岡崎六段との一戦は後手になりゴキゲン中飛車に。5筋の位を張り、それを急戦で咎めにくる将棋へ。
大決戦となりそうな第1図。分かりやすいよう私が先手となっています。▲が私、△が岡崎六段です。

今▲56飛とぶつけたところ。実戦は大長考の末△55歩と受けてこられました。もし△同飛なら▲同金で、△69飛くらいに▲77角が攻防の一手。金取りが受けづらい格好です(△53銀には▲54歩が好手)。やはり決戦となれば先手の美濃囲いが生きてきます。
受けさせて気持ちは良かったものの形勢は不明。若干の疑問手を織り交ぜて迎えたのが第2図

△25銀に▲26銀と受け、△33桂と繋げた局面。駒の働きは悪いものの銀得なので少し良いと思っていました。しかしここで▲25銀△同桂▲16香と進めたのがヒドイ手順。
▲○○○△16歩▲25銀でも△同桂▲16香と進みそうなので、1手と1歩を損しました。もし△同桂のところで△17歩成とすると▲同桂△25桂▲同桂とうまく処理する事が出来ます。
この手筋に全然気が付かず、終局後解説の達七段(当時六段。逝去後贈七段)に指摘され唖然としました。
丸々1手損では形勢を損ねるはずです。
その後岡崎六段もやや逃し気味で混戦に。しかし上手い手順を出されたのが第3図

ここから△16桂▲27玉△42馬が好手順。銀が受けづらい上、先手の狙いである▲82飛成〜▲54馬の空き王手の筋を消しています。
さすがに悪くなったと思いましたが諦めず▲24香。
これに対して△18歩成▲同玉△14歩▲同銀△17歩が好手順で負けだと思っていました。ところが実戦の指し手は△33銀

チャンスが来たと思いました。以下▲25歩△24歩の局面は明らかに攻めが重いからです。
ところがここでチャンスだと思いすぎました。

▲82飛成と平凡に指し、△25歩に▲62馬と攻め合えば勝機十分だったでしょう。しかし実戦の指し手は▲36桂。
これが気負いすぎた大悪手。以下△35金▲24桂△23玉と来られて参りました。飛と馬が遊んだままで攻め合いになってはいけません。

以下は放送をご覧になられた方や棋譜をご覧になられた方ならお分かりでしょうが、一直線となって一手負けコースに。飛が最後まで働かないままなのが敗因でした。
第5図で冷静に▲82飛成と指せなかった事が非常に悔やまれます。良くなったという判断は間違っていなかったのですが、若干その気持ちが強すぎたようです。この辺が人間の難しいところ。そういった気持ちの揺れ動きが面白いとも言えます。
というわけで残念ながら負けてしまいました。しかし本戦で5連勝し最多勝ち抜きが決定していて、次は決勝トーナメントに出場します。必ず最終勝ち抜き者と当たるので、超強敵(竜王とか二冠とか名人とかの可能性もある。三冠だけは同ブロックのため1回戦は当たらない)が予想されますが、気合いを入れて頑張ります。
ちなみにこの将棋の反省を活かし、2日後に行われたNHK杯予選で3連勝しました。この逆転負けも無駄ではなかったかもしれません。負けるのもまた勉強です。でもそれは本当はちょっと負け惜しみで、もっと連勝を伸ばしたかったです(笑)。
それではまた
ラベル:将棋
毎回これだけの解説をしていただけるブログはまずないですから、長く続けていただきたいです。
「ブログを喧嘩の道具にしないのが棋士の流儀」となりませんかね。
なるほど、8二飛車成が指したい手でしたね(笑)
第2図もそうでしたか。それならば6三歩の垂らしや、
5二馬がよかったですかね。5四馬と引くなら
8九飛車ですか。
決勝トーナメントは気合いを入れて金星行きましょう(笑)NHK杯もありますし、今期は順位戦でも上に行って貰わねば。時間の長い将棋でも腰を落として優勢を勝ちきる終盤が見たいですね(笑)