1位 (初代電王)ponanza
2位 ツツカナ
3位 YSS
4位 やねうら王
5位 習甦
全棋譜も電王将棋トーナメント公式サイトにアップされています。
1・2・5位は第2回電王戦でもプロと対戦した強豪ソフト。
ponanzaとツツカナは力が抜けていて、さらに21戦全勝だったponanzaは相当の実力です。
習甦は予選絶不調で、そこから巻き返したのはさすがの実力といえます。
3・4位は戦略や工夫で勝ち上がったソフト。開発者の方の力量で順位を上げた感じです。
YSSは古参ソフトで、非Bonanzaというところに心意気を感じます。(評価関数はBonanzaメソッドを使っているとコメントでご指摘いただきました)。
やねうら王は序盤作戦や時間の使い方など、あまり重要視されていなかった手法で上位進出を果たしました。
3日間通じての印象として5位までに入ったソフトの実力は高く、第2回に続いてプロ棋士側も厳しい戦いを強いられそうです。
優勝候補と目されたBonanzaは決勝トーナメントで2連敗して敗退。大会通じていまひとつ冴えがありませんでした。
5位決定戦1回戦でAperyに負けた時、波乱という言われ方でしたが、昨日とりあげた将棋も総合的にAperyのほうが実力は上かもと感じていたので驚きはありませんでした。
ちなみにそのことをある開発者の方に話したところ、何故か驚かれました。
コンピュータ将棋のレーティングがAperyのほうが上で、それを知らない私が言ったからだそうですが、将棋を見る目は多少あるのです(笑)
ponanza、ツツカナと若い開発者が1・2位を占めたこと、新しい開発者がジャイアントキリングを起こし、しかも新しい技術開発を全員に呼び掛けていたこと。
なにより新しいスポンサーがコンピュータ将棋に進出したこと。
これらはコンピュータ将棋が新しい局面に突入しつつあることを示しているのかもしれません。
今大会は、ハードを統一することで開発者の工夫や知恵を競い合う、という趣旨がきちんと活かされたと思います。クラスタ化でハードを強化してソフトを強くするというのも一つの道ですし、限られたリソースでいかに勝負するかというのを競うのもまた一つの道でしょう。
ところでコンピュータ将棋との共存共栄は電王戦の一つのテーマであり、私もずっと心にとどめていること。
3日間じっくりソフトの将棋を見て、開発者と語り合うことで、一つ思いついたことがあります。
それはコンピュータ将棋を強くするやり方を人間に応用できないかというもの。
分かりやすい例でいえば、コンピュータ将棋はプロの棋譜を学習していますが、それは多くの棋譜並べをして定跡を覚えるのとほぼ同義です。
これは既にやっていること。
3駒関係(興味ある方はBonanzaのwikiで)は活かせないものか。
玉と飛と角の3つの駒がどこにいるとバランスがいいかとか、銀の退路に歩があるとマイナスとか。
その他色々方法があり、そのまま人間には適用できなくとも、工夫次第で今までに無い効率的な学習方法が生まれるかもしれません。
今後行う指導に色々採用していき、効果の高いものは発表していこうと思います。
実り多き3日間を振り返りました。
電王戦のプロ棋士との対戦は来年の3〜4月、それまでにも12月頃にイベントが予定されているようです。
今後もご注目ください。
それではまた
YSSもボナンザメソッドで評価関数を作っているみたいですよ.今年のYSSのアピール文書にあります.
http://www.computer-shogi.org/wcsc23/appeal/YSS/20130512appeal.txt
つっこみさん>ご指摘ありがとうございます。修正しました。
3駒関係は以前、どのようなケースで高く評価するかを
調べてみたことがあります。
http://navi.cs.kumamoto-u.ac.jp/~koutaki/shogi/p150/
http://navi.cs.kumamoto-u.ac.jp/~koutaki/shogi/n150/
なにか参考になれば幸いです。
貴重な情報ありがとうございます。参考にいたします。
と思っていましたが、こうして回を重ねる毎に少しずつ様相を変えて行きますね。
ニコニコで森下九段がコンピュータを練習パートナーとして使っていることを話していました。聴きながら正に隔世の感がしました。第三回電王戦は、また一つ様相を深めるのでしょうか?
楽しみでもあり、怖いようでもあります。
ただ、とても誠実な方で、素晴らしい記事も書かれています。
「価格詐欺」
http://d.hatena.ne.jp/yaneurao/20101118
こういった感覚を持っている方が(直接的にせよ間接的にせよ)将棋界に関わることになったのも、電王戦の効果だと思います。