきかない形になり万事窮しました。


内容は悪くないのに結果に結びつかない流れが続いていて苦しいところですが、原因がハッキリしていると自分の中では思っているので、これをバネにまた頑張っていきます。
去年もでしたが、7月はいけませんね。一番対局の多い時期なのに(苦笑)


それではまた
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2008年07月02日

田村六段戦

今日は所要あり昼過ぎから将棋会館に行っており、更新が遅くなりました。
告知し損ねた棋聖戦もありますが、それらは明日にまわし、今日は昨日の将棋を紹介。

私の先手番から、珍しい相中飛車に。こちらがやや序盤で失敗し、田村六段の得意の強襲を食らいました。


田村六段戦 20.7.1@.gif


駒組みが続くかと思われましたが、ここで△15歩が驚きの仕掛け。いやこれだけなら驚かないのですが、▲同歩△同香▲13歩△19香成▲12歩成△29成香という手順が驚きでした。


田村六段戦 20.7.1A.gif


飛を捨てての猛攻で、この順は考えていなくて本当に驚きました。しかし後手陣はかなり堅い格好で、こちらは飛の働きが悪いので成立していたようです。
ここで長考するも思わしい順が浮かばず苦しい展開に。
田村六段はほとんど考慮せずに仕掛けてこられ、その思い切りの良さにやられてしまいました。こういう仕掛けは、腰を落として考えてしまうと踏み込みきれなくなってしまう事が多いので、この思い切りも大切です。

でもこちらもここからが力の出し所で、すぐに負かされないよう頑張ります。実際形勢も難しかったようで、ギリギリの所で均衡が取れていたようです。

とここまでが感想戦の結論だったのですが、実際は後手に手順前後があったようですね。名人戦棋譜速報の掲示板を見て気が付きました。お互い感想戦でも全く話さなかった順で、盲点に入っていました。
となると対応もイマイチだったのでしょう。

お互いの読み筋で進み迎えた第3図


田村六段戦 20.7.1B.gif


△47成香は▲同金だと△58銀から一気に寄せられてしまいます。
普通は一番価値の低い歩で▲48歩と遮断するのですが、それだと△19飛成の時に▲68玉は△79銀でどう逃げても△58成香と金を取られてしまうので▲49香と受けますが、そこで△38成香とされると香を取られてしまい、攻めが切れなくなってしまいます。

そこで、▲48香と遮断するのが常識外の好手。これで△19飛成には▲49歩の余地を残しています。
ただ△58成香▲同玉に△49銀▲同玉△38金と今度は違う方面から攻められてしまいました。

この後こちらにミスが出てしまい、結局押し切られてしまいました。
わりとしっかり指せてはいましたが、相手の得意とする展開の前に最後は屈してしまう形でした。

最近は結果が全く出ず苦しい所ですが、こういう時は地に足をつけて地道にやっていくのが大切だと思っています。
また頑張っていきます。

それにしても順位戦は疲労が激しく、今日出掛けたのもあってちょっと頭痛がします。まずは何より体を回復させる事が大切なようです。


それではまた
posted by 遠山雄亮 at 23:19| Comment(3) | TrackBack(1) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月19日

窪田六段戦

先手となり、予想通りの相振り飛車へ。
後手が動いたところを積極的に咎めにいきました。


窪田戦 20.6.18@.gif


今▲15歩と突いたところ。以下△同歩▲同香△14歩に▲16角が狙いの一手。
自玉側での開戦だったので自信満々では無かったのですが、良い踏み込みだったようで、少し有利な展開に。

この将棋はまさに乱打戦。ボコボコ点が入る、そんな展開でした。


窪田戦 20.6.18A.gif


19にいるのは誤植ではなく、竜です。閉じ込められてしまいましたが、それでも竜の力は大きいようで、少し有利です。
この後優位を拡大したのですが、読みの突っ込みを欠いて大変にしてしまいました。


窪田戦 20.6.18B.gif


ここで△43銀と上がって▲34歩を防いだのが力強い好手。この塊こそが窪田ワールドと恐れられる指しまわしです。玉と逆サイドにこれだけの兵を投入するのは考えにくいのですが、形に拘らないのが素晴らしい。実際この頑張りで大変になりました。

