戦形は前回簡単に千日手にしてしまった雪辱を果たすため、石田流に。阿久津六段は早々に角交換をして駒組みをしてきました。

迎えた第1図。▲77桂と跳ねて次に▲85歩と動く手を見せたところ。ここで△76角と▲85歩を防ぐためだけに角を手放してきたのが意表の一手。常識的に考えて角を手放しては良い事が無いようですが、△63銀〜△74歩という攻めを見せて先手に動きを催促してきています。
こういう筋違い角は結構最近まで「異筋」とみなされていましたが、最近は筋違い角の方が守りの金を睨んでいる分良いのではないか、という認識も出ています。
そうはいっても△76角と打ってもらえば作戦勝ちかと思ったのですが、その後の指しまわしがイマイチだったのか、冴えない序盤に。冴えないとはいっても動きづらく千日手模様になった程度なので、先手ならではの冴えなさです。
しかし後手が動きが見せた事で状況が一変。一気に激しくなりました。

今▲63角と打ち込んだところ。△96歩〜△98歩が見えていますが、チャンスとみて動いていきました。
もし△96歩なら▲45角成△97歩成▲49飛(今まわらないと△88とがある)△98歩▲25歩

となって難しい形勢ですが、後手としては攻めている場所が違うので嫌なところでしょうか。それにしても第2図での△33桂には驚きました。穴熊の急所の桂ですからね。しかしこの柔軟な発想は阿久津六段らしいです。
そこから▲45桂△44歩▲33桂成△同銀と進んで第4図

後手は次に△51桂と角を捕獲する手を狙っています。△33桂は全く読みに無い手でしたが、第1感あまり良い手ではないと思いました。その判断は間違っていなかったのですが、読んでいない手を指されたのだからもう少し腰を落とさなくてはいけませんでした。ただ時間はそんなに残っていなく、この辺に課題が残ります。
実戦は▲74歩。これは△51桂なら▲73歩成△同銀▲74桂としようというもの。こうなれば後手陣が薄く先手有利。しかしこれは勝手読み。△51桂の狙いを防げば、と思ったのですが、思わぬ所に穴が開いていました。
▲74歩に△75桂が柔軟な手第2弾。△51桂が狙いだと思っていたので驚きましたが、これがこの際の好手。先手も攻め合うわけにもいかないので▲59桂と受けましたが、△22玉と形を整えられて

ここで思わしい手段がありませんでした。双方狙いが乏しい局面ですが、
・先手の角が狭すぎる事
・後手は△87角成と出来る事
・玉の固さで後手が上回っている事
・先手は将来角の王手が厳しい事
という理由から、既に勝てない将棋になってしまいました。この後はあがいたものの、正確に指されて良い所がありませんでした。
第4図では▲85歩と攻め合うのが正解。以下△51桂▲84歩△63桂▲83歩成と角を見捨てて攻め合えば有望でした。この変化も考えたのですが、他にも色々変化があって難しい事もあり、ちゃんと考えないまま▲74歩と指したのが甘いところです。
実際控え室でも▲74歩は悪手だと言われていなかったようなので、そこまでヒドイ手ではないとは思いますが、腰を落とさなかったところが甘さです。
これで今期の対局は終了。12月からずっと週1ペースで指し、浮き沈みの激しい4ヶ月でした。これで今度は2ヶ月近く対局が無いと思われます。
紹介していないNHK予選は、来月の頭位に記事にしようかと。
今期はまた月末の暇な時にでも振り返ろうかと思っています。
それではまた
結果は残念でしたが難しいところの多い将棋でしたね。課題がまだまだありますね。
来期につなげてほしいです。
攻めがうまく繋がりにくい形になってしまいましたね。石田流は攻撃的なさばき合いにならないと攻めが細く居飛車ペースになっていくような気がします。鈴木八段の勝ち将棋は見事な指し回しですよね。穴熊の桂跳ねはたまに見る筋ですか。阿久津六段も見たことあるような。
NHK杯だったかあったような・・・・(笑)
私などは1図ですでに振り飛車作戦負けと悲観で自信がありません(笑)
一年間大変楽しみにブログを拝見しました。
時々この続き見たいなあと思います。
今日のも、とっても棋譜が見たいです!!