私は終日現地に詰めて検討にも加わっていました。
この対局ほど人間とコンピュータの価値観がぶつかり合った対局は見たことがありません。
戦いが始まってから、棋士はほぼ全員先手持ち、控室のソフトと対局者(Ponanza)は全員後手持ちでした。
こういう場合どちらかが正しいというよりは、形勢が難しいケースが多く、本局もその例にもれないでしょう。
104手目の△8三歩まで、均衡の取れた素晴らしい内容でした。
互角のままずっと推移していったらどういう結末を迎えたのか。素敵な推理小説のトリックを読み損ねてしまった気持ちです。とはいえ屋敷九段もPonanzaも戦いが始まって80手近く好手を続けていたと思われ、その強さにはため息が出ました。検討していて勉強になりました。
最後のミスについての真相は本人しかわかりませんが、さすがの屋敷九段といえども体力気力とも苦しい状況だったと思われます。
森下九段が記者会見等でさかんにお話されていた「ヒューマンエラーをどうなくすか」というのは人間の大きなテーマであり、今後も特に対コンピュータ戦で問われていくでしょう。
これで長い5週間が終わりました。最後は打ち上げにも出席し、余韻を楽しむように深夜まで関係者や開発者とお話をしていました。
第3回電王戦は最初盛り上がりに欠けている印象で、第2局では不幸なトラブルもあり、先行きに不安を感じていました。
しかし熱戦が多かったことや関係者の努力もあり、1局毎に盛り上がりをみせ、最後は70万人を超える来場者数でした。一つの番組では前例が少ないほどの多さとか。
情熱大陸など一般的に取り上げていただく機会も多く、この電王戦には大きな価値があり、潜在的な力もかなりあると認識しています。
第4回についてはまた項を改めて、総括と一緒に書こうと思います。
それではまた
電王戦という形でなくてもいいのですが、トップソフトの最高の将棋を解説付きで見る機会が増えてほしいと願っています。
それでポナンザ・クラスターとプロ棋士(盤駒+合議制+時間無制限)での対局を希望します。
今年の条件でこの成績は非常に厳しいものでしょう。
来年もしやるとすれば、コンピュータの方の性能を制限する(すなわち棋譜の質が下がる)
のではなく、人間の方のパフォーマンス(より強い人を出すとか、ミスを少なくするための
持ち時間、盤駒使用など)を上げる方向でいってほしいと個人的には思います。
そうすればよりレベルの高い棋譜が生まれ、勝っても負けても、それを解説するプロ棋士が
しっかりしてくれれば本当に将棋が好きなファンは十分に楽しめると思っています。
どういうふうに相手の制限をすれば勝てるか、ではなく、どうすればより質の高い
棋譜が生まれるか、という方向で検討してくださることを強く願います。
流行の戦型のマネばかり。
それに比べて
コンピューター選手権の棋譜は異次元のねじりあいの将棋で
見ていて楽しいよ。
前回の第二回でコンピュータが強いのは折り紙が付きました。
今回は人間側の指し手に、プロの感覚とコンピュータ独特の読み筋を融合させた考え方が見られるかなぁ?等と思っていました。
電王戦本戦は'勝負将棋'ですから、プロ側にそんな余裕は無かったでしょうけど、プロ公式戦では、名人戦のポナンザ新手や後手横歩取り62玉等、新たな戦略として将棋界にインパクトを与えているようです。
記者会見で開発者の方々が述べておられた、「プロの技術の更なる進歩と、プログラムの更なる発展」が始まっているように感じます。それは素晴らしいことです。
でも、厳しく言えばプロは負け過ぎでしょう。ずっと負け越しでは興行として成立しません。
次回第四回電王戦ではコンピュータはもう一つ強くなっているでしょう。でもプロもコンピュータの考え方からインスパイアされた指し手を見せて欲しいと思います。
4枠にひふみん
5枠に康光さんかナベアキで
で、次の年に
4枠に谷川会長
5枠にウティか羽生さん
でも、そこまで人気が持つかどうか。
ずーと持ち続けてる疑問ですが、PC対策に随分時間が必要と言われます。
ただ、同じ将棋ですよね。対人間、対PCでそれほど変わるものなんでしょうか?
野球がソフトボールになるわけではないですよね。
電王戦の結果を踏まえては?PCで訓練したものがそのまま対人間にも使えると考えるのが筋ではありませんかねぇ。
PC対策に何局指した、何時間指したとか言ってるうちは勝てないかもしれませんねぇ