2006年08月27日

奨励会試験

 昨日は師匠の教室、加瀬教室へ。
 子供もかなりの人数が来ているのだが、最近めきめき腕をあげている。その成長力には驚かされるばかりである。

 そんな子供達の中から一人、奨励会試験に受かった子がいた。
 試験に受かった事は良い事だが、これからの方がより大変。合格してやや安心してしまっているようなので、ちょっと心配である。まぁ何はともあれ良かった良かった。

 その奨励会試験だが、女の子も一人受かったとの事でニュースになっていた。それもそのはず。先日の「白瀧あゆみ杯争奪戦U20女流トーナメント」で女流プロをくだして話題になった子、加藤桃子さんだからだ。
 彼女は、私が指導で行った去年の小学館主催の小学生大会でも優勝しており、実力は折り紙付き。その時将棋も見ていたが、非常にしっかりした将棋で、なかなかすごいなぁ、と思った。

 その子が受かった、と聞いたので、それは良かったなぁ、と思っていたのだが・・・

 今日ネットを見ているとこんな記事が
 大平の挑戦!:どうなってんだ

 大平四段は研修会の幹事でもあり、こういった話題に非常に熱心で、上記の記事以外でも取り上げていました。
 
 かいつまんで説明すると、奨励会試験は、一次試験が受験者同士で4−2以上、通過した人のみ受けられる二次試験が奨励会員に3局中1勝以上、というのが合格条件。
 加藤さんは、一次5勝1敗、二次で3連敗という成績だった様子。という事は不合格になるところなのだが、一次の成績が良かった事や女流プロに勝った事がある、という事で特例で合格になったという事だそうである。

 これはもちろん加藤さんには何の落ち度も無い。彼女にとって合格は良かった事であろう。私も影ながら応援したい。

 ただし、こちら側の処置は一体どうだったのであろう。奨励会を目指して頑張っている少年少女は全国に沢山いる。それなのにこういった処置をして良いのだろうか。
 正直言って私には理解しかねる。これは将棋界にとっても、彼女にとっても決して良い事では無いはずだ。確かに話題にはなっているが、勝負の世界にこんな曖昧な形はいけないと思う。

 何故こんなに書いているか、というと、昨日やはり奨励試験を受け、不合格だった少年と指したから、というのもある。彼はとても悔しいはずだが、想像以上にしっかりしていて、昨日も良い将棋を指していた。
 そういう子供の事を思うと私は何かやるせない気持ちになるのである。

 書きたい事は他にもありますが、何はともあれ、これからはこういった事は、出来るだけ無くして欲しい、と思う次第です。
 奨励会試験についても、もう少し時代に合った形に見直す時期が来ているのかもしれませんね。


 それではまた
posted by 遠山雄亮 at 17:58| Comment(12) | TrackBack(0) | 将棋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
もう少し情報が出てこないと何とも言えませんよね。大平先生だけの情報で判断するのは危険な気がします。(大平先生が信用できないのではなく、いくつかの情報を基にしないと何とも・・・(^^;奨励会幹事の方の話を聞いてみたいです。)
私は御徒町で一回加藤桃子さんと指した事があるんですが、強かったです。まぁ振り飛車穴熊VS急戦で何とか勝たしてもらいましたけど。しかし子供はどんどん伸びますよねぇ〜。頑張ってもらいたいです。(^^

それにしても今の連盟は面白いですね〜。こういうのもそうですが、前に比べて話題に成る事が格段に増えた気がします。
Posted by じゃがりんぽ at 2006年08月27日 20:36
将棋の場合は答え,あるいは答えに至る過程が無数にあるわけで,そもそも「試験」を行うこと自体が可能なのかどうかが僕には疑問です。これは一般的な意味でいっているのであって,今回の件とは無関係かもしれませんけど。
Posted by spinoza05 at 2006年08月27日 20:56
優遇されるなら、水津三段を何とか出来ないものか?三段リーグで【今季も確定のため】8期連続勝ち越しは記録です。こんな人が年齢制限のため去っていくことに成ればそれこそ残念です。勝負の世界だから上位2名に入ることが条件なんですがこの辺も何らかの優遇策が出ても良いかと思います。
Posted by 香車が好き at 2006年08月27日 23:23
二次試験全敗の人が多かっただけかもしれないのでなんともいえませんが、そもそも強い人間がプロという考え方自体がおかしいのではないでしょうか?単純に強さや技術の向上を追求するというのは所詮アマチュアの発想であって、プロというのは技術を利用して、お金をとれる仕事をする人だと思います。プロ組織なら単純な成績以外の要素も勘案することは自然な姿だと思います。プロ野球のドラフトで人気のある選手や地元選手の採用が多少は優先されるのと同じことではないでしょうか。勿論そこから這い上がってこれるかどうかは本人の実力ですが。
Posted by 志在千里 at 2006年08月27日 23:32
落ちた受験生が納得できるのか?私も昔奨励会を受験しようとした事があります。年齢から4級受験でしたが、同じ支部の同年齢の彼は6級で受験でき、しかも不合格で当時無かった7級で合格になりました。彼の両親の力だったと後日彼から聞きました。私は非常に理不尽さを感じ将棋を辞めてしまいました。
Posted by セバスチャン at 2006年08月28日 04:12
奨励会に入るのも大変なことですね。素人からすれば、合格した人は祝福したいと思います。入会してからがもっと大変なんでしょうから。
完璧な制度は存在しませんし、社会は理不尽なものです。批判は簡単ですが、変革するには具体的にどう変えるべきなのか提案するのはかなり難しいですよね。
遠山先生、頑張ってください。
Posted by いしのひげ at 2006年08月28日 10:28
じゃがりんぽさん>確かに一体どういう経緯だったのか、そこがちゃんと出てこないとなんとも言えないところですね。
話題になる事が多いのは事実ですが、良いことでもっともっと話題になって欲しいものです(汗)

