村山四段とは少し年が離れていますが、奨励会時代からよく指していました。
なので棋風はお互いに完全に分かっており、昨日も予想通り、「先手藤井システムvs後手最新形」という最先端の戦い。ちなみに私が先手。
昨日はいかにも順位戦、という場面があったので、それをちょっと紹介。
この局面は実戦例の無い、新しい将棋。しかし研究はされている形ですので未知の戦いとはいえないでしょう。
かなり難しい局面。今後手が△24歩と桂を取りに来たところ。
ここから、▲55銀△86歩▲同歩と進むのですが、なんとこの3手で3時間!▲55銀(51分)△86歩(56分)▲同歩(60分)とまぁ派手に使ったものです。
どういう事かをちょっと説明してみます。まず最初の▲55銀。まぁ普通の手(その前に▲66銀としているので)ですが、▲13桂成、といったん捨てておくのもあるかな、と考えていた。
それはダメそうだとは20分位で分かったのだが、▲55銀の後の展開を色々考えていたら、あっという間に時間が過ぎていた。
で、△86歩。これは実は急所の手。ここで突かないと遥か後の変化で違いが出ます。ただしこれが入るかは微妙。
例えば取らずに▲44歩△87歩成▲43歩成△77と▲32と、のような超激しい変化も考えられます。
というわけで私も▲同歩に1時間も使いました。結局取らないのはダメそうで、そうなると▲55銀の時に考えていた変化と違いが出てきます。そのへんを色々考えていたらば、1時間使っていました。
感想戦の結論では、この3手は全部正解だったよう。また、△86歩も一番良いタイミングであったよう。
一応長考合戦の甲斐はあったようだ。
実戦はこの後の私の構想がまずかったようで、襲い掛かられた時には既に形勢が傾いていたようです。それにしてもこの3時間、記録係はさぞかし眠かったでしょうね(苦笑)
こうして棋士は魂を削って指している、という事を紹介してみました。
来週にも対局があるので、昨日の反省を次につなげていきたいと思います。
昨日のC級2組は好局揃い。特に、西尾四段ー高崎四段戦・村中四段ー中村(亮)四段戦・川上六段ー中村(太)四段戦の3局は1時近くまでかかる熱闘。
名人戦棋譜速報に登録している方は、是非見てみてください。今日はA級順位戦の、△羽生三冠ー▲郷田九段戦も行われています。
これらの将棋を検討していたら、あっという間に2時近くなり、棋士仲間数人で飲みに。家に帰ってくる頃には辺りが明るくなっていました。
というわけで更新が遅くなりました(汗)
それではまた
棋聖戦は、鈴木八段が6筋の位を取ったところでは作戦勝ちに見えたんですけどね。
56銀からの戦いは非常に面白かったです。佐藤棋聖は良くあんな形をまとめきれますね。。
私は駒がぶつかっていたら取り込んでいく方なので、▲4四歩〜▲3二との変化を好んでしまいます。その後の変化は、△同銀▲7七桂△2五歩で先手の攻めが途切れますね。(▲8三歩と継ぎ歩を打つくらいでしょうか?)
遠山四段に質問!
対局中、記録係は席を外せないのですか? 生理的現象に見舞われた場合はどうするのでしょう?
構想のまずさというと、その後の▲67金〜▲48飛車でしょうか。
順位戦に限らず、まだまだ先は長いですから、一歩一歩着実に階段を登って行きましょう♪
局面解説ありがとうございますm(_)m
谷川九段が名人戦で、「持ち時間が9時間もあるので、1時間掛けて、考えていた事も、捨てて違う手を考えると言う様な事ができる。」と言っておられましたが、まさに順位戦が持つ醍醐味の様なところですよね^^
そう言う事を感じられた時、私の様な観戦を楽しむ者にとっては、「将棋って楽しい!!」と思うのですが、その多くが埋もれ、解説もされずにいますよね!
もったいないと、いつも私は思うのですが、何か紹介活用する手段は、考えられないのでしょうか?
予選の対局の中にも、好局はあると思うんですがねぇ・・
k.oさん>変化手順、お見事です。そう、△25歩が好手で先手が悪くなります。
記録係は基本的には席を立てない事になっていますので、なるべく水分を控えめにします。ただ、そこまで厳密ではありませんので、秒読みでも無い限り、お手洗いに立っても咎める棋士はいないと思います。
けいちゃっぷさん>そう、まさにその辺りです。また次頑張ります。
わかばマークさん>活用する方法は急務に考えるべき事だと思います。
現実に、埋もれてしまう棋譜の中にも素晴らしい将棋は沢山あります。
必ず近い将来、活かしていく方法を作り出していきたいと思っております。
ただ現在は、それに向けて解決すべき問題が多く、これからの将棋界の大きな課題であると思います。
文春は未読なので、読んでみます。