そして二転三転して第4図。


窪田戦 20.6.18C.gif


1〜3筋に槍襖が。そしてここから▲36歩△26香と爆発し、際どい戦いでしたが、ギリギリのところで負かされてしまいました。

今日は時間があまり無いので詳しい解説は省きましたが、図面からでも戦いの雰囲気を感じ取ってください。
第1図が49手目で最終的には170手かかる大熱戦でしたが、負けてしまったのは残念です。
でも次につながる一局だったかと思います。


さて今日は王位戦挑戦者決定戦にA級順位戦の中継があります。
王位戦のリンクは将棋連盟のHPでご確認を。
A級はいつもの名人戦棋譜速報


それではまた
posted by 遠山雄亮 at 08:58| Comment(4) | TrackBack(1) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月04日

矢倉六段戦

昨日は後手番で、▲76歩△34歩▲68飛の出だしだったので、堂々と△84歩と突いて居飛車へ。振り飛車党の矢倉六段との対戦で手番も決まっていたので、元々居飛車も辞さずという心構えでした。

やや予想外の藤井システムで来られ、こちらはやや欲張った序盤戦。前例の少ない将棋で長考が目立ち、駒がぶつかったのは夕休を過ぎてからでした。

さて決戦直前の第1図。解説の都合上私が先手▲になっています。


矢倉戦 20.6.3@.gif


△51角と引きこちらの手番ですが、既に形勢に差がついていると言ったら驚かれるでしょうが、もう私の方がまずいのです。いわゆる「剣が触れる前に決着が付いている」という形。
理由は、振り飛車は5筋を交換して、△35歩から攻めれば良いのに対して、居飛車には既に思わしい手が無い事。

実戦は▲46歩と仕掛けましたが、これではダメなのは分かっていました。
それでも後手が対応を誤り少し難しくなりましたが、やはり勝ちにくい形。
強引に攻め込みますが、第2図


矢倉戦 20.6.3A.gif


こちらは大きな駒損ですが、後手陣がバラバラなうえ手番を握り、何か無いか、という所ですが、いかんせん持ち駒が悪すぎます。▲74桂と一回は王手をしたものの、△92玉と逃げられて、この持ち駒では後続がありません。
以下は粘るも時間を余していた矢倉六段に的確に対応され、届きませんでした。

順位戦初戦は、あまり良い所の無いまま敗戦。順位戦は特に持ち時間が長いので、序盤で悪くなってしまうと取り返しがききにくい、という典型になってしまいました。
とはいえリーグは長いので、気を取り直してまた次頑張ります。


それではまた
posted by 遠山雄亮 at 19:06| Comment(1) | TrackBack(0) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月22日

清水女流二冠戦

この将棋は夏頃産経新聞に観戦記が載る予定なので、あまり詳しくは書けません。あしからず。
戦形は後手の私が向かい飛車に振り、清水女流二冠の左美濃vs私の穴熊という形に。
序盤はあまり上手くいっていませんでしたが、思い切って仕掛けたのが良く、有利に。

勝負を分けたのは次の攻防でした。


清水戦 20.5.22@.gif


戦いが始まって少しした局面。解説の都合上先後を逆にしてあります。
ここでこちらの手番なら良さを感じるところで、具体的には角をどかして桂得を果たすのが一番良さそうです。
始めは▲88角とする予定でした。
以下△85歩▲66歩△86歩▲65歩△74金▲38飛△87歩成▲44角


清水戦 20.5.22A.gif


こうなれば固さが生きてガンガンいけそうです。しかしここで相手の好手に気が付きました。
▲88角△85歩▲66歩
ここで一回△57桂成と捨てて、▲同銀に
△86歩▲65歩△74金▲38飛△87歩成▲44角と進めると


清水戦 20.5.22B.gif


第2図と比べてこちらの銀が下がっています。これが△57桂成の効果で、こんな一回休みをさせられてはまずくなります。

この△57桂成の只捨てに気が付いたのが隠れた勝因でした。清水二冠も狙っていたとの事で、この罠をくぐったのが大きかった。

本譜は▲88角ではなく▲48角とこちらへ。▲88角と比べると攻撃力に乏しいのですが、
△74飛▲66歩△76歩▲65歩△同金▲58金


清水戦 20.5.22C.gif


最後の▲58金が落ち着いた一手。△56金の狙いを未然に防ぎつつ遊び駒の活用です。

ここで優位を掴み、最後は綺麗な即詰みに討ち取りました。
全棋譜は観戦記で是非ご確認ください。掲載日時が分かりましたらまたブログ上で報告します。


3月の順位戦以来の勝ち星で、正直少しホッとしました。
そして次の対局はいよいよ新しい順位戦の開幕戦です。また長いリーグが始まります。


それではまた
posted by 遠山雄亮 at 22:48| Comment(5) | TrackBack(1) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月10日