spinoza05さん>この形で長年やってきて、それなりの成果もあげているわけですから、なかなかこれを無くす、という方向には行かないと思われます。

香車が好きさん>三段リーグに関しても何らかの議論は出てきて欲しいです。色々とひずみもあり、もう少し何とかならないか、と思うのですが・・・
Posted by よんだん at 2006年08月28日 12:09
志在千里さん>そのような考え方は私も賛成出来る部分が多くあります。ただ、現行の制度がきちんとあるわけですから、現状ではそれに従うべきではないか、というのが私の意見であります。

セバスチャンさん>なるほど、そういった事もあるのですか。それで将棋を辞めたというのは、胸が痛みます。
今回の件も落ちた受験生が納得が出来るような説明があると良いのですが。

いしのひげさん>もちろん入るのも大変ですが、入ってからの方が大変でしょう。
制度に関しては、しかるべき方がしっかりした物を作っていただければ、と思います。私にそのような力は無い以上、あまり深い追求はしない事にしています。
Posted by よんだん at 2006年08月28日 12:17
こんばんわ初めまして・・・。こんな事情があったのは驚きですね。しかし今に始まった事ではありませんが将棋界も不思議な団体ですね。「公平で、礼儀も身につき・・・」と謳いながらやってる事は間逆なんですから・・。加藤さん自身の人生を変えるかも知れない事する意味を判ってるのかな?と考えてしまいます。僕も将棋ファンとしてあれこれ棋士の先生方のブログを見ていますが、全体的に大人し過ぎますよ。もっとありのままの意見もあってもいいと思います。
Posted by びーとぴあの at 2006年08月28日 21:16
いつも更新を楽しみに拝見しています。本記事は非常に気になりましたので、コメントします。
複数のプロ棋士が受験者の実名を挙げて、優遇処置とか、話題作りだと断じているのはおかしいと感じました。論じたいのは奨励会試験制度の問題なのでしょう。今回の経緯は、連盟内のプロ棋士の方がよほど調べやすい話と思いますが。
受験者から見て、雲の上の存在であるプロ棋士が、名指しで合格はおかしいと言っているように読めます。大事な才能をつぶさないでほしいです。
今後、この合格者の成績が振るわない時期があるかも知れません。そのときに、それみたことか、というような記事を作成されることを懸念しています。

Posted by アマ四段 at 2006年08月28日 22:04
私もアマ四段さんにのご意見に近いです。
論じられるべきはずばり日本将棋連盟の「奨励会試験」であって決して受験者ではありません。
本人がどうしようもできない所で話が膨らんでしまっているようで気の毒です。
当事者がどうにかできる話であれば今年二次で涙を呑んだうちのかわいい息子のこと、私が何とかしてますから(笑)
奨励会は入ってからが大変と聞いています。
「ハイ入会させましたよ。あとは雑音は気にしないで頑張ってください。」ではなく、スクラム組んで女性プロ第1号を出すぞ!くらいの勢いでやっていただきたいです。
まずは彼女が専念できる環境を早く整えてあげるべきだと思います。
来年に向けてわが息子も始動しています。
Posted by けろ at 2006年08月29日 20:18
びーとぴあのさん>はじめまして。ブログ、読ませていただきました。棋士というものの存在は、難しいですよね。だからこの問題も難しいのだと思います。
私は出来ればこのような内部事情より、将棋の事を好きでいて欲しいので、あまり厳しく書かない事にしています。
これからもよろしくお願いします。

アマ四段さん>いつもありがとうございます。もしそのように受け取られたなら、私のせいですね。もちろん彼女に何か言いたい事があるわけではなく、連盟サイドの取った態度がどうだったか、という事が言いたかったのです。彼女には是非これから頑張って欲しいです。

けろさん>確かに本人の全く関係無い部分で話が膨らんでしまってはいけませんね。これからどうしていくか、連盟として色々な観点から考えなくてはいけないと思います。
息子さんも試験を受けられていたのですか。残念ですが、これを活かせるかどうかはこれからにかかっていると思います。月並みですけれど頑張ってください、とお伝えください。
Posted by よんだん at 2006年08月31日 00:00
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。