振り返ります。
振り駒で後手番となり、角交換型の振り飛車を採用。
序盤から見た事も無い戦いになり、一手一手気を使う展開に。
こちらが先に失敗し苦しくなるも、なんやかんやと粘っているうちに大変な形勢に。
終盤は双方持ち時間も無くなり、二転三転していたようです。
最後は双方1分将棋の中、詰ましてみろと開き直りました。
それが功を奏したか、ギリギリ詰みを逃れて勝つ結果に。
最後の場面を解説します。解説の都合上、先手▲が私です。

△2九竜と王手してきたところ。いくらでも王手がかかる格好で、この辺り生きた心地がしませんでした。
さてどう逃げるかの問題。▲2八歩という平凡な合い駒は△3八竜で簡単。▲37玉も△2五桂が好手で、▲4八玉に△1八竜と飛を取られて詰み。
そこで△3八竜を防いで▲2八金がこの一手の合い駒。これに対し△1八竜には▲同玉で△2六桂▲2七玉の形が詰みません。
本譜は△3八銀▲3七玉△2五桂▲4八玉△5六桂▲5七玉△5九竜と進み第2図

途中△5六桂をうっかりしていて、詰まされたかと真っ青に。久し振りに背中を汗が流れる感覚を味わいました。▲5七玉と逃げたその1分間は30秒位呆然としていました。
しかしこの場面で唯一無二の合い駒が残っている事に残りの29秒で気が付き、一気に地獄から天国へ。是非考えてみてください。
平凡な▲5八歩は△6八竜▲5六玉△6六竜でどんぴしゃ。
▲5八金合は△同竜▲同玉△6九銀で簡単。
そこで

△6六竜を消して▲5八桂がこれぞ唯一の合い駒。
これでギリギリ凌ぎました。△6六銀▲5六玉△5八竜は、▲6五玉で4六の金が利いていてきわどく詰みません。
実戦は第3図で投了となりました。
実戦では珍しい2連続の限定合い駒。
1分将棋でしかも変化は膨大。読み切って指していたわけではなく、最後は指運が良いとしか言いようがありません。
感想戦は終盤を中心に2時間程度。第1図〜第3図だけでも手が膨大で、それだけでも時間がかかりました。結局詰まない逃げ方は色々あったようですが、あちらの玉の詰めろも薄いので、その兼ね合いで非常に難解なのです。結果的には本譜が正解だったかもしれません。
そこを調べすぎて、実際は詰みがあった直前の所に気が付かないまま感想戦が終了。自宅に帰って調べてみて、あまりにあっさりした詰みがあって苦笑しました。
とはいえ1分将棋の中で競り勝てたのは収穫でした。他にも難解な箇所が多くあり、感想戦も2時間では足りないくらい。
悪いと思っていた局面がそうでもなかったり、とっさの判断が正しかったり誤っていたり、とにかく将棋の難しさを痛感しました。
本当に将棋は奥が深く、難しい。でもだから面白い、そう感じて嬉しくなるくらいでした。
感想戦終了後、対戦相手の神崎七段に誘っていただいて軽く飲みに。
神崎七段は将棋ネット界では第一人者で、こうしてブログが一般的になる前からずっと日記を書かれ、そしてHP上で色々な情報を発信し、観戦記情報も掲載しています。
神崎七段のHP
そういう事もあってこの対戦は楽しみにしていたのですが、今回さらにこうして色々お話が出来たのは素晴らしい時間でした。
様々な話をしていたらばあっという間に時間は過ぎ、閉店の時間で追い出され、朝方ホテルに戻ってバタンキューでした。
これで裏街道で3連勝。しかし昇級までは更にあと3勝が必要となります。上はまだまだ遠いですし、1局1局を大切に頑張ります。
名人戦の事などはまた明日の記事で。
それではまた
『嬉しくなるくらいでした』という感想がいいなぁと思いました。
プロの将棋の、こういうところを楽しんでくださいよ、と教えてもらった気がします。
それと、勝負の後で、対戦相手の先輩の方から誘ってもらえるのは嬉しいでしょうね。遠山先生の魅力ですね!
今回は際どい勝ち星おめでとうございます。この調子で、順位戦も粘り強く指して下さい(^-^)v
かれこれブログを拝見させて頂いてますが、遠山さんは伝えたい事を文章化するのが、上手になりましたね♪
思っても、言えても、それを文章で伝えるのは難しいものです。
これからも将棋関連だけではなく、遠山棋士の思った事、感じた事をユーモアを交えて発信していって下さい。期待してます(・∀・)
ひええっ目眩のする終盤ですね。
じっくり検討したいです(笑)終盤の教科書久しぶりです(笑)名局セレクションで是非取り上げてもらいたいものです。
棋聖戦は木村八段が勝利。2勝1敗としました。
羽生棋聖としては守勢で不本意な内容でしたか。
ノリにのっている木村八段悲願のタイトル奪取かに注目です。
最後の局面での限定合いという変化が非常に面白いと思いました。
神崎さんのHPも拝見いたしました。早いうちからこの形で情報発信されていたんですね!
遠山さんも今後のネット発信も発展される事を願います(^^)
2度の限定合いで逃れとは。
私はヘボだから、どっちも歩を合いして
イチコロにされてしまうでしょう。
これぞプロ将棋。
勝又先生が、終盤のいい題材だと喜んでいるかも
しれません。