2009年10月22日

5筋位取らせ居飛車穴熊について

最近大流行の表題の戦法。
簡単に解説すると、先後に関わらず角道を止めない中飛車に対し、居飛車側が5筋の位を取らせてしまい、その代わり居飛車穴熊に一直線に組む、というもの。
一昨日の大石四段戦でいくと居飛車は


21.10.21穴熊考察@.gif


こんな感じでスタートし、以下金銀をひたすら玉にくっつけて、


21.10.21穴熊考察A.gif


後は飛角で細かく手を作ってしまおうという作戦。
これがここ数カ月公式戦で猛威をフルっています。
A級順位戦でも2局見られ、B級1組では杉本七段がいつもこの作戦を相手にしている印象です。私も順位戦で2局連続で指されました。

これを自分なりに分析すると
・ゴキゲン中飛車には二枚銀急戦のような玉の薄い形が主流

・しかし勝ちにくいので居飛車側が堅い玉形を求める。そこで角交換型が主流に

・しかし手が詰まりやすいという難点が。無理に打開しても玉形が中飛車側と変わらないのが辛い

・どうせ手が詰まるならいっそ更に堅い玉形を求める

という流れがあると考えます。


これは昔、オーソドックスな振り飛車に対して出来た流れと似ています。

急戦→左美濃→穴熊
と移り変わり、その穴熊は振り飛車党を激減させたと言われてきました。


それに加えて何故そんなに流行ったかというと、一時公式戦で居飛車側が爆発的に勝った事が要因に挙げられます。やはり「勝利」の二文字は
流行に大きく影響してきます。

今のところオーソドックスな振り飛車に対して出来た流れと似ていますが、果たして今度こそゴキゲン中飛車は居飛車穴熊を退治出来るのか。
そういった目で将棋界を見ていただくのも楽しいと思います。

ちなみにこの形については近いうちに将棋世界の勝又六段のコーナーで特集が組まれるそうなので、これは必見です。

詳しい手順などを知りたいという方は是非来月発売の自著で(毎日宣伝ですいません汗)。


今日はそんなところで。
それではまた
posted by 遠山雄亮 at 12:25| Comment(2) | TrackBack(0) | 将棋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
順位戦速報を見ていると、確かにこの戦法が爆発的に流行していますね。遠山先生はご存知ではないと思いますが、24では結構前から穴熊作戦が多かったですよ。中飛車側としては、遠山先生が及川四段の時に指されたように足早に銀を繰り出すのがいいのか、▲羽生−△丸山戦のように4二(後手)に銀を保留した方がいいのか、プロ間で深い研究を重ねられていることが想像できます。また、この戦型で居飛車を持って稲葉四段を破った有吉九段ですが、次節に大内九段が古典的5六銀型(先手)で捌き、破られたことにも注目したいです!遠山先生が今日のように、現在のプロ事情について書いていただけるのはアマチュアにとってはとても嬉しいことです。
Posted by ケイ at 2009年10月22日 22:48
遠山先生、こんばんは。
先日の順位戦、お疲れ様でした&勝利おめでとうございました。

今日のような内容のブログはとても面白いです。
プロのエッセンスといいましょうか、最近の流行の形など、日々将棋の勉強をしたいとおもいつつ、なかなか時間がない時に、戦法的な話をして頂くととてもうれしいです。
Posted by toshiyuki_tsuno at 2009年10月22日 23:19
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。