全棋譜はこちらで
昨日の封じ手辺りからずっと深浦八段がペースを掴み、食い付いた辺りでは完全に優位を築いていたと思います。
しかしそこから羽生三冠はしぶとく、なかなか決着が付きません。いったん羽生三冠にチャンスがあったのでは、という場面もありましたが、結論は良く分からないまま進み、最後深浦八段が勝ったか、というところからがハイライト。
ハッキリした結論は分かりませんが、101手目の▲73歩がどうだったでしょうか。▲61飛成といけば先手勝ちという結論が出ていただけに関東の控え室では俄然検討に熱が帯び始めました。ちなみに▲61飛成以降は、△82玉▲62金と追い詰めていきます。そこで△92玉というのが「玉の早逃げ八手の得」の格言通りの好手なのですが、ギリギリ先手が残しているようです。
そして△68銀が強烈な一手で後手が勝ちになったか、という声が出る中、105手目▲77桂が飛び出します。これが本譜を見るように詰めろになっているのです。
では先手が勝ちかというと話は簡単ではなく、そこで後手に△76桂という手があったのではないかと検討されていました。超がいくつも付くほど難解なのですが、検討では後手の勝ち筋ではないかというものでした。
ちょうど今現在感想戦が行われているので、恐らく来週の週刊将棋等で解説が出るでしょう。そちらを楽しみにしたいと思います。
それにしても△76桂とは凄い手で、本当に将棋の終盤は奥深い物だと感じました。桂を打ってしまうと▲63金△同玉▲61竜と迫られた時に桂合いが効かず、非常に危ない形。ところがそれより香の利きを止めているのが大きいのですね。とにかく超難解な変化で、さすがの羽生三冠も指せなかったのでしょう。もちろん検討で気付いていない手があって後手が勝てないのかも知れませんが。
この△76桂の凄さが検討で証明され、そして次の羽生三冠の手を待っている間、物凄い熱気に包まれていました。「羽生三冠なら指す」という声も上がっていました。
そして△69銀不成と指し詰まされてしまった後も、「羽生三冠でも分からないのではしょうがない」という声。羽生三冠の終盤力の信用が良く分かる例でしょう。
今期の王位戦は深浦八段の序盤が常に巧みで、羽生三冠は常に苦しい戦いを強いられていました。この第7局でもそうで、結果としてそれが新王位誕生につながった気がします。
終局をネット上の対局室の様子で確かめて帰宅。ご飯を食べて、忘れないうちに早速書きました。と今確認したところ、トップページにも感想が出ていますね。やはり△69銀不成は痛恨の一手だったようです。
しかし将棋の終盤は複雑ですね。最後まで諦めない事の大切さを知る一局でした。
それではまた
【関連する記事】
▲7三歩のところは遠山さんの解説でいいと思います。(普通に攻めていって)
▲7七桂の発見は分かりませんでした。(▲6一龍と直ぐに感じたのですが)
△7六桂以下の筋は読み切れません。(当然ですが)
しかし、後手玉を詰ますことは難しいようです。
それにしても、一手の違いが勝敗を分ける将棋は怖いものですね。
週間将棋必読ですね(笑)
深浦新王位ですね。
悲願の初タイトル。
兄弟子の森下九段が「努力の塊」と評していますね。
研究家として有名ですし、
地道な積み重ねの人ですね。
いわゆる天才型ではないですね。
羽生先生からタイトルが取れるんですね。
日頃のたゆまぬ研究努力と諦めない粘り、
立ち向かう勇気、勝利への執念……
これからのA級復帰、さらなる活躍と
著書に期待したいです(笑)
序盤が勉強になりました。68銀から穴熊にするのは手損はお互いさまとして、手を作られそうで怖い感じですが最後には王の遠さが生きるんですね
時間をかけて盤に並べてみます。石川 歩
今回は王位戦の分かりやすい解説、熱気が伝わるような解説をありかがとうございます。とても参考になりました。
大変かとは思いますが、大一番などでこういう分かりやすく、臨場感ある解説をしてもらえるととても助かります。需要もあると思います。ぜひ今後も期待してます。
ちょっとご無沙汰しました…申し訳ありません。
(現業多忙&熱中症で倒れるなど、体調不良も重なったので…。)
拙ブログで書こうかどうか迷ったのですが、自信がなくて…なにせ、入門者ですから。
小生も、深浦王位の▲4一角あたりから「深浦ペースだな…」と感じました。
ですが、羽生二冠の△3一金などの粘りも見事で、終盤は、大熱戦。
詳しくは、明日の『囲碁・将棋ジャーナル』の佐藤二冠の解説をじっくり拝聴したいと思っています。
やはり、この将棋は、桂馬がポイントだったようですね…。
週間将棋や将棋世界なども入手し、明日の解説もビデオ録画してしっかり勉強しようと思います。