2007年09月19日

佐藤(紳)六段戦

 先手番の私は久しぶりに石田流を採用。▲76歩△34歩▲75歩と進めました。それに対し△84歩▲78飛△85歩と来たので▲74歩といきなりの開戦。升田賞も獲った鈴木八段考案の新石田流です。それが第1図


佐藤(紳)戦 19.9.18@.gif


 この▲74歩に対して後手の佐藤六段が大長考。そしてそのまま昼食休憩。7手しか進んでいない局面での休憩はかなり珍しいと思います。

 この後後手が新構想を出すも実らず結局従来の形に。そこでこちらが「凡手」を指して一気に苦戦に。感想戦でこちらの考えに大穴が開いている事を知らされて愕然としました。アホです。 
 大作戦負けから完封目前。ただ唯一の救いは序盤の長考で相手の残り時間が少ない事。そんな中迎えた第2図


佐藤(紳)戦 19.9.18A.gif


 今後手が△75歩としたところ。相手陣は馬付きの変則美濃囲いでその堅さにクラクラしました。
 しばらく我慢の手が続いていましたが、ここしかないと見て撃ってでました。それが▲85桂の勝負手。この手は前回の順位戦(前局でもある)の小林六段戦でも出た手筋。同じ手筋を連続して指すとはこれまた珍しい。
 以下△同飛▲86歩△82飛▲85歩と伸ばして、これが意外や意外大変な形勢。この手筋、時と場合を選ぶものの、有力な時も多いようです。失敗すると本当にヒドイ目に逢うのですが。

 この後一進一退の攻防が続き、迎えた第3図


佐藤(紳)戦 19.9.18B.gif


 ▲72歩成に△51銀としたところ。押したり引いたりの手が出て、ずっと難しい形勢だと思っていたのですが、急に良くなった気がしました。そこで思い切って▲73と、と指しましたがこれが好手だったよう。
 先手は▲79歩として後手の竜の利きを止めたいのですが、タイミングを誤ると△77歩で逆効果。そのタイミングを掴みにいきました。それは手順を追って。

 以下△47角成▲63と△45香▲52と△同銀▲47銀△同香不成▲38金△48香成▲79歩


佐藤(紳)戦 19.9.18C.gif


 後手の攻めを強引に呼び込んで敢えて攻め合いに。そして引き付けておいて▲79歩。うまく言葉に出来ませんが、これが非常に良いタイミングでした。後手は△38成香▲同玉△77歩としましたがそこで▲26香


佐藤(紳)戦 19.9.18D.gif


 後手から△78歩成とされてもまだ先手玉はなかなか詰みません。なのでその瞬間に寄せきってしまえば良いという発想です。ギリギリまで引き付けて一気に斬るというイメージ。
 具体的には△78歩成ならば▲31金△同馬▲23香成△同玉▲31竜と進めて


佐藤(紳)戦 19.9.18E.gif


 これで先手玉は際どいながら詰まず、後手玉は受け無しなので勝ち。▲79歩が竜の利きを止めて輝いています。
 実戦は後手がこれを避けて受けにまわりましたが、持ち駒を投入してきたので最後は△79竜が詰めろでも何でも無い、という形を作って勝ちきりました。

 本局の良かった点はギアチェンジ。第2図といい第3図といい、そこまでと違う流れの手を指すのは難しいところ。実際最近の課題でしたが、受けから攻めと暖流から激流を上手く切り替えられました。この辺は言葉にするには難しいですが、将棋では非常に大事なところなのです。やはり人間同士だから流れを意識してしまう、という事だと思います。

 課題も多く残った一局でしたが、順位戦で強敵に競り勝てたのは少し自信になりました。長丁場ですが一局一局大切に戦っていきたいと思います。

 そして再び明後日が対局。そんな時に限って昨日の感想戦後〜明日まで魅力的なお誘いをいただきました。しかし疲れを残さない為にも残念ながら全てお断りする事に。無念。それを晴らすには(?)やはり勝ち星が一番です。次も頑張ります。


 それではまた
ラベル:将棋
posted by 遠山雄亮 at 21:59| Comment(6) | TrackBack(0) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
勝利おめでとうございます!
第3〜4図の攻めを呼び込んでおいてからの反撃が非常に興味深いですね〜。やはり人間同士の押し引きの妙なんでしょうか。
だからこそ将棋が面白いな〜と思います。

次の対局も勝利できますように応援してますよ!
Posted by 忍者福島 at 2007年09月20日 00:11
順位戦勝利おめでとうございます!
遅れてきた大器ですね(笑)
序盤早々馬を作られてど必敗かと(笑)
思いましたが、じっくり盛り上がって行って、
相手の歩切れからの
8五桂から飛車交換で勝負になりました。
むしろ先手の平べったい美濃囲いが
固くて遠かったですね。見事な指し回しでした。
金底の歩も利きましたね。
最後は上から横から下から縛りまくりでした。
佐藤(紳)六段相手に完勝形。
前譜に続く、会心譜と言っていいですね。
今期1、2を争う代表局が連続です。
強い!明るい!
A級の感触です(笑)

竜王戦は佐藤二冠が前期に続いて挑戦者ですね。
大事な所でしっかり結果を残していますね。
竜王はいまいち不調のようで
昨年以上に最大のピンチだと思います。
棋界のパワーバランスを考えても、
新世代の為にも
20代前半の渡辺竜王が防衛した方が
活性化には繋がるとは思いますので、
防衛に向けて、
渡辺組を上げて頑張っていただきたいものですね。
Posted by 駒落ち好き at 2007年09月20日 01:24
第1図で相手はどんな手を考えていたんでしょうかね?

先に馬を作られましたが、その後の展開で▲5七銀〜▲6七金で上手く固めていったと思います。
▲5五歩に対して△3二馬と引いてくれたので、先手は返って▲5六銀と伸び伸びと出られて良かったような気がしますが。(△同馬▲4六銀△5四馬▲5五歩△3二馬だったら歩が手損です)

第2図以降の展開で、▲8四歩に本譜は△8四飛から飛車交換になり返って先手が良くなったように思います。
あそこ▲8四歩に△8七桂ならどうだったでしょう? 先手は▲9六角と打って角交換を狙う形になったでしょうね。

第4図に至る前▲4七銀に△4九龍だったらどうでしょう? まだ大変だったかもしれませんね。

しかし、際どい局面を最後はよく読んで勝ちを収めたこの対局は、自信になったんじゃありませんか?
次局以降この順位戦を期待します。
Posted by K.O at 2007年09月20日 10:16
おめでとうございます。
振り飛車難しいので自分は24で全然振り飛車で勝てないです(笑)


でも遠山先生の棋譜を見てると、振り飛車の良さが見えてくるので勉強になります。
Posted by とし at 2007年09月21日 13:23
これは強い勝ち方ですね。
とても参考になります。
おめでとうございます。
Posted by 式 at 2007年09月23日 21:36
忍者福島さん>この手順、プロには評判が悪いようです(苦笑)

駒落ち好きさん>竜王に負けず20代頑張らなくてはいけませんね。

k.oさん>△87桂なら▲96角がピッタリです。この桂を取り返すと、取られそうだった桂が持ち駒になるわけですから大戦果です。

としさん>振り飛車にも是非チャレンジを!

式さん>ありがとうございます。プロに評判がよくなかった事を考えると真似しない方が無難かもしれません(笑)
Posted by よんだん at 2007年09月26日 00:02
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