しかし彼ら24世代(将棋倶楽部24で強くなった世代)は決して高速道路に乗ってきた、とは思わない。恐らく羽生三冠はそのあたりの世代が高速道路に乗ってきていると感じているのだと思うが、私の実感では違う気がする。
これは彼らの棋風をみると分かる部分がある。彼らは過去の前例にとらわれずむしろ力戦調、定跡外の戦いを得意とする傾向があるからである。という事は羽生三冠の言う『序盤の定跡の整備、最先端の局面についての研究内容の瞬時の共有化』という部分は使っていない。彼らはむしろ実戦で鍛え上げた「糸谷流」や「力戦振り飛車」で勝負を挑んでいるのである。
それは実はデータベース化の整備が整った事と、2次元の駒での勉強への慣れ、という点が最近だった事と関係があるのではないか。現在の若手で「パソコン画面で棋譜を並べる方が勉強になる」という人は聞いた事が無い。24世代でも大抵3次元の駒で勉強するのである。その点からしても24世代がデータベースを用いて強くなったとは思えない。また時折携帯メールで最新変化をやり取りするという話題も出るが、そんな事をしている24世代はいないと思う。
ただしこの辺りの推測は外れているかもしれない。そうするとやはり彼らは高速道路に乗って来た事になる。ただ実感として、24世代も私達世代と勉強方法があまり変わらない気がするのも確かである。
実は将棋界のIT化は世間よりずれていて(この持論の詳細はまた日を改めて)、この2点をインフラ・パーソナルどちらの面もクリアし、実際にこの高速道路が使えるようになったのは、ここ1・2年ではないかと私は考えている。
だから最近やっと完成した「高速道路」こそ、本当の将棋界の高速道路になるのではないかと思う。
そして今現在、この完成した高速道路を猛スピードで走っている「少女」がいる。
お分かりであろう、里見女流初段である。彼女こそ「高速道路」論の申し子ではないかと思うのである。そうでなければ島根に住みながら(地方のハンディという意味で)あれだけの力を手にする事はありえない。
彼女は将棋倶楽部24で高レーティングを持ち、よく指しているようである。ただ情報の管理はまだまだのようで、それは将棋を見ていれば分かる。しかし彼女はまだ14歳。これからますます強くなる歳である。
そんな彼女が高速道路を走った時、一体どういう事になるのか、そんな視点を持って見ていていただくと面白いかもしれない。
また、完成した「高速道路」を走った棋士が登場する日も近いのかもしれない。それとも逆に現役の棋士がこれに乗って一気にタイトルを取るのか、という事もある。
・・・とここまで書いてきて思ったのだが、渡辺竜王はそのモデルに近い。もしかしたら皆には分からないルートで完成した高速道路を走っていて、そしてトップクラスに辿りついたのかもしれない。
それにしても完成した高速道路を走った人達は一体どうなっていくのだろう。羽生三冠は奨励会の二段まで、と言うが、実際24世代はまだ未完成な高速道路で三段リーグを突破したのである。となると、もしかしたら羽生三冠が思っている以上に将棋はIT化で強くなれるのかもしれない。
また近い将来、コンピューター将棋もその高速道路に載って爆走するのだろうか。
自分にも大いに関係のある事にも関わらずなんとなくワクワクしてしまうのは変かもしれないが、それもまた性分である。
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質問:40年ちょっと前、日本将棋連盟「将棋通信講座」のテキストに指導棋士として加藤治郎八段、原田泰夫八段らと並んで「関本三猿子」(段位、肩書なし)という人が「中飛車退治」などを書いておられますが、この人は誰ですか? 蛸島さんより前の元祖“女流棋士”、それとも男の人? 前から疑問に思ってました。永井英明さんとも同席(誌上)されてます。蛸島さんか長老の丸田さんあたりに聞けば判ると思うのですが。連盟の古い資料(データベース?)を調べれば判るかも。
