2007年09月14日

森内名人戦(銀河戦決勝トーナメント)

 さて最後は銀河戦決勝トーナメント1回戦の森内名人戦。銀河戦は予選を抜けた後、ブロックで5連勝して決勝トーナメント進出。勝った相手は強敵ばかりだったので、この対局にも自信を持って向かいました。ただ懸念はこの時4連敗中だった事。強敵と当たる時に自分の調子が上向いていないのは残念でもあり、それこそ普段の行いが悪いともいえます。

 7/27(対局日)
 8/18(放映日)

 振り駒で後手になり、NHK杯に続いてゴキゲン中飛車へ。森内名人にしては珍しく角交換の将棋を選択。遠山流も指せたのですが、NHK杯で負けた事もあって今回は普通に囲う展開に。
 解説の都合上先後逆にしてあります。という事で▲が私。また、全棋譜が囲碁・将棋チャンネルのHPで見る事が出来ますので是非チェックしてから解説を読んでください。

 第1図は後手が△75歩と突き捨ててから△25歩と来た場面。


森内戦 19.7.27@.gif


 ここで前からの読み筋通り▲44銀と突進したのが冴えた一手。普通△26歩から銀冠を崩されて良いという事は無いのですが、この局面では△76歩が見えているのでそうも言ってられません。そこでむしろ守りの銀も加えて一気に突き進もうというのが本譜の進行。
 以下△26歩▲同銀△76歩▲66角△77歩成▲35銀引と進んで第2図


森内戦 19.7.27A.gif


 角と銀2枚による迫力満点の攻め。後手は歩切れのためピッタリした受けがありません。ここから飛取りに構わず更に突進を続けます。
 △33桂打▲34銀△88と▲24歩△49角▲23銀打△31玉▲32銀成△同金▲23歩成△58角成


森内戦 19.7.27B.gif


 猛烈な攻め合いに。後手も受けを放棄してお互いわが道を進んでいます。そして結果的には勝機十二分だったこの第3図。

 現在先手の飛桂損。しかし、と金の存在と後手の歩切れにより少し良いのではないかと思っていました。そしてここで考慮時間を3回使い指したのは▲33と。
 これが悪手で形勢不明に。棋譜を見ていただければ分かりますが、ここからの展開は一気に寄せてしまおうというもの。形勢が接近していると思ったので、ギリギリの寄せを目指すべきだと思いました。
 ところがその形勢判断が誤り。実はこの局面、私の方が優勢どころか勝勢に近かったようです。感想戦でも森内名人に「ここは全然ダメだと思った」と言われ愕然。
 ここでは▲22歩からジリジリ駒を取りながら攻めていけば、というかこの手さえ指せれば確実に勝っていたでしょう。ちらりと浮かんだのですが、玉を逃がす寄せなのでためらいがありました。しかし形勢がだいぶ良いならば切れない攻めを目指しつつ上部を厚くすれば負けの無い形勢でした。
 これがNHK杯の時に学びながら生かせなかったところ。焦っちゃいけないのです。本譜は寄せに行ってるのですが、完全に焦りながら指しています。
 もう一つ。形として最後に▲74桂が逃げ道を塞ぎながら飛取りになる味の良い手になりそう。これは分かっていたのですが、それならなお△88歩と指しそうなもの。そういう思考を持っていながら本譜の順に飛び込んだのは、やはり未熟です。

 混戦となりましたが、厳密にはもう一度チャンスがありました。それが第4図


森内戦 19.7.27C.gif


 後手が△49銀と攻め合ってきたところ。ここで▲43金△同金▲同銀成と下駄を預ければ勝ちがあったかもしれません。以下△38銀成から際どいのですが、感想戦そしてその後の検討でも詰みが発見出来ませんでした。
 本譜の▲48金打は良い手だと思ったのですが、△27歩▲同玉△67馬がそれを上回る好手順


森内戦 19.7.27D.gif


 さすがの順で逆転してしまいました。▲42成銀△同玉に▲55角と逃げるよりありませんでしたが、△25歩▲同銀△45金が上手い順で逆に苦しくなってしまいました。
 この後は粘る順があるも、途中の気持ちを引きずってしまってあっさり土俵を割ってしまいました。

 振り返るとやはり辛い一局。今でも悔いが残ります。この悔しさを晴らすにはもう一度上の方で当たり勝つしかありません。そのためにももっともっと強くなって、もっともっと勝っていきたい、ただその一念です。今期の銀河戦決勝トーナメントでは同い年のエイちゃんこと飯島五段が、前に銀河戦で逆転負けを喫した羽生三冠に借りを返しました。それを見て、自分もかくありたいという気持ちをまた強くしました。必ず今度は勝局を当ブログで紹介したいと思います。

 というわけで真夏の大一番3局は全敗。前の教訓を生かせなかったり力みすぎたり。冷静に今振り返ると情けない気もします。ただ裏返せばまだまだ進化の余地があるという事。格上に臨んだ2局はどちらも勝機十分でしたし、技術的にそこまで劣っていないという自信も持てました。またこうしたチャンスを作れるよう、一局一局大切に、気持ちを込めて戦っていきます。


 それではまた
ラベル:将棋
posted by 遠山雄亮 at 16:48| Comment(3) | TrackBack(0) | 対局結果 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
名人相手に明らかに優勢の局面まで進んでいただけに惜しかったですね。この将棋は森下九段の解説がとても的確であったのも印象に残りました。
Posted by spinoza05 at 2007年09月15日 17:01
長文解説ありがとうございます。
行いが悪いということはないと思いますが(笑)
返す返すも悔やまれますね。
4図ではなるほど4三金がいいですね。
4二成銀からよりも手駒に持てますね。
自陣は4八に角が利いていますし、
相手は斜め駒がありませんからね。
一目詰まなそう、と勝負する度胸も
必要かも知れませんね。
進化の余地は大ありですから(笑)
一局一局、一手一手、
勝利を掴んで欲しいと思います。
Posted by 駒落ち好き at 2007年09月15日 22:14
spinoza05さん>森下九段は流石ですね。

駒落ち好きさん>▲43金が見えてないんだからダメでした。ただこういう所で開き直れるようになるには場数が必要な気もします。精進あるのみです。
Posted by よんだん at 2007年09月25日 23:54
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