「俺たちは、何と戦っているんだ?」
これは大好きな
『相棒』の映画最新作の副題です。
電王戦が終わってから10日間、この戦いの本質というものをずっと考えていました。
人間とコンピューターの戦い、その戦いのみが本質とは思えません。
もっと本質的なものがあったから、記憶に残る素晴らしいイベントになったはず。
コンピューターではなければ、将棋界は何と戦っていたのでしょうか。
各対局者の終局直後の姿と言葉には、引き込まれるものがありました。
一生懸命戦う棋士の美しさを感じていただいたと思います。
この電王戦に刺激を受けた棋士関係者も多いでしょう。私も勿論その一人です。
この国の情報科学としては偉大な一歩。ponanzaの山本一成さんが言われていました。
互いに素晴らしい内容の将棋を指したからこそ、偉大な一歩が生まれたのでしょう。
将棋が社会の役に立つ、素晴らしいことです。
将棋なんかじゃなくてもっと他のことに使え。とあるテレビ番組で電王戦についてコメンテーターが心ないことを言っていました。
批判されたり誤解されたり、色々あります。
それは将棋が、そしてコンピューターがすごい強くなったことが幅広く知られた証です。
電王戦第5局PV(リンク先は完全版)の中で、故米長永世棋聖のこういうセリフがありました。
「ファンに喜んでもらえるかどうか?」
これを思い出したとき、戦いの本質が見えました。
今までの将棋ファンに、新しい将棋ファンに、喜んでもらえるのかという戦いだったのです。
喜んでもらうのは、自己満足に陥りやすいこと。人ひとりをちゃんと喜ばせるのだって大変。
だから戦いなのです。そして今回は勝ったはずです。
ドワンゴ社はじめ周りの支えが大きかったこと、そして将棋界が今まで培ってきたものが出せたことが勝因でした。
将棋界にとってこの戦いは永遠です。
時代の流れが早い現代では、勝敗はすぐに入れ替わってしまいます。
今は主に名人戦という舞台で、ファンに喜んでもらう戦いが行われています。
戦いを勝ち抜くために、将棋界も色々と模索をして、進化していかないといけません。
方向性の一つとして、コンピューターを将棋界としていい意味で積極的に取り入れたいです。
いいと思えば取り入れる。それは勝負で勝ち続けるものの常でしょう。
私はこの分野をもっともっと深く掘り下げていきたいです。
最後に
電王戦エンディングPVを。
それも含め全ての動画がまとまっているページも紹介しておきます。
将棋電王戦チャンネル「ファンに喜んでもらえるかどうか?」
それを常に問いかけながら、出場した対局者のように私も一生懸命やっていきます。
それではまた