先手番だったので、石田流を採用。ところがこの将棋が千日手になりました。
ある程度研究もしていた形だったのですが、構想にミスがあり、千日手に逃れる形に。先手番のうえ時間もこちらが多く使っている状態での千日手で、辛い精神状態でした。
ちなみに35手で千日手になったのですが、これはかなり短手数だと思われます。調べ方が分からないのですが、記録、かもしれませんね。
さて指し直し局。30分の休憩を挟むので、この間に色々考えました。そして開き直る事に。ここ最近連敗しすぎて嫌気がさしていましたし、言葉は悪いですが「やけくそ」です。
そこで採用したのはいわゆる「2手目△32飛戦法」

初めてご覧になった方は奇異に写るでしょう。でもこれは最近密かにブームの兆しを見せる立派な戦法です。狙いとしては後手番でも石田流に組もうという事。石田流は見た目の豪快さとは裏腹に手詰まり模様の将棋になりやすいので、後手の方が気楽(千日手でも良いので)という意味があるのです。
ただ練習でもほとんど指した事が無かったので、不安たっぷりでした。だから「やけくそ」だったのです。
先手が咎めようとすれば大乱戦になる(詳しくは今週号の週刊将棋と今月号の将棋世界に解説が載っていますので是非)のですが、本局は穏やかな展開に。
こうなればもう大丈夫、安心しました。むしろ新鮮な気持ちで指せて手が伸びました。

△64銀と44の銀を繰り替えたところ。話の流れ上、今日は私が後手△のまま通します。
この局面、少し作戦勝ちかと思いました。もはや後手だから千日手を狙うという感じではなく、積極的に討って出ていけそうです。例えば▲16歩とぼんやりしていると、△75銀▲同銀△39角▲48飛△同角成▲同金に

△76飛が王手銀銀取り。こうなれば勝勢です。とはいえ受けるのも難しい格好。▲57金上では形が歪みすぎですからね。少し前に討って出ず、銀を繰り替えたのが良い構想だったようです。
実戦はこれを嫌って▲26飛。しかし今度はそれを咎めに△24歩▲同歩△25歩から飛先を逆襲。少しずつリードが広がっている感じがしました。
そして十数手後、突然の投了。優勢だとは思っていましたが、まだまだだと思っていたのでビックリしました。ただ伊奈五段はずっと自分の指しまわしに嫌気がさしていたようです。
終局は0時過ぎ。なんと2局指して一度も終盤も無いまま将棋が終わりました。
短い感想戦を終え、荷物を片付けていると、驚くほど多くのカメラに囲まれました。他の結果は全く知らないで(絶対に分からないようして)いたので、ドキッとしました。しかし昇級に関しては前局淡路九段に負けた瞬間から全く諦めていたので、まあ多少注目されていたのかと思いました。
ところが対局室を出ても解放してもらえません(笑)。さすがに驚き、長年担当記者を務めていらっしゃる山村さんに結果を聞くと、なんと競争相手のうち3人中2人が負けたと。これには動揺しました。しかし控え室に行くと、最後の一人(つまり高野五段ですね)は勝勢との事。
帰るに帰れず3階の記者室で様子を眺める事に。これがちょっとした幸運をもたらすのですが、それは後ほど。
しかし局面は勝勢から必勝に。まあ元から諦めていたところで一瞬夢を見られただけでも幸運でした。この順位で2敗で上がったらバチが当たりますから。淡路九段に負けた瞬間には天文学的数字だった目が一瞬出そうだった事を考えても、今期のC級2組順位戦の混戦ぶりが伺えます。
来期は順位が1〜4位になります(C1の結果次第)。前期の事を考えると、今期は自信になりました。続けて好成績が残せるか、真価が問われそうです。ですがいつも通り、気負いなく、来期も頑張ります。
ここ最近5連敗していたので、そういう意味でも強敵から白星を挙げられて自信を回復出来ました。悪夢の2月が終わり、月が変わってツキも変わってきたようです。
今期は恐らくあと一局。こちらも強敵ですが、少し自信が回復した事もあって非常に楽しみな対局です。
ちなみに先ほどの幸運とは、山崎元さんにお会い出来た事。何故いらしていたのかは聞かなかったのですが、話を聞いているとかなり将棋がお強く、かなりのファンなようです。
名人戦棋譜速報も入会していると話されていました。
いつも
ブログを楽しく読ませていただいているのですが、ブログで受ける感じとご本人がものすごく近いように感じました。今度はもう少しこちらが冷静な状態で(笑)色々お話をさせていただきたいものです。
今日は朝起きて
名人戦棋譜速報をざーっと見ていました。私の後ろで指していた大一番は佐々木五段が勝っていました。よく踏ん張ったな、という印象です。気になって対局中もお手洗いがてら見てましたが、一昨日の佐藤ー木村に負けないくらいの雰囲気でした。これだけのものを密室で収束させるのは惜しいです。
名人戦棋譜速報を見ていても、昨日はご覧になられている方にとって非常に面白い一日だったでしょう。初めてその中に当事者でいられて、これが自分自身を成長させるんだな、と強く感じました。そういう事を積み重ねて今の上のクラスの棋士の方は強くなっているのでしょう。これからも当事者となれるよう、頑張っていきます。
順位戦も終わってしばらくゆっくり出来る、と思いきや、新着メールに将棋世界編集部から原稿の催促が(苦笑)。しかも2本…
なかなか楽にさせてもらえないようで、本当にゆっくり出来るのは来月になりそうです。
それではまた