この形はプロ同士では居飛車側の勝率がいいのですが、振り飛車の形勢が悪いわけではありません。ただ穴熊を相手にするのは骨が折れます。私もこの戦型をずいぶん指しましたが、振り飛車をもって勝つのは相当に大変です。
佐藤六段の△6四歩〜△6三香が鋭い手で角を召し捕り、有利になったかと思いましたが、図の▲4八金引が粘り強い手でした。前回の船江五段−ツツカナ戦を彷彿とさせる、タダ取られからの二枚腰です。
後手とすればリードしたかと思ったところで具体的な手が見えず焦る局面。
ここでの△6七香成がどうだったか。△8九竜が検討されていた手で、難解だったと思われます。
また検討室にいたツツカナは△4一角!という指摘。3二にカナ気を打たせず△1四角を狙う、と言葉にすれば難しくありませんが、この手は気がついても指せない手ですね。
最後は▲7五歩を△同角と取ったところでやねうら王の評価値が跳ね上がったとのこと。この辺りは後手が辛い将棋だったようです。
色々あった中でいい戦いをされた佐藤六段ですが、結果は無情です。第1・2局とも真っ向勝負で中終盤で競り落とされており、今後が不安になる内容です。とはいえアンチコンピュータ戦略も採りづらいでしょうし、プロ側は難しい戦いと現実を突きつけられている状態です。
控室に豊島七段が来ていて色々話をしましたが、当日に備えてインフルエンザの注射を打ったとのこと。人間は気を使うことが多くて大変です。
第3局ではいい体調と精神状態で素晴らしい戦いをされること、期待しています。
私も現地のあべのハルカスに行く予定です。他の仕事も兼ねて週末は大阪へ出張します。
それではまた