2007年11月21日

「ウェブ時代をゆく」書評

 今日はまた書評。今回は梅田望夫さんの「ウェブ時代をゆく」。当ブログでも随分登場いただいている梅田さんの新書です。
 梅田ブログの「ウェブ時代をゆく」のカテゴリを
「ウェブ時代をゆく」のカテゴリ (My Life Between Silicon Valley and Japan)

 前回の「ウェブ進化論」の続編、という言い方をしてもまず間違い無いと思います。大ヒットとなったこの本の続編ですから、今回もヒットが予想されますので、非常に沢山の人に「ウェブ時代をゆく」が行き渡るはずです。その事に期待もしています。

 前作はウェブについての紹介にかなりのページを割いていましたが、今作は作者自身の考えをかなり前面に押し出しています。
 梅田さんの最大の特徴はとにかく明るい事。時折楽観主義とか牧歌的すぎるといった批判も目にしますが、批判に満ち溢れたこの日本ではこの明るさは貴重だと思います。もちろん性格もあるのでしょうが、作者自身その日本の傾向に嫌気がさしているのだと思います。
「ある対象の悪いところを探す能力」を持った大人が日本社会では幅を利かせすぎていて(以下略)

 という件を読んでもその事が読み取れます。そしてこういう表現に強い共感を覚えます。

 日本社会は本当に批判の社会。特に最近のマスコミは一つの事を集中的に批判する(朝青龍とか)傾向が強い事からもそれが分かります。徹底的に誉めるなんてスポーツニュースくらいでしか見受けられません。(これも行き過ぎの傾向あり)
 私自身も割と無茶を言う方なので、批判やダメを食う事ばかりです。ブログがそもそも、という話も。否定すると人はその人に勝った気になって気持ち良くなる、という説を聞いた事があります。梅田さんのような人が増えて欲しいものです。私と同じ思いをしている人は、それだけでもこの本を手に取って欲しいくらいです。

 さて内容ですが、前半2章は前作からの続き。といってもこの2年で大きく変わった事は動画共有サービス位のものなので、おさらいといった趣。
 3章から作者の意見が前面に出てきます。インターネットが全盛となった新時代で、いかに働きいかにサバイバルしていくか、という事について語られています。
 例えば「大組織適応性」。聞き慣れない言葉ですが、大組織に適応した人と適応していない人がいる、という事。詳しくは本でお確かめいただきたいですが、あまり語られた事の無い事です。
 「ロールモデル思考法」というのも面白い考え方。一人の人の事を模範にするのではなく、色々な人の良い所を模範にしていく、という感じの事です。将棋で言えば、この局面だったら羽生二冠、この局面だったら渡辺竜王、のように、細かい範囲で模範とする人を変えていく感じですね。この引き出しを増やす事がこれからサバイバルしていくのに大切だと作者は語っています。そしてそれに強く共感しました。これを書くのは作者自身にとっても冒険のはずですが、自分の利益を突き放して考えられる作者の特徴が出ているとも思います。

 というように、インターネットにとどまらず、というかネットの本ではなく、インターネット時代をどう生きていくかに重点が置かれた本といえます。ネットは苦手だから、といって食わず嫌いをしていると大損ですぞ。

 長くなってしまいましたが、これだけは書かなくてはいけません。第3章で私の事が随分取り上げられています。これだけでも当ブログの読者は買いです(笑)
 高速道路を抜けた後、「高く険しい道」を行くか「けものみち」を行くか。私は「けものみち」を行くのに適していると作者は語り、私の行動の実例を挙げて「けものみち」での生き方を解説しています。
 感想としては、私自身ではよく分かりません。もちろん取り上げていただいた事は嬉しすぎます。よく分からないというのは「適している」という事が自分の意識として分からない訳です。だから良いのかもしれませんが。とりあえず今のまま一生懸命やっていく、その方向性は間違っていない、という解釈で良いのだと思います。まあ「ご主人様、王手です。」の講師をやっているのは「けものみち」を歩んでいる良い証拠なのかもしれませんね(笑)
 それに最近は将棋界でも「けものみち」派が馬鹿にされなくなる傾向にあります。昔は「高く険しい道」大優遇であった感じですが、例えば「けものみち」派棋士代表の神吉六段は、昔より今の方が将棋界で認められている印象です。誤解を恐れずに言えば、渡辺竜王も結構「けものみち」派でしょう。そういう人がトップに立っているという事でもその傾向が見てとれます。逆に佐藤二冠は「高く険しい道」をひた走る派ですから、今回の竜王戦は「けものみち」vs「高く険しい道」の対決でもあるのかもしれませんね。考え過ぎの感もありますが。