堀口(弘)七段戦

振り駒で先手となり、中飛車に。オーソドックな対応でしたが、途中で後手に疑問手があり、長考した末に仕掛けたのが好判断で大作戦勝ちに。
ところが安全勝ちな攻めを逃し、際どい攻めを敢行する事に。そして迎えた第1図


堀口(弘)戦 20.5.9@.gif


今△31角と角を手放して受けに来た局面。▲53金と打ち込むのもありそうですが、実戦で選択したのは▲71銀。
これが狙いの一手で、どう逃げても飛が詰んでおり、飛が手に入れば後手陣は薄く攻めきれそうです。
ここで優位を意識しましたが、直後に落とし穴が待っていました。


堀口(弘)戦 20.5.9A.gif


△46歩ときた局面。ここで▲同銀だと△56歩が嫌味(▲同飛には△83角が好点の角打ちになる)に映り、一気に決めに行きました。
▲53歩成△47歩成▲同飛と進み、そこで△53金なら▲42飛打△33玉▲22飛成△同玉▲42飛成で決まります。
ところが△45歩▲52と△77角成と進んで第3図


堀口(弘)戦 20.5.9B.gif


ここでハタと手が止まりました。後手玉への寄せが見えず、逆にこちらは△46桂と打たれると、次に△65角が激痛になりそうです。
どうも▲53歩成が大悪手で、一編に逆転してしまったようです。将棋は決めに行って決まらないと大抵ヒドイ事になります。

やむを得ず強引に攻めていきます。
第4図は▲21竜とした局面。


堀口(弘)戦 20.5.9C.gif


△31金で竜が詰みますが、それはこちらの思うつぼ。▲15歩と突いて、△21金には▲14歩から押して行けば詰み。△同歩には▲14歩△同玉▲26桂からピッタリ詰みます。
▲21竜を第3図で長考して発見し、まだいけるか、と思っていたのですが、この第4図で△26桂がどんぴしゃの一手。26に駒が打てないとなかなか後手玉が寄らず、逆に次に△65角が詰めろ竜取りで激痛になります。

この△26桂で夕食休憩に。あわせて1時間位考えましたが、どうにも勝ちが出ません。参りました。泣きたくなりました。いつもは夕食休憩時はどんな事があっても軽く何か食べるのですが、買い物に行く気も起きず、呆然と盤の前で考え込んでいました。

結局粘りに行く事に。その後相手にミスもあり、形勢が再び急接近しましたが、どうにも僅かに足りないようで。

今▲31角と王手をした局面。


堀口(弘)戦 20.5.9D.gif


ギリギリの勝負になったと思いました。例えば△22銀には▲同角成△同玉▲34桂△33玉▲35銀で。
また△22金には▲45桂と打っておき、△47角成には▲同金△同歩成に▲15香が詰めろ逃れの詰めろになります。△37とや△28金と迫ってきても▲16玉で斜めの駒が無いので詰みません。
△22金▲45桂△49飛には▲33桂成と開き直って、これも先手玉が詰まず勝ち。

しかしここで△12玉が唯一の手段で本譜。
▲45桂△49飛▲33桂成には△29飛成▲28桂△16金(!)以下まさにドンピシャで詰まされます。△22金と打ってしまうとこの時に金の枚数が違う為詰まないのです。
実戦は▲42ととしましたが、△49飛▲39桂△47角成とこられ、角をもらっても1歩足りず後手玉が詰みません。

最後はかなり追い込んだのですが、際どく残されてしまいました。
堀口(弘)七段は昔、今で言うと宮田五段のようで、詰将棋解答のスペシャリストだったそうなのですが、この将棋でも最後詰む詰まないの判断が非常に正確で、実戦も最後綺麗に長手数の詰みに討ち取られてしまいました。

それにしても序盤から珍しく上手く指していたのに、第2図での判断ミスが悔やまれます。それ以降はどうしても足りない将棋になってしまいました。たまに作戦勝ちするとダメですね(苦笑)
良い薬だと思い、今期は二の轍を踏まぬように肝に命じていきます。

今日は起きてからずっと衣替え&掃除に取り組んでいました。やっと冬のコートをしまい、ホッとカーペットをしまい、溜まったほこりも綺麗にし、スッキリしました。
部屋と同様、気持ちも新たにまた明日から頑張っていきます。


