2006年02月11日

信じられません

 昨日は先輩棋士とVS。
 その中で非常に面白い場面があったので、ちょっと見ていただきたいと思います。

 高野戦

 現在先手が▲46飛と王手してきたところ。 △15玉なら▲16銀△14玉▲26桂でぴったり詰みとなります。
 そこで実戦は△26桂(!)と詰め将棋のような中合い。▲同飛△15玉▲16銀△14玉と進み、

高野戦@-1

 こうしてみると、先手の飛が邪魔して桂が打てないため後手玉は詰まない。ただ先手の玉も詰まないため、詰めろが続けば先手は良い。
 その方針に基づき先手は詰めろをかけてくる。以下▲27桂△42角と進む。

高野戦@−2

 この局面、先手に歩があれば詰み。また、歩を入手すれば受け無し。
 しかし先手は取る駒が無い・・・
 ただ先手の玉は依然詰まないので、うまく詰めろをかければ勝ち。
 しかし実戦は秒読みに追われた先手が間違えて逆転負けとなりました。

 で、私はどっちかって? 後手でした。粘った甲斐がありました☆ 切られ役にしてしまった先輩、ごめんなさい。
 それにしてもこんな中合いが実戦で現れるなんて…ちょっと信じられませんでした。


 夜は順位戦を勉強。 順位戦は不思議なもので、押し迫れば押し迫るほど好局が増えてくる。
 昨日はB1とB2が一斉対局。控え室はすごい人で熱気に包まれていました。
 本当に熱戦ぞろい。 その中でも一番検討されていたのが▲小野△屋敷戦。超難解な終盤で、対局も終わって2時近くまで検討されても結論が出ない。ずっと後手が勝ちそうと言われていたが、どうしても具体的な勝ちの順がわからない。 結局その判断が間違っていたのかもしれない。結果も先手の勝ちで、将棋の奥深さを改めて感じました。 詳細は週刊将棋等で御覧になってください。

 より順位戦を理解していただくためにも状況を整理しておきます。

 B1は深浦八段が昇級を決めていて、後1枠を、中川七段と阿部七段が争う。阿部七段は最終戦が抜け番のため、最終戦に中川七段が勝てば昇級、負ければ阿部七段が昇級となります。
 また、降級の方は、危ない順に、北浜七段・島八段・先崎八段で、最終戦の組み合わせの関係で、この3人の誰かになりますが、全員自分が勝てば残留となります。 すごいメンバーで、この中の誰かが降級とは信じられません。。
 最終戦は3/17に行なわれます。

 B2は昨日上位陣が総崩れ。そして急浮上してきたのが、66歳の大ベテラン内藤九段!最終戦に勝てば文句無しに昇級となります。
 もしそうなれば空前絶後の大快挙となると思います。毎期勝ち越しされていましたが、年をとると勝てなくなると言われる将棋界において、内藤九段は66歳! 信じられません。素晴らしい事です。
大注目の最終戦は3/10に行なわれます。

 最後は囲碁将棋ジャーナルの矢内さんの口調に似た感じですね(笑) その矢内さんは今日、予想通り番組内で照れまくりでした☆

 昨日は3時迄検討して、棋士仲間とタクシーに相乗りして帰宅。 さすがに疲れはてました。。

 それにしても、あの熱気、熱戦をファンの方に一部しか感じていただけないのは本当にもったいないし歯痒い、と思います。

 今日はかなり長くなってしまいました。

 それではまた
posted by 遠山雄亮 at 12:26| Comment(8) | TrackBack(0) | vs・研究会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
遠山雄亮さま:二回目の書き込みです
 Yozakuraです。棋力に不安のあるアマチュアでも、大いに興味を持てて楽しめそうな局面を熟慮選択しての指し手解説、拝見しました。お疲れ様です。
 また、順位戦B1組B2組の戦況と、それを見守る棋士の心境解説、拝読しました。相当に以前の話ですが、A級の他にも、B級の順位戦最終局解説会が連盟にて開催されましたが、確か一度きりで、その後は、従来通り、A級最終戦のみが解説の対象となっています。多分、参加者が少なかった所為であろうと推測しておりますが-----。
 今後もご活躍下さい。2006/02/11 Yozakura敬白
Posted by Yozakura at 2006年02月11日 23:51
初めまして
最近将棋に目覚めた息子の親です。
私は素人なんですが息子の質問も聞いてやってください。
ところでファニーな局面ですね(笑)
27桂では24歩もあると思いますが、どう受けるのでしょうか?
Posted by りゅうとのパパ at 2006年02月12日 01:41
コメントありがとうございます。これからも将棋を楽しんでいただければ一棋士として嬉しく思います。

▲27桂で▲24歩には後手からすごい切り返しがあります。ヒントとしては、▲25銀を防ぎつつ先手玉に詰めろをかける、いわゆる詰めろ逃れの詰めろがあります。 ぜひご一考を!
Posted by よんだん at 2006年02月13日 16:20
わかりやすくて読みやすい記事ですね!

三段リーグの頃から、チェックしてますよ。
これからも、ブログ更新がんばってください。
応援してます。
Posted by LLS at 2006年02月14日 12:47
LLSさん>コメントありがとうございます。これからものぞいてください。
よろしくお願いします!
Posted by よんだん at 2006年02月15日 00:00
返信ありがとうございます。
まさか次の一手になって返ってくるとはアマチュアの読みとは違いますね。(笑)

息子は次の日に自己解決していました。
「あれやっぱだめだった」と…
しっかり確認しといて欲しいです。(苦笑)
69角でだめらしいですね。

では最後の図で24桂で決まっているんではないでしょうか?教えてください。
今度は念入りに確認させときました。(笑)
Posted by りゅうとのパパ at 2006年02月15日 04:42
りゅうとのパパさん>満点の解答です!
 まず詰めろ逃れの詰めろは△69角で正解です。以下▲同銀なら△88金以下詰まして勝ちです。

 「最後の図で24桂で決まっているんではないでしょうか?」
 完璧です。そして対戦相手が逃した手です。▲24桂以下△同歩▲同歩△同角▲25銀△22玉▲24銀△12玉▲35桂(!)(香の道を通す好手。)で先手がはっきり勝ちでした。

 驚くほど見事でした! また図面載せたりしますので、息子さんと一緒に解いてみてください!!
Posted by よんだん at 2006年02月15日 16:47
お褒めの言葉ありがとうございます。
今度は正解だったようでホッとしました。
またファニーな局面楽しみにしてます。
対局頑張って下さい。
Posted by りゅうとのぱぱ at 2006年02月16日 06:39
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。