 最後に「ウェブ時代をゆく」の他の書評も紹介。棋士ブログでは一人だけ書いていました。ブログの先駆者でもあり、地方に住んで普及活動を根付かせる努力をする等、「けものみち」派若手代表のこちらのブログ。
ウェブ時代をゆく (続・大平の挑戦!!)
 私と同じように良い印象を持っている感じです。「けものみち」派には受け入れられやすいのでしょうか。

 前回の渡辺本の時と同じエントリーになってしまいますが、今全将棋界で最もブログの更新率が高い(かもしれない)この方の記事。
渡辺明「頭脳勝負」と梅田望夫「ウェブ時代をゆく」にでてくる遠山雄亮の話 (ものぐさ将棋観戦ブログ)

 そしてアルファーブロガーで、書評の多い小飼弾さんの記事
一識者から梅田望夫へ - 書評 - ウェブ時代をゆく (404 Blog Not Found)
 やはり見方が違くて面白いです。はだかの個の世界、ですか。なるほど。 
 同じくアルファーブロガーの池田信夫さんの記事。
ウェブ時代をゆく (池田信夫blog)
 今までと真逆です。
こんな陳腐な「ウェブ人生論」に多くの若者が支持を寄せるのも、カルトのようで気持ちが悪い。

 という件は、衝撃的でした。何故陳腐かはリンク先を読んでいただければ分かります。この意見も分からなくはない。理想論を語る梅田氏の逆手を取ればこうなりますから。誉めるのも大切だけど、反対意見を聞くのも大切。というわけで取り上げました。
 参考までに小飼さんのそれに対する反応も
「ウェブ時代をゆく」を読む - Vantage Point (404 Blog Not Found)

 熱く語り過ぎてかなり長くなってしまいました。最後になっても言えるのは、とにかく手に取って欲しい、という事です。この本も渡辺新書も同じちくま書房。本屋等でも近くに置いてあるでしょうし、是非まとめてご購入を!


 それではまた
posted by 遠山雄亮 at 18:44| Comment(2) | TrackBack(3) | 長考 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
たびたび紹介していただいて恐縮です。毎日は更新してないので「更新頻度」は大したことありませんが、記事がやたら長いことだけは認めます。もし、お付き合いいただいているのだとしたら、本当に申し訳ないことです(笑)。
「ウェブ時代をゆく」関連のウェブ上の書評では、次の方のものが、すごいと思います。遠山先生が紹介しているαブロガーより、個人的には上だと思っています。多分、P16にでてくる内科医の方の書かれているブログだと思うのですが、よろしかったら読まれてみることをお勧めします。誰かに紹介したくて仕方なかったので、こんなところに書かせていただきました。
日々平安録 http://d.hatena.ne.jp/jmiyaza/
Posted by shogitygoo at 2007年11月21日 21:56
shogitygooさん>確かに量がすごいです。面白いから全然お付き合いしております。
このブログは凄いですね。ゆっくり読んでみようと思います。
Posted by よんだん at 2007年11月23日 18:44
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック

【読書】ウェブ時代をゆく
Excerpt: 『ウェブ時代をゆく』を読了 前作、『ウェブ進化論』を読んだとき、 ウェブのなんかもやもやした新しさが すっきりと整理された気がして感銘を受けた。 この本は、前作の続編とというが..
Weblog: 英語学習の備忘録
Tracked: 2007-11-26 00:27

本「ウェブ時代をゆく」
Excerpt:     (ちくま新書、梅田望夫)       ※  序章 混沌として面白い時代 一身にして二生を経る/オプティミズムを貫く理由/「群衆の叡智」元年/グーグルと「産業革命前夜」のイギリス/学習の高速道路..
Weblog: 富久亭日乗
Tracked: 2007-12-10 08:14

ウェブ時代をゆく(梅田望夫)
Excerpt: ウェブはどう進化していくのだろうか? 個人はウェブを使って、どんな風に生き方を変...
Weblog: Public Comunication
Tracked: 2008-03-07 00:21
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。