めんどうですが、ひとつよろしくお願いします。気になってしかたないもので。
それとご自身こそ早く「高速」に乗って→C1→B2→…と突っ走ってください。 ちょっとしんどいかな、、
里見さんが高速道路に乗った最初の棋士かもしれない、というファニー説、有名になるといいですね。(笑)僕も同感です。
里見さんが高速道路に乗った最初の棋士ではないか、というファニー説、もっと有名になるといいですね(笑)僕も同感です。
『羽生世代』と違う感覚がありましたが、
今回の日記を拝見して、納得できた気がします。
「高速道路」とは
@近年整備された上達ツールであり
A多くの人に分け隔てなくオープンに上達の機会を与え
B時間を大量に投入することにより、プロ級に迫るほどの上達を可能にするもの(腕力と知識の別があるかも)
というのがおおよその定義になるのではないかと思います(まだ洗練していません)。
そして、ツールごとに分けて影響を考えた方がよいのではないかというのが私の考えです。ツールは以下の3つが候補です。
1.定跡書(変化を体系的に整理したもの)
2.将棋倶楽部24の対局機能
3.棋譜データベース(24の検索機能、将棋年鑑CD-ROM、棋泉)
いろいろな評論を読むと、羽生三冠は1を重視し、将棋をよく知らないマスコミは3に注目しているようです。個人的には1と2が有用と思います。私の周りでは1と2の併用で急成長した人が多いもので(根拠薄弱)。
糸谷四段と里見初段は2の影響がとても強いのではないでしょうか。いずれもオープンにされた体系的知識の物量で勝つのではなく、中終盤の腕力で勝っている印象を受けます。そして、2の影響が強い以上、両者はいずれも「高速道路の象徴」としてよいのではないかと思うのです。
最後に。
里見初段を「高速道路の象徴」とすると、惜しい点が一つあると思います。
それは、彼女が毎晩詰将棋を10題解いていたという事実を見落としがちになることです。この努力はなかなか続けられるものではないでしょう。
詰将棋は昔からある上達法ですが、その効果を改めて実証してくれたと思います。
「高速道路」はひょっとすると「整備新幹線」のようなものかもしれず、前からある「東海道新幹線」を見落とすのはもったいないですよね。
また沖縄に来てくださいね〜!!
俺は一浪して立命館大学というレールに乗っかる事にしました。
やっていないわたしには
実感できないのですが、
それでも『将棋ソフト』のおかげで、
高速道路の入り口には容易に
立てるようになりました。
そういう意味では凄い時代です。
PS・それでも、米長邦雄先生の
『逆転のテクニック』内にかかれている
『図巧』『無双』を解けば
プロの四段になれると言うのも
また真実なような気もします。
なんか『ハイテク』と『ローテク』の
双方を制したものが、
次の将棋界を制しそうな気が・・・・・。
棋士は嫉妬されたり憎まれるのは強さの証しだが、軽蔑されたら終わりだと先日読んだ本に書いてありました。
皆さんに一言づつ
七色仮面さん>もし分かればブログに書きますね。
daichanさん>opinionにでも是非。
一酔斎さん>その違いに時代は大きいと思います。
calbee(daichanの先輩)さん>詰将棋はプロなら誰でもやっている事で、一般道という解釈をしました。
山葵さん>羽生道路、ちょっと面白かったです。
うちな〜さん>近いうちに会おう!
くろだまさん>とても良い意見だと思います。
こてくんさん>高速道路が出来てもそれでも「一般道」が必要なのと同じ理屈かと思います。
その場合、戦型は「中飛車に対して右玉」で決まりですね。
遅まきながら高速道路論について一言
将棋24で自分が明らかに実力がついたと思える点
1.アマプロはわからないが高段者同士の有効な寄せ、詰みを知る。(相手が弱いと適当な手でも勝てる の 裏返し)
2.ネットで即指せる
遠山さんの昇段を期待してます。