この日もありそうで前例の無い局面が続き、悶々とした時間が流れる。
仕掛けがうまくいき、どうも少し良さそうな局面で迎えた第1図。解説上先後逆になっていますので、▲が私です。

今▲73飛成に△61飛と逃げたところ。駒損無く飛を成りこんで良さを実感。後手の主張は玉頭の厚みで、△63角の応援もある事から先手は上手い攻めが必要。
ここで▲36歩が決断の一手。玉頭の厚みが後手の主張なので、それを解消してしまえば自然と優位が転がり込んでくるはず。
実戦は△72歩としてきたので、▲63竜△同飛▲35歩△23銀▲34桂と玉頭に殺到。ただし飛を渡しているので正確な指し手が求められています。
以下△同銀右▲同歩△同銀▲35歩△43銀▲34銀△25歩と進んで第2図

最後の△25歩は勝負手で、受けていてもキリが無いとみて、攻め合いに活路を求めてきました。ここで残り2時間から54分をさいての大長考。終盤では異例の長さですが、なかなか上手い手が見えませんでした。
例えば▲33銀成△同金右▲34歩△同銀▲52角は両取りで味が良いように見えますが、そこで△54歩が強烈。

▲33角成にも△同飛と取られてしまうのでこれは逆転。とにかく「△54歩」を良いタイミングで突かせて飛に働かれるのは避けたい。
▲33銀成△同金右▲34桂△23玉に、▲25歩もあるところで、次に▲33角成とすればかなり厳しいのだが、△44歩と角道を止められて嫌。そこでいきなり▲33角成△同玉(△同金は▲41角の王手飛車)▲51角も考えられるところ。最初はこれを中心に考えていました。

△42歩は必然で寄るかどうか。以下▲同桂成△同金▲34歩△同銀▲44金と手筋を駆使して攻める。しかし△32玉▲34金△54歩。再び出てきた「△54歩」

これでは勝ちとはいえない。むしろ危ないところ。とにかく眠っている△63飛に働かれたくありません。
熟考してついに考え付いたのが、▲33銀成△同金右▲34桂△23玉(ここ以外は簡単に寄り筋)に▲37桂という手。

この手の発見にかなり手間取りました。これは△44歩なら▲25桂を見せているので後手にも厳しい手を要求した手といえる。△54歩にはそこで▲33角成が好手順になります。
そこで後手は最強の△26歩。それに対し▲33角成△同玉▲51角△42歩▲25桂△24玉▲42桂成と進め

これで後手玉は受け無し。先手玉は危ない形ながら△27歩成には▲同金で詰みは無い形。▲68の金もちゃんと効いています。
実戦は▲27同金で後手が投了。珍しく読み切って勝った一局で、切り合いの得意な小林六段に切り合いの勝負で勝てたのは自信になりました。
次の対局も恐らく順位戦なので、集中して次戦の難敵に臨みたいと思います。
それではまた
ラベル:将棋
解説もわかりやすかったです。
本局は早くも遠山四段の今期ベスト1とも言える
好局快勝譜かと思います。
筋良くきれいなゴキゲンの教科書のような
一局でした。
ですが最近は7二金の遠山流よりも
6二玉からの方が有力のようですね(笑)
向かい飛車にしてから銀冠に組んで構えるのが
流行でもあり好形ですね。
先手は玉頭を厚く位取りですね。
しかしこれはこれで動きづらいですか。
後手は最近注目の2五桂からの逆襲の筋ですね。
小林六段は取りませんでしたが、
遠山四段がリードしました。
龍切りから二枚角と桂のコンビネーションで玉頭戦を
制しました。素晴らしい気持ちよい一局でした。
強い!
次局は強敵ですがさらなる勝ち星を求めるしかないですね。
また、丁寧な解説ありがとうございます。
順位戦での勝利ですから、何にも増して喜ばしいです。
さらなる勝利を心より祈念しております。
第2図以下の攻め手順の解説が詳しく、▲3三角成りのタイミングの妙を感じました。
次戦も頑張ってください!
後手番はやはり中飛車ですよね。
渡辺明ホームページに依ると順位戦速報の課金方式が変わるとか。
これで順位戦観戦が楽になりそうです。ペイパービューが一番。
序中盤辺りの駆け引きが勝負を分けそうな戦法です。(個人的には好きな戦法ではないのですが)
本譜のように、先手は△2五桂を取ることは出来ないのですかね? 飛車先の歩の突進が大きいのかな?
次戦もこの調子で!