戦形は予想外の4手目△3三角戦法。全く予想を裏切られました。聞くところによると、コンピューター将棋側の作戦の一つだったとか。公開の場では隠していたそうです。そこまで作戦を練っていたとは。
清水女流王将の▲9八香にコンピューターが敢然と襲いかかり、そこからは一進一退の攻防。
私も検討に参加して、ドキドキしながら進行を見守っていました。
勝負を分けたのは終盤の一場面。秒読みに入っていた清水女流の緩手をあからが見事に咎めて、それが勝着に。△5五角という手にはこの将棋で一番感心しました。
最後は少し差が付いてしまいましたが、この手の将棋では止む無き事。清水女流も潔い投了で手数的には早い終局でした。
対局の詳細や関係者のコメントなどはこれから一般・専門メディアに続々と出てくると思うので、ここからはあくまで個人的な感想を。
私は今後、人間とコンピューターが良いライバルとなり、切磋琢磨していくようになるのではないかと思います。なぜなら、お互いに「将棋」という巨大なライバルの前ではまだまだちっぽけな存在だからです。でもこれはあくまで私が棋士だからそう思うのかもしれませんね。
それにしても今日の将棋は非常にワクワクする、面白い勝負でした。今後の展開は、ファンの方の声や後押しも重要となっていきます。良い形で発展していくよう、私も微力ながら頑張ります。
対局終了後は、先輩棋士や手伝いの奨励会員とこの将棋の検討。
その後は打ち上げへ行き、さきほど帰宅しました。
会場は溢れるほどのお客様で、ファンの方の熱気が好局につながったという事もあると思います。
終局後の大盤解説場で清水女流が、「清水市代を応援してくださった方は?」と問いかけた時にお客さんの拍手が割れんばかりで、皆さんの温かさが伝わりました。
わざわざおいでいただいた方々、ありがとうございました。
それではまた
【関連する記事】
大局観という数値にし難いものの理解が進むような気がします