それではまた
posted by 遠山雄亮 at 19:55| Comment(2) | TrackBack(0) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月02日

勝又六段戦(NHK杯戦予選)

 遅くなりましたが、NHK杯予選の勝又六段戦を簡単に振り返ります。

 振り駒で後手になり、ゴキゲン中飛車を採用。対する勝又六段は5筋を取らせて反発する指しまわしを採用してきました。

 駒組みで作戦勝ちとなり、リードを広げにかかった第1図。解説の都合上先後を逆にしてあります。先手▲が私です。


勝又戦 20.2.28@.gif


 歩を駆使して先手陣を乱しました。ただ△67歩成が厳しいので忙しい局面。▲66歩と戻しておくのも有力でしたが、実戦は勢いを重視して▲55飛と飛び出しました。
 狙いは▲24歩〜▲25飛。防ぐ手は△同角しかありませんが、▲同銀としておき、手に困る事はなくなりました。

 ここまでは順調。しかし△67歩成▲54歩△同銀▲同銀△66歩と進んだ第2図


勝又戦 20.2.28A.gif


 手順中▲54歩に銀を逃げると▲75角〜▲64角が猛烈に厳しくなります。本譜は銀を捨てる代わりに角の働きを防いできました。
 ここで勢いに乗って▲43銀成△同金▲41角と攻め込んだのが調子に乗り過ぎたヒドイ手順でした。△33玉▲74角成△同金の局面が意外と攻め手がありません。

 ここは優位を築いたのだから、▲63銀不成と矛を収めるべきで、飛が逃げれば▲51角があるので後手は収拾困難でした。

 このミスで一気に優位が吹き飛び、混戦になります。そして。


勝又戦 20.2.28B.gif


 ▲62銀と詰めろをかけたところですが、ここから△28金▲同玉△48飛成▲38金△39角から詰まされて負かされてしまいました。
 最後38に金以外の駒が打てれば詰まないのですが、残念ながら歩は二歩で打てません。

 混戦を制され残念な予選敗退。しかもこれで公式戦5連敗となり、まさにドン底でした。

 前々期は銀河戦やNHK杯で好成績を挙げられましたが、今期は銀河戦、NHK杯で全敗。我ながら極端ですね(苦笑)



 さてこの勝又六段と、佐藤(和)五段・戸辺四段と共に「振り飛車対談」を行った模様が、今月5月号の将棋世界に掲載されています。竜王戦ランキング戦の私の連載も掲載されていますし、是非ご購入のうえご一読ください!!
将棋世界(楽天)
将棋世界5月号(amazon.co.jp)


 それではまた
posted by 遠山雄亮 at 15:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月15日

阿久津六段戦

 振り駒で先手番に。先日の順位戦は先手番で千日手にしてしまったので、ここまで6局連続で後手番で、そのうち振り駒も4連敗でした。というわけで久しぶりにしっかり先手で指しました。
 戦形は前回簡単に千日手にしてしまった雪辱を果たすため、石田流に。阿久津六段は早々に角交換をして駒組みをしてきました。


阿久津戦 20.3.14@.gif


 迎えた第1図。▲77桂と跳ねて次に▲85歩と動く手を見せたところ。ここで△76角と▲85歩を防ぐためだけに角を手放してきたのが意表の一手。常識的に考えて角を手放しては良い事が無いようですが、△63銀〜△74歩という攻めを見せて先手に動きを催促してきています。
 こういう筋違い角は結構最近まで「異筋」とみなされていましたが、最近は筋違い角の方が守りの金を睨んでいる分良いのではないか、という認識も出ています。

 そうはいっても△76角と打ってもらえば作戦勝ちかと思ったのですが、その後の指しまわしがイマイチだったのか、冴えない序盤に。冴えないとはいっても動きづらく千日手模様になった程度なので、先手ならではの冴えなさです。
 しかし後手が動きが見せた事で状況が一変。一気に激しくなりました。


阿久津戦 20.3.14A.gif


 今▲63角と打ち込んだところ。△96歩〜△98歩が見えていますが、チャンスとみて動いていきました。
 もし△96歩なら▲45角成△97歩成▲49飛(今まわらないと△88とがある)△98歩▲25歩


阿久津戦 20.3.14B.gif


 となって難しい形勢ですが、後手としては攻めている場所が違うので嫌なところでしょうか。それにしても第2図での△33桂には驚きました。穴熊の急所の桂ですからね。しかしこの柔軟な発想は阿久津六段らしいです。
 そこから▲45桂△44歩▲33桂成△同銀と進んで第4図


