今教えに行っている小学校でもそういう子ばかり。また春休み子供教室でもそういう機会多数。また、まだ本決まりではないものの、初心者に将棋を教える仕事がまた一つ増えそう。
今年は「どうやって将棋を覚えて楽しんでもらうか」が一つのテーマであります。
皆さんも将棋を覚えてもらうよう教えた経験があるかと思いますが、これが本当に難しい。特に棋士は私も含め、物心ついた時には既に初段近く、どうやって将棋を覚えて強くなったのか、全く覚えていません。なので初心者の人の気持ちを汲むのに難儀します。
将棋を覚えてもらうのに、何かマニュアルでもあれば良いのですが、残念ながら現在の将棋連盟には無く、個人個人で考えながらという形を採っています。
しかしこれは非常にマズイ事で、これだけの棋士がいるわけですから、アイデアを持ち寄り一つにまとめるべきだと強く思います。
そうやって「誰でも教えやすい」マニュアルを作りださないといけません。そうした物が連盟HPにあれば、将棋を覚えたい子供を持つお母さん等の役にも立ちます。
さてそういった「アイデア」。私の使う「手」を一つご紹介。駒の動かし方を何となく把握した位の時に使えます。
まず一番初めの形に並べてください。(相手も並べるのがミソ)
さて自分(手前)の駒は何通り動かせるでしょう。

皆さんも考えてみてください。
とはいえこれはよくある問題。正解は30通り。一つ一つの動きを確認する事で、「駒の動かし方のマスター」と「自分の駒があると進めない」事を覚えてもらえます。
さてここからが本題。次に、飛先の歩を無くします。これで歩が一つ減ったので29通り。けれど飛が動けるようになったのでそれ以上に動かせる所が増えました。全部でいくつになったでしょう?

これは答えを聞くのが肝心。多い答えは「33通り」。
一緒に数えてみましょう。(実際は一緒に動かしてみます)
27飛、26飛、25飛、24飛・・・4通り。29+4=33
これは間違いですね。正解は「34通り」。「相手の駒は取りながら進める」ので、23飛もOKなわけです。
ここで大切なのは、「相手の駒は取れる」と「飛は大きく使う」という事。これを覚えてもらえます。
さて最終問題。今度は角先の歩を無くしました。これで何通りになったでしょう?

さきほどの問題を解いているのでもう大丈夫でしょう。一緒に数えてみます。
77角、66角、55角、44角、そして33角
29+5=34通り。
こう答える方が多いでしょう。大体の子供は勢い込んでそう答えます。皆さんもそうでしたか?
しかし、、、これは不正解。何故でしょう?
そう、「77桂」を忘れています。つまり全部で「35通り」な訳です。
ここで覚えて欲しいのは「角も大きく使う」と「将棋はわずかな違いで色々な手がある」という事。
特にここまで問題を解いてもらうと、興味を持たせやすくなる気がします。
これは私の一つの手段。こうした知恵を皆で持ち寄れば、きっと良いマニュアルが出来ると思います。早急に将棋連盟は行うべきだと思いますしお願いもしています。
またここはネットの良さを活かして、アイデアをHP上に皆で書く事で意見を集約していくのも面白いと思います。
私が読んでいるブログでこういった教える事をよく取り扱っているのは
自陣飛車と遠見の角
のぺのげPart3
この二つのブログ。私も参考にさせていただいています。初心者を教える機会のある方は、是非目を通してみていただきたい。また、棋士の方もこういうブログを読む事は非常に有益だと思うので、是非読んでみてください。
それではまた
ラベル:将棋
【関連する記事】
長野県松本市で年に2度ほど開催される「窪田空穂(くぼたうつぼ)将棋教室」には、いつも石川六段・勝又六段が中心となり、棋士の先生方がいらしてくださっています。
その教室では全くの初心者を勝又先生がおしえていらっしゃいます。
教え方がとても楽しく、私もいつも参加させていただいています。
「歩は“歩く”って書くでしょ。歩く時、横歩きや後ろ向きに歩く人、いないよね。だから歩はひとつづつ前に進もう」
「飛車と香車、どっちも“車”って字があるでしょ。でも、駒の大きさを見てごらん。飛車の方が大きいよね。香車は部品が足りない車。後ろに下がったり横へは行けないんだよ。」
ひとりひとりの目を見てわかりやすくお話をしてくださる勝又先生。とても楽しい説明です。
拙HPで教室のレポートをアップしています。ご参考になれば・・・と思い紹介させていただきます。
http://www.geocities.jp/hatakeedamame/utubo06-11.htm (窪田空穂将棋教室レポート)
http://www.geocities.jp/hatakeedamame/utubo.htm (窪田空穂将棋教室開催までの経緯と広がりについて)
来る7月28日に今年度の窪田空穂将棋教室があります。今度は初心者への教え方をもっとくわしくレポートしてきます('-^*)/
以下のホームページが参考になるかも知れません。
http://homepage3.nifty.com/dousyourenn/dosyoureenn-syosinn-top.htm
直リンクです、すみません。
また、中級の頃には、「谷川王位に挑戦」という3冊シリーズのゲームブックが大好きでした。小さい子にはすごく人気があり、糸谷四段も週刊将棋で紹介していましたね。
過去の本も参考になりますし、今風にアレンジすれば普通の将棋の本並みに売れるようにも思います。
4月に普及指導員の審査を受けたときに,「教え方の教え方」の講習があるものだと思っていたらなくて動揺しました.
それ以来,他の人がどう教えているのか気になっています.
第2図と第3図,私は間違えました….
おそらく父からだと思うのですが、いやはや。
よく学問の分野でいわれることの一つに「教えられて初めて理解しているといえる」と言うのがあります。将棋にあてはまるかは分かりませんが、教えること・教える中で新しい発想や発見があれば面白いですね。
子供相手に「わざと負けてあげる」是非についても考えてしまいます。
>多い答えは「33通り」
やはり▲2三飛成の見落としでしょうか。
あるいはもしかして、タダ捨ての▲2四飛は禁じ手だと思い違いしたとか。
>正解は「34通り」
▲2三飛不成も選べますからパズル的には微妙なところです。
子供たちから「35通り」という答えはありませんでしたか?
しかし「香は部品が足りない」ですか。インパクトある言葉で覚えるにはうってつけですね。
Ravieさん>これは初めて知りました。ありがとうございます。ネットの中には本当に色々な物があり、こうして有益な物も誰かが作っているんですね。
Keyさん>「教え方の教え方」が全く無いんですよ。ホントに。ヒドイもんです。絶対に「教え方の教え方」を作らなくちゃダメですね。
k.oさん>覚えたての人には絶対に負けてあげる事が肝心だと思います。だって負けてばっかじゃつまんなくてすぐに止めちゃうでしょうから。
ちなみにこの問題を出す時は成る成らないの概念を教えてない時が多いので、そういう屁理屈的回答(笑)が来た事はありませんよ。