テーマに分け、何回かは分かりませんが書いていきます。
第1回の今日は「普及」という事について。
「普及」という言葉は非常に大きい物なので難しいテーマ。今の私が感じる事を正直に綴っていきます。
普及には大きく分けて二つの事があります。「将棋をより楽しんでいただく」事と「将棋をより多くの人に知っていただく」事です。
将棋をより楽しんでいただく、という事は今までもかなり力を入れてきた分野。
この分野を考察してみたい。
私が棋士になって感じた事の一つに「想像以上にファンの方と接する機会が少ない」という事があります。これは私自身の努力不足もあるとは思いますが、それでも周りの若手と比べれば多い方だと思う。
裏を返せばそれだけファンの方と接する機会が少ないという事。これは問題だと思う。
問題だと思う事は三つある。まず第一に、普及活動を怠っているという当たり前の事がある。第二にそういう機会が少ないとなると、特にファンの方の認知度が低くなり、それではプロとしての存在価値が危うくなるという事。そして第三に、そういう機会はお互いがお互いを認めお互いがお互いを高めるような相乗効果があるはずで、その機会が失われるのはお互いにとって良い事では無いという事。
これだけの事があると思う。
ではファンの方にとって一番良い事は何か。この事に対する認識の間違いを私は最近気付かされた。
私はそういう、棋士とファンの方が触れ合う場が増える事が最良の事だと思っていた。棋士が支部や教室に行き、指導し、そしてお酒を酌み交わす事が良い事なのだと思っていた。
ところが先日の東北での会議に参加させていただき、それだけでは最良とはいえない、と気付かされた。
しかし一番最良な事はまだ明確には分かってない。それはこれから模索していく。ただ、もしかしたら、東京出身で新潟に移住し、地元に根付いた活動をしている大平五段の行動は見習わなくてはいけないのかもしれない。そういう地域に密着した活動こそ最良の方法に近いのかと思うからである。
しかしこの事を認めきれないという事もあり、それはまたいつか触れたい。
長くなってしまったのでこのへんで。ただこの分野に関しては今の将棋連盟(理事)が非常に力を入れ、そして熱心でたいへん素晴らしいファンの方々もいっぱいいらっしゃるので、近い将来更に良い方向に向かうのではないか、と期待しています。
「将棋をより多くの人に知っていただく」という事はまた次回にします。
それではまた
【関連する記事】
私はロクにボールも蹴れませんが、サッカー観戦は大好きですし、将棋もヘボ中のヘボですが、プロの将棋観戦も大好きです。
なぜか?どちらも勝負として抜群に面白いから!
どちらも順位戦とカップ戦(新聞棋戦)があり、常に優勝劣敗、降格と昇級がある。戦術もサッカーに負けずに多彩。本当によく似てると思います。
ところがみんな知らないんですよね、将棋界のこのシステム。サッカーはよく知られているんですが。
かくいう私も2年前にたまたま週刊将棋を読む機会がありましてこのシステムを知りました。
完全に理解してからは、毎日ネットで勝敗をチェックし、週将で星取表を見て楽しむ毎日。いや〜本当に楽しましてもらってます。週将読んでいて、会社の上司に「強いの?」って聴かれて「いいえ」って答えると、すごいヘンな目で見られますけどね(笑)。
このプロ将棋界のシステムの厳しさ、面白さ、をもっとアピールして知ってもらえれば、僕みたいなスタンスの将棋ファンが増えてくれるんじゃないかなって思います。将棋の強さに関係なく楽しめますしね。
東北の会議も具体的に書いて欲しいですけど・・・難しいのでしょうね。うーんでも、隠す意味もわかりませんけど。まぁ、大人の事情と言うやつでしょうなw
今回からの記事は全部つながってそうなので、書き終わってからコメントしたいと思います。
サッカー将棋&ファンさんへ
サッカー&将棋ファンさんみたいな楽しみ方をしていらっしゃる方ってどれぐらいいるんでしょうね?少なくても私の周りにはまったくいませんwもっと話しを聞いてみたいですね。(^^
ファニースペースさんはさんへ
ファニースペースさんはさんの言う事もわかります。でも、遠山先生が一番その事をわかっていらっしゃるんじゃないでしょうか?私は新人の四段(失礼)が自分の意見をブログで発信するって結構勇気が居ると思いますよ。将棋界は世間よりその空気が強いはずですし。
(もう知っていらっしゃるかもしれませんが、http://www.koma.ne.jp/joy3/joyful.cgiというサイトがあります。こっちの方が面白いかもしれません。まぁこういうのを出したところで、遠山先生の順位戦最下位が変わるわけではないのですが。)
普及よりは自分の地位を確保。うーん・・・私は普及<地位(対局)というのが、今の将棋界の現状になったきっかけかと思います。(プロ棋士でもない一般のアマに何わかるねん!という突っ込みはご勘弁を。)
私は普及と地位、どっちが大切か決めずに、柔軟にバランスよく対応していくのがいいと思います。
ただ・・・やっぱり降級点は取って欲しくないですね。まだ一年目で慣れてないというのもあるかもしれませんが。私に出来る事は応援する事だけです。
というわけで遠山先生、頑張ってください!