阿久津戦 20.3.14C.gif


 後手は次に△51桂と角を捕獲する手を狙っています。△33桂は全く読みに無い手でしたが、第1感あまり良い手ではないと思いました。その判断は間違っていなかったのですが、読んでいない手を指されたのだからもう少し腰を落とさなくてはいけませんでした。ただ時間はそんなに残っていなく、この辺に課題が残ります。
 実戦は▲74歩。これは△51桂なら▲73歩成△同銀▲74桂としようというもの。こうなれば後手陣が薄く先手有利。しかしこれは勝手読み。△51桂の狙いを防げば、と思ったのですが、思わぬ所に穴が開いていました。

 ▲74歩に△75桂が柔軟な手第2弾。△51桂が狙いだと思っていたので驚きましたが、これがこの際の好手。先手も攻め合うわけにもいかないので▲59桂と受けましたが、△22玉と形を整えられて


阿久津戦 20.3.14D.gif


 ここで思わしい手段がありませんでした。双方狙いが乏しい局面ですが、
・先手の角が狭すぎる事
・後手は△87角成と出来る事
・玉の固さで後手が上回っている事
・先手は将来角の王手が厳しい事
 という理由から、既に勝てない将棋になってしまいました。この後はあがいたものの、正確に指されて良い所がありませんでした。

 第4図では▲85歩と攻め合うのが正解。以下△51桂▲84歩△63桂▲83歩成と角を見捨てて攻め合えば有望でした。この変化も考えたのですが、他にも色々変化があって難しい事もあり、ちゃんと考えないまま▲74歩と指したのが甘いところです。
 実際控え室でも▲74歩は悪手だと言われていなかったようなので、そこまでヒドイ手ではないとは思いますが、腰を落とさなかったところが甘さです。

 これで今期の対局は終了。12月からずっと週1ペースで指し、浮き沈みの激しい4ヶ月でした。これで今度は2ヶ月近く対局が無いと思われます。
 紹介していないNHK予選は、来月の頭位に記事にしようかと。
 今期はまた月末の暇な時にでも振り返ろうかと思っています。


 それではまた
posted by 遠山雄亮 at 21:59| Comment(2) | TrackBack(0) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月05日

伊奈五段戦

 先手番だったので、石田流を採用。ところがこの将棋が千日手になりました。
 ある程度研究もしていた形だったのですが、構想にミスがあり、千日手に逃れる形に。先手番のうえ時間もこちらが多く使っている状態での千日手で、辛い精神状態でした。
 ちなみに35手で千日手になったのですが、これはかなり短手数だと思われます。調べ方が分からないのですが、記録、かもしれませんね。

 さて指し直し局。30分の休憩を挟むので、この間に色々考えました。そして開き直る事に。ここ最近連敗しすぎて嫌気がさしていましたし、言葉は悪いですが「やけくそ」です。
 そこで採用したのはいわゆる「2手目△32飛戦法」


伊奈戦 20.3.4@.gif


 初めてご覧になった方は奇異に写るでしょう。でもこれは最近密かにブームの兆しを見せる立派な戦法です。狙いとしては後手番でも石田流に組もうという事。石田流は見た目の豪快さとは裏腹に手詰まり模様の将棋になりやすいので、後手の方が気楽(千日手でも良いので)という意味があるのです。

 ただ練習でもほとんど指した事が無かったので、不安たっぷりでした。だから「やけくそ」だったのです。

 先手が咎めようとすれば大乱戦になる(詳しくは今週号の週刊将棋と今月号の将棋世界に解説が載っていますので是非)のですが、本局は穏やかな展開に。
 こうなればもう大丈夫、安心しました。むしろ新鮮な気持ちで指せて手が伸びました。


伊奈戦 20.3.4A.gif


 △64銀と44の銀を繰り替えたところ。話の流れ上、今日は私が後手△のまま通します。
 この局面、少し作戦勝ちかと思いました。もはや後手だから千日手を狙うという感じではなく、積極的に討って出ていけそうです。例えば▲16歩とぼんやりしていると、△75銀▲同銀△39角▲48飛△同角成▲同金に


伊奈戦 20.3.4B.gif


 △76飛が王手銀銀取り。こうなれば勝勢です。とはいえ受けるのも難しい格好。▲57金上では形が歪みすぎですからね。少し前に討って出ず、銀を繰り替えたのが良い構想だったようです。

