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第2回電王戦5 〜これからのコンピューター将棋〜
ところで電王戦第3局は船江五段がツツカナに逆転負けを喫しました。
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そのきっかけといえるのが94手目の△6六銀。
この手に対する評価は各地でされていますが、私としてはコンピューターが放った勝負手として注目しています。
ここは先手が勝ち。当時の検討、局後の感想戦で出した結論。後手は何を指してもまずい場面です。
△6六銀では△6四銀が普通ですが、▲2七角△5五銀▲5七角とされると負けとなります。
この手順は先手としてもこう指すよりなく、その後も平易な手順なのでおそらく先手がまもなく勝ったでしょう。
しかし△6六銀にも▲2七角とすれば△5五銀よりなく(金や銀を先手に渡すと詰みがあるので他に指す手が無い)、以下▲5七角で先手がハッキリ勝ちでした。
とはいえ△6六銀ならば▲同竜が後の詰み(△5八金▲同玉△3八角成に▲1五銀以下の詰み)をみてこう指したくなるもの。
人間相手なら△5八金ときて、以下詰まして終了という呼吸でしょう。
しかし諦めの悪いコンピューターに延命されて決着が先延ばしとなり、結果的に最後の逆転につながりました。
実はツツカナは△6六銀の場面では自分の勝ちと読んでいました。
▲同竜に△5八金▲同玉△3八角成と進め、自玉に詰みなし相手玉に受けなし、というもの。
しかし実際は△3八角成に▲1五銀から詰みがあります。
▲6六同竜の局面で自玉の詰みに気が付いたツツカナは咄嗟に△4二歩と受け、結果的に延命に成功したのです。
△6六銀は▲2七角でも▲同竜でも後手がダメなのですが、相手を迷わせる効果がありました。
コンピューターが意識して指したわけではありませんが、将棋の終盤の複雑さゆえに産まれた偶然性による勝負手だったのです。
事前の予想で書いた中では
・競り合いにならない
・コンピューターは勝負手を放てず、ずるずる負ける
という点が大きく外れています。
予想不能の電王戦、残り2局もお楽しみください。
それではまた
やはり、コンピューターも詰みを見落としますね。
そして、読みの水平線を超えた時点で、詰みに気づくと。
勝負手に関しては、コンピューターは狙って放てないですが、
偶発的に生じることもあるわけですね。
本来勝負手は、不利な時に放つものですが、
今回のケースは勝ちと判断していたわけですから。
競り合いにならないことに関しては、いい意味で予想が外れましたね。
編集長、モバイルのほうもいつも楽しく見ています。
今季の順位戦、頑張ってくださいね。
また訪問にきます。