普及にも悩み、将棋にも悩む研鑽の日々。素晴らしい。
普及一つ考えても難解。着手はいくつもあるようですね。米長会長などは悩む暇もないはず。何かを為せば批判を受ける、やらねばじり貧。
遠山先生が何を為されるか楽しみにしています。
ちなみに貴方様が関係者でない事を祈ってます。
サッカー&将棋ファンさん>「どちらも勝負として抜群に面白いから!」 サッカーと同列で考えていただける事はとても嬉しいです。
サッカー&将棋ファンさんのようなファンの方の事を私はとても嬉しく思います。
またそれと同時にもっと対局を見ていただいて、そこにも興味を感じていただいて欲しいです。そのようなシステムこそ大切だと思っております。
これからも是非書き込みしてください。よろしくお願いします。
東北の件は、お許しください。あまりにも内部的な話、それも県ごとの内部的な話が多いので、そちらに迷惑をかける事はしたくありません。
このシリーズはいつ終えるのか全く考えていないので、何回続くのかも分かりません(苦笑)なので何か気が付いた時にはまたコメントいただけたらありがたいです。
「普及<地位(対局)というのが、今の将棋界の現状になったきっかけかと思います。」私も同じ意見です。そういったアマチュアの方の意見は非常に大切です。ただ、そうならざるを得ない状況もあるのです。それは近いうちに記事にします。
他にコメントくださった方へのコメント、ありがとうございます。降級点は、どうも本人が一番心配していないようです(笑)一局一局頑張ります。
いしのひげさん>温かいコメント、ありがとうございます。これからも研鑚の日々を続けていきます。
私はこれからも前を向いて頑張っていきます。
ある程度の実力があるプロ棋士から指導を受けれることアマの立場から言えば嬉しいです。やはり順位戦でどの位置に居るかですね。(タイトルを取って防衛した某B2ドラゴンキングを除く)
今回の記事の普及と言うのは、遠山先生個人の問題、受け取れる金額とかではなく、棋士全体の問題として書かれているかと。
それにhttp://chama258.seesaa.net/article/25571502.htmlを見てもそんなに影響があるとは思えません。(まぁ、影響があるかどうかは遠山先生しかわかりませんが。)
よって、あなたの意見は間違っていると思います。
まぁ、こうやって否定するのは簡単なんですが、ファニースペースさんはさんの意見が出た背景を若干考察してみるとしょうがないような気も。多分、遠山先生が言われている事と成績のギャップが違和感となって発言されたものかと思います。(失礼。でも他にいい表現が見つかりませんでした・・・_| ̄|○)実際、内容についての批判ではありません。地位が高ければ、言う事も正しい。またはその逆で地位が低ければ、言う事もたいしたことない。というのは日本の長い伝統かと思いますが、私は悪い伝統だと思います。この記事の投稿者をよんだんというのが名人、竜王だったらあなたは納得されるのではないでしょうか?
今回のファニースペースさんはさんの言いたい事は、激励かと思います。前向きにとらえられてはいかがでしょうか?
じゃがりんぽさん>色々とすいません。。特に気にしていないですよ。
まぁ私のような新人低段の者が何か言っても理解される事は少ないと思います。日本の悪しき習慣だと私も思いますが、なにしろこの業界はそれをしっかり受け継いだ世界なので(苦笑)
ただ、ここはあくまでも私のブログですから、変な言い方をすれば、分かってもらえなくても良いわけです。ファンの方に向けて書いているとはいえ、あくまで私の日記なわけですから。
後から読んで棋士生活2年目の時にこんな事を思っていたたんだな、という意味で形として残しておきたいとも思っています。
ただ、私のような新人がこうして危機感を持っている、という事に将棋界が少しでも反応を示して欲しい、とも思っています。
いつも本当にありがとうございます。ちなみにそんなに影響はありませんよ。
よんだんが将棋界のことを真剣に考えていることは素晴らしいのですが(10年後とかには理事になっているのでは?)、20代の内は対局に没頭してもらいたい気もします。正直、棋力が伸びていく時期は限られていると思いますし。大きなお世話かもしれませんけれど。
逆に55年組を中心とした40代や羽生世代を中心とした30代の棋士の方々が連盟の運営に強くコミットして欲しいと思います。「将棋界の事件簿」を見ると以前に会館建設でもめた時にはタイトル保持者やA級棋士がずらりと理事に名を連ねた時もあったようですし。
A.Fさんのおっしゃるように、40代や羽生世代を中心とした30代棋士の方々にもう少し運営にコミットしていただきたいと思います。ただその世代の方は色々と忙しく、なかなか思うように時間が取れない、という事はあると思います。