 実戦はこれを嫌って▲26飛。しかし今度はそれを咎めに△24歩▲同歩△25歩から飛先を逆襲。少しずつリードが広がっている感じがしました。

 そして十数手後、突然の投了。優勢だとは思っていましたが、まだまだだと思っていたのでビックリしました。ただ伊奈五段はずっと自分の指しまわしに嫌気がさしていたようです。
 終局は0時過ぎ。なんと2局指して一度も終盤も無いまま将棋が終わりました。

 短い感想戦を終え、荷物を片付けていると、驚くほど多くのカメラに囲まれました。他の結果は全く知らないで(絶対に分からないようして)いたので、ドキッとしました。しかし昇級に関しては前局淡路九段に負けた瞬間から全く諦めていたので、まあ多少注目されていたのかと思いました。
 ところが対局室を出ても解放してもらえません(笑)。さすがに驚き、長年担当記者を務めていらっしゃる山村さんに結果を聞くと、なんと競争相手のうち3人中2人が負けたと。これには動揺しました。しかし控え室に行くと、最後の一人(つまり高野五段ですね)は勝勢との事。
 帰るに帰れず3階の記者室で様子を眺める事に。これがちょっとした幸運をもたらすのですが、それは後ほど。
 しかし局面は勝勢から必勝に。まあ元から諦めていたところで一瞬夢を見られただけでも幸運でした。この順位で2敗で上がったらバチが当たりますから。淡路九段に負けた瞬間には天文学的数字だった目が一瞬出そうだった事を考えても、今期のC級2組順位戦の混戦ぶりが伺えます。

 来期は順位が1〜4位になります(C1の結果次第)。前期の事を考えると、今期は自信になりました。続けて好成績が残せるか、真価が問われそうです。ですがいつも通り、気負いなく、来期も頑張ります。

 ここ最近5連敗していたので、そういう意味でも強敵から白星を挙げられて自信を回復出来ました。悪夢の2月が終わり、月が変わってツキも変わってきたようです。
 今期は恐らくあと一局。こちらも強敵ですが、少し自信が回復した事もあって非常に楽しみな対局です。

 ちなみに先ほどの幸運とは、山崎元さんにお会い出来た事。何故いらしていたのかは聞かなかったのですが、話を聞いているとかなり将棋がお強く、かなりのファンなようです。名人戦棋譜速報も入会していると話されていました。
 いつもブログを楽しく読ませていただいているのですが、ブログで受ける感じとご本人がものすごく近いように感じました。今度はもう少しこちらが冷静な状態で(笑)色々お話をさせていただきたいものです。

 今日は朝起きて名人戦棋譜速報をざーっと見ていました。私の後ろで指していた大一番は佐々木五段が勝っていました。よく踏ん張ったな、という印象です。気になって対局中もお手洗いがてら見てましたが、一昨日の佐藤ー木村に負けないくらいの雰囲気でした。これだけのものを密室で収束させるのは惜しいです。
 名人戦棋譜速報を見ていても、昨日はご覧になられている方にとって非常に面白い一日だったでしょう。初めてその中に当事者でいられて、これが自分自身を成長させるんだな、と強く感じました。そういう事を積み重ねて今の上のクラスの棋士の方は強くなっているのでしょう。これからも当事者となれるよう、頑張っていきます。

 順位戦も終わってしばらくゆっくり出来る、と思いきや、新着メールに将棋世界編集部から原稿の催促が(苦笑)。しかも2本…
 なかなか楽にさせてもらえないようで、本当にゆっくり出来るのは来月になりそうです。


 それではまた
 
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2008年02月22日

藤井九段戦

 昨日は振り駒で後手になり、変則的な立ち上がりから、藤井九段の四間模様に私が居飛車で対抗する形になりました。
 序盤私が急戦模様で立ち向かうも、途中からは囲いあいとなり持久戦に。
 ねじり合いが続きましたが、失敗したと思い反省したのが判断ミスで、その後は少しずつリードを広げられてしまいました。

 この将棋は日経新聞に観戦記が出ますので、そちらを是非読んでいただきたいと思います。

 終了後は記者の方々と飲みに行き、深夜に帰宅。
 今日はこれから研究会で、ちょっと眠いですが(苦笑)、昨日の反省点などを確認しながら指してきます。


 それではまた
posted by 遠山雄亮 at 11:08| Comment(1) | TrackBack(0) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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