2007年12月31日

2007年を振り返る(将棋界&個人編)

 今日は将棋界全体の一年や個人的な話も。

 将棋界で今年一番盛り上がった話題は、なんといっても渡辺竜王VSボナンザの一戦でしょう。人間VSコンピューターという構図が現代にマッチしたのでしょう。予想以上の盛り上がりを見せました。一棋士としては、これからコンピューターとの戦いというものが自然になっていき、その関り方が大切だという事を考えさせられた出来事でした。

 内部的には女流の独立が一番の話題でしょうか。この問題は将棋界全体の問題でありながら個人ではかかわってない、という複雑な形で、ブログでも取り上げ方にも迷う話題でした。そしてこの事にそもそもの問題の根幹があります。同じ世界の人間でありながら世界が分かれている感じ、という事ですね。
 結果として新たな女流の組織が出来、そちらに移る人と連盟に所属する人に分かれる事になりました。この結果がどうなのか、という声を聞く事もありますが、良かったか悪かったかは歴史が判断する事。今を生きている人達としては今を懸命に生きるしかないわけです。
 私も今まで通り、どちらの団体でも関係無く「女流棋士」として、同じ世界の仲間としてやっていきます。

 対局の面でいえば森内18世名人の誕生でしょうか。名人戦最終第7局は感動的な一局で、今年のベストバウトだと思います。18世は羽生二冠で決まりだと言われていたところから怒涛の4連覇。森内名人の「運命は自分の手で変えられる」というのは歴史に残る名言だと思っています。

 女流では里見女流初段が旋風を巻き起こし、一気にトップクラスと言われるまでになりました。実際実力は遜色無いでしょうから、来年は初のタイトル挑戦、そして奪取の可能性がかなりあると思います。

 新たな棋戦が出来た記念すべき年でもありました。「大和証券杯」。男性女性のトップによる公式戦と企画物の対抗戦。どちらも好評を博しています。なんといってもネットで対局という新しい対局の形式を打ち出した棋戦で、間違い無く歴史に残る事でしょう。まだ第1回で不慣れな点もある気がしますが、回を重ねるに従い成熟し、将棋界での存在感も大きくなっていくと思っています。
 久しぶりに新タイトル戦も誕生しました。「マイナビ女子オープン」。レディースが発展解消して出来たこの棋戦。今までに無い斬新な発想で早くも存在感が出ています。女性らしさを前面に出し、更に素晴らしい棋戦になっていく事を期待しています。
 朝日杯将棋オープン戦も新時代の棋戦。持ち時間40分で、ネット中継多数に公開対局。そしてネット観戦記。全てが新しい事で、こちらも間違いなく歴史に残る棋戦になると思います。
 
 個人的には人生初の引越しをしたのが一番大きな出来事でした。やっと新しい住まいにも慣れ、現在は快適な生活を送っています。せっかく将棋会館に近づいたので、来年はもっと将棋会館に検討に行こうと思います。

 もう一つ大きかったのは、半年間に及ぶ企画に携わった事。そう、「ご主人様、王手です。」。楽しい事も辛い事もいっぱいありましたが、これからの自分にとって非常に大きな出来事でした。配信は現在も行われていて、今週は若手人気棋士の橋本七段が登場しています。出演者なのに笑って観てしまいました。皆さんも是非。
BIGLOBE動画:将棋

 今年一年は「初心者に将棋を教えるにはどうすれば良いか」が自分の中のテーマでした。小学校へ定期的に教えに行き、メイドさんに将棋を教え。人に教えるというのは教わるという事でもあるという事を感じた一年で、本当に勉強になりました。必ずこれからの棋士生活に活きてくると思います。
 そういえば初めての理事選も経験。実際には投票しただけですが、やはり色々な事がありました。さすがに書けない事も(苦笑)。

 棋士になって約2年。色々な事がありすぎて、長いような短いような2年間でした。当ブログもスタートしてもうすぐ2年。読んで頂く方も着実に増えており、皆様には感謝しております。
 来年も変わらず続けていきますので、何卒よろしくお願い致します。皆様良いお年を。


 それではまた
posted by 遠山雄亮 at 12:43| Comment(2) | TrackBack(1) | 将棋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
記憶が甦ってきます。
遠山四段の誠実さに頭が下がります。
素晴らしいです。
充実の日々ですね。
大晦日。
よいお年を!
Posted by 駒落ち好き at 2007年12月31日 17:01
駒落ち好きさん>とんでもないです。ありがとうございます。2008年も充実の年にしていきます。
Posted by よんだん at 2008年01月04日